第167回日商簿記1級・詳細解説【原価計算】

第1問 予算実績差異分析

解き方

本問は、典型的な要因別分析にもとづく予算実績差異分析ですが、1点、ひねりがあります。それは、実績の販売数量が不明であることです。

以下、*1〜*10の順番で算定していくと、予算損益計算書と実績損益計算書について、単価×数量に分解することができ、あとは、要因別分析にもとづいて予算実績差異分析を行います。

予算損益計算書
  単価 個数 金額
売上高 320*2 34,200 10,944,000
変動売上原価 150 34,200*1 5,130,000
変動販売費 40*3 34,200 1,368,000
貢献利益 130*4 34,200 4,446,000
固定費     3,470,000*5
営業利益     976,000

*1 5,130,000円÷@150円=34,200個
*2 10,944,000円÷34,200個=@320円
*3 1,368,000円÷34,200個=@40円
*4 4,446,000円÷34,200個=@130円
*5 2,170,000円+515,000円+785,000円=3,470,000円

実績損益計算書
  単価 個数 金額
売上高 332*9 33,500 11,122,000
変動売上原価 150 33,500*8 5,025,000*7
標準原価差異     278,000*6
変動販売費   33,500 1,457,000
貢献利益     4,362,000
固定費     3,435,000*10
営業利益     927,000

問題文に「標準変動製造原価差異は全額を変動売上原価に賦課している」とあるため、標準変動製造原価差異を求めます。標準原価差異は、原価標準×実際生産量と実際製造原価との差ですから、*6の式で求めます。
*6 5,393,000円-@150円×34,100個=278,000円
次に、標準変動製造原価差異が含まれていない標準変動売上原価を*7の式で求めます。
*7 5,303,000円-278,000円=5,025,000円
標準変動売上原価を原価標準で割ることで実績の販売数量を求めます。
*8 5,025,000円÷@150円=33,500個
売上高を実績の販売数量で割ることで実績の販売単価を求めます。
*9 11,122,000円÷33,500個=@332円
*10 2,155,000円+509,000円+771,000円=3,435,000円

解答

①固定費差異:3,470,000円-3,435,000円=35,000
販売価格差異
③(@332円-@320円)×33,500個=402,000
販売数量差異:(33,500個-34,200個)×@130円=△91,000円
⑤変動売上原価差異:△278,000円(⑦)
 変動販売費差異:@40円×33,500個-1,457,000円=△117,000円(⑧)
 合計:△395,000
値上げ
市場総需要量差異
市場占有率差異
⑪・⑫
 予算:12.0%×285,000個=34,200個
 実績:13.4%×250,000個=33,500個
 ⑪市場総需要量差異:(285,000個-250,000個)×12.0%×@130円=546,000
 ⑫市場占有率差異:(12.0%-13.4%)×250,000個×@130円=△455,000

第2問 最適セールス・ミックス

問1

Step.1共通の制約条件の確認

設備Xの月間生産能力が共通の制約条件となっているかを確認する。

最大需要量を生産したときの設備Xの作業時間:2.5時間×4,600個+4時間×3,500個=25,500時間
25,500時間>月間生産能力16,000時間より共通の制約条件となっている。

設備Yの月間生産能力が共通の制約条件となっているかを確認する。

最大需要量を生産したときの設備Yの作業時間:3時間×4,600個+2時間×3,500個=20,800時間
20,800時間>月間生産能力15,000時間より共通の制約条件となっている。

Step.2共通の制約条件における優先すべき製品

各製品の単位あたり貢献利益

製品A:1,100円-515円=585円、製品B:900円-380円=520円

設備Xの作業時間あたりの貢献利益の比較

製品A:585円÷2.5時間=234円、製品B:520円÷4時間=130円…よって、製品Aを優先

設備Yの作業時間あたりの貢献利益の比較

製品A:585円÷3時間=195円、製品B:520円÷2時間=260円…よって、製品Bを優先

Step.3計算処理方法の決定

共通の制約条件によって優先順位が異なるためリニア・プログラミング(LP)によって処理する。

Step.4リニア・プログラミング

目的関数

585X+520Yの最大化

制約関数

2.5X+4Y=16,000…①
3X+2Y=15,000…②

傾きによる解法

目的関数の傾き1.125(=585÷520)、①の傾き0.625(=2.5÷4)、②の傾き1.5(=3÷2)である。

目的関数の傾き1.125が制約関数の傾きである①0.625と②1.5の間にあるため、最適セールス・ミックスは、①と②の連立方程式の解となる。

この連立方程式を解くと、X=4,000、Y=1,500であり、ともに最大需要量範囲内であるから、これが解答である。

問2

Step.1共通の制約条件の確認

設備Yの月間生産能力が18,500時間となったものの問1と同様に設備X、設備Yの月間生産能力は共通の制約条件となっている。

Step.2共通の制約条件における優先すべき製品

問1と同様である。

Step.3計算処理方法の決定

問1と同様、共通の制約条件によって優先順位が異なるためリニア・プログラミング(LP)によって処理する。

Step.4リニア・プログラミング

目的関数

585X+520Yの最大化

制約関数

2.5X+4Y=16,000…①
3X+2Y=18,500…②

傾きによる解法

問1と同様に傾きによる判定を行うと、①と②の連立方程式の解が最適セールス・ミックスである。よって、これを解く。すると、X=6,000、Y=250となり、Xが最大需要量4,600個を超えているためX=4,600個である。X=4,600を前提にYを解くと①から1,125個、②から2,350個となり、Y=1,125個である。

問3

現時点における目的関数の傾きは、現在585円÷520円=1.125であり、制約関数①の傾き2.5÷4=0.625と制約関数②の傾き3÷2=1.5の間に入っている。
製品Aの変動費が上昇すると貢献利益が減少するため、目的関数の傾きは現在の1.125から減少する。この傾きが制約関数①の傾きである0.625よりも少なくなると最適セールスミックスが変化する。
よって、そのときの製品Aの貢献利益は、520円×0.625=325円である。
製品Aの販売価格が1,100円であるため、そのときの製品Aの単位あたり変動費は、1,100円-325円=775円である。