設備投資意思決定会計がいまいちつかめない理由

設備投資意思決定会計

設備投資は原価計算の花形論点

日商簿記1級原価計算の花形論点といえば設備投資意思決定会計

過去20年間の統計を取ると、およそ4回に1回は出題されている。原価計算は細かく分ければ10論点くらいあるけれど、もちろんその中では出題率No.1だ。

そして、設備投資意思決定会計を初めて学習する多くの人が感じることといえば「なんとなく分かるけど、どうもピンと来ない」ということだ。なんか、もやっとした感じ。その理由と対処を紹介しよう。

設備投資がピンと来ない理由

設備投資意思決定会計は一番最後に学習する

日商簿記1級のテキストは、そのほとんど全てが、設備投資意思決定会計の章を一番最後にもってきている。これがよくない。これほど出題実績があり、実務でも役立つ論点がなぜ最後なのか(これには理由がある。いずれ書こうと思う)。

設備投資意思決定会計は、それまでの学習の積み重ねが無いと理解できないという論点ではない。1番最初の章にしても全く問題がない。だけど多くのスクールでは、一番最後に学習する。これが意思決定会計を分かりにくくしている遠因だと思う。

そもそも、一番最後の章だと、そこに辿り着く前にギブアップしてしまう受験生も少なくないだろう。なんとか辿り着いても、もうそれまでの学習で疲れ果てて、論点を消化しきれず、もう満腹です、という人も少ないないだろう。

そんな状態で学習するんだから、そりゃあピンと来ないよね。

設備投資意思決定会計は利益を計算対象にしていない

原価計算で、それまでに学習してきた論点は、次のようなものだろう。

  • 直接原価計算
  • CVP分析
  • 予算実績差異分析
  • 最適セールスミックス
  • 業務的意思決定
  • 事業部制
  • 戦略的原価計算(ABC,PAF、LCCなど)

ここに1つの共通点がある。どれも利益を計算対象としているのだ。利益が出るための販売量を予測したり(CVP分析)、利益の予測値と実績値を比較したり(予算実績差異分析)、利益を最大化するよう製品の組み合わせを考えたり(最適セールスミックス)、管理可能利益にもとづいて業績評価をしたり(事業部制)・・・いずれにしても、計算対象としているのは利益だ。

ところが設備投資意思決定会計は利益を対象にしていない。何を対象にしているのか。それはキャッシュ・フローだ。この点をしっかり意識出来ているだろうか。

計算対象が「利益なのかキャッシュ・フローなのか」は極めて大きな違いだ。この理解をあやふやにしたままだと「設備投資ってどうもピンと来ないよね」となってしまうんだ。

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利益かキャッシュ・フローか

一般の企業会計は利益を計算対象とする

会計公準に「継続企業の公準」とあるとおり、一般に企業は解散や倒産などすることなく永久に事業を継続することを前提としている。するとどうだろう。いつ損益計算をすればいいのだろう。いつまで待っても事業は終わらない。じゃあ、しょうがない、人為的に期間を区切って計算しよう、となるわけだ。

すると、期間を区切ったのはいいけれど「期間内に費用は発生しているが、まだお金は払っていない」なんていう面倒な問題が生じる。だから様々な会計のルールが必要になるわけだ。普段、商業簿記でやっている発生主義とはそういうことだ。

はっきり言って、発生主義は面倒だ。さらに恣意的な操作も出来てしまう。出来ることなら、現金主義を採用したい。簡単だし、分かりやすいし、恣意的な操作も出来ない。でも、期間を区切って計算する限り発生主義を採用するしかない。現金主義じゃあ活動実体に見合った報告が出来ない。発生主義なら、その期間における活動実績に見合った成績を把握できる。そしてこの発生主義にもとづく計算対象が利益というわけだ。だから商業簿記や工業簿記は、利益を計算対象にしているんだ。

設備投資意思決定会計はキャッシュ・フローを計算対象とする

設備投資意思決定会計は、なぜ利益ではなくてキャッシュ・フローを計算対象にしているのだろうか。

それは、設備投資意思決定会計が期間限定のプロジェクトだからだ。一般の企業会計は、永久に事業を継続することを前提としているが、設備投資は違う。設備を除却するまでの期間限定プロジェクトだ。

そうならば、費用が発生したけど現金払ってないぞ、さてどうする、なんて考える必要はない。期間全体で見れば、費用合計と支払った現金合計は一致する。もちろん収益合計と貰える現金合計も一致する。

だったら、計算が簡単で、なおかつ恣意性の混入しない現金で計算したほうがいいよね、ということになる。だから設備投資意思決定会計は現金の出し入れ、すなわちキャッシュ・フローを計算対象とするんだ。

以上は、設備投資意思決定会計を学習する上での大前提だ。繰り返しになるが、この根本的な計算対象を意識することなくタックシールドだのNPVだのと、計算方法だけを覚えてしまう勉強法はやめたほうがいい。必ずつまづくから。

ここまで分かったら基礎から学習し直してみよう

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