噛み砕けば簡単!原価計算基準・第7回講義

第二章 第二節「原価の費目別計算」

第9項 原価の費目別計算(重要度B〜C)

原文

原価の費目別計算とは、一定期間における原価要素を費目別に分類測定する手続をいい、財務会計における費用計算であると同時に、原価計算における第一次の計算段階である。

噛み砕き解説

第7項には、製造原価は、費目別計算、部門別計算を行って最後に製品別に集計する、と書かれている。そのファーストステップである費目別計算についての説明だ。ポイントは、”財務会計”とのつながりと、原価計算の”第一次の計算段階”という箇所だろう。

第10項 費目別計算における原価要素の分類(重要度B〜C)

原文

費目別計算においては、原価要素を、原則として、形態別分類を基礎とし、これを直接費と間接費とに大別し、さらに必要に応じ機能別分類を加味して、たとえば次のように分類する。

直接費
 直接材料費
  主要材料費(原料費)
  買入部品費
 直接労務費
  直接賃金(必要ある場合には作業種類別に細分する。)
 直接経費
  外注加工賃
間接費
 間接材料費
  補助材料費
  工場消耗品費
  消耗工具器具備品費
 間接労務費
  間接作業賃金
  間接工賃金
  手待賃金
  休業賃金
  給料
  従業員賞与手当
  退職給与引当金繰入額
  福利費(健康保険料負担金等)
 間接経費
  福利施設負担額
  厚生費
  減価償却費
  賃借料
  保険料
  修繕料
  電力料
  ガス代
  水道料
  租税公課
  旅費交通費
  通信費
  保管料
  たな卸減耗費
  雑費

間接経費は、原則として形態別に分類するが、必要に応じ修繕費、運搬費等の複合費を設定することができる。  

噛み砕き解説

特に解説が必要なところではないだろう。具体例が提示されているだけだ。ポイントは、費目別計算を行うにあたっては、まず形態別(材料費、労務費、経費)に分類して、それを直接費と間接費に分類し、さらに必要ならば機能別(何の目的で消費したのか?という視点。賃金なら間接作業だったのか、手待ちだったのかなど)に分類するという点だ。

第11項 材料費計算(重要度A)

原文

(一) 直接材料費、補助材料費等であって、出入記録を行なう材料に関する原価は、各種の材料につき原価計算期間における実際の消費量に、その消費価格を乗じて計算する。

(二) 材料の実際の消費量は、原則として継続記録法によって計算する。ただし、材料であって、その消費量を継続記録法によって計算することが困難なもの又はその必要のないものについては、たな卸計算法を適用することができる。

(三) 材料の消費価格は、原則として購入原価をもって計算する。 同種材料の購入原価が異なる場合、その消費価格の計算は、次のような方法による。

  1. 先入先出法
  2. 移動平均法
  3. 総平均法
  4. 後入先出法
  5. 個別法

材料の消費価格は、必要ある場合には、予定価格等をもって計算することができる。

(四) 材料の購入原価は、原則として実際の購入原価とし、次のいずれかの金額によって計算する。

  1. 購入代価に買入手数料、引取運賃、荷役費、保険料、関税等材料買入に要した引取費用を加算した金額
  2. 購入代価に引取費用ならびに購入事務、検収、整理、選別、手入、保管等に要した費用(引取費用と合わせて以下これを「材料副費」という。)を加算した金額。ただし、必要ある場合には、引取費用以外の材料副費の一部を購入代価に加算しないことができる。

 購入代価に加算する材料副費の一部又は全部は、これを予定配賦率によって計算することができる。予定配賦率は、一定期間の材料副費の予定総額を、その期間における材料の予定購入代価又は予定購入数量の総額をもって除して算定する。ただし、購入事務費、検収費、整理費、選別費、手入費、保管費等については、それぞれに適当な予定配賦率を設定することができる。
 材料副費の一部を材料の購入原価に算入しない場合には、これを間接経費に属する項目とし又は材料費に配賦する。
 購入した材料に対して値引又は割戻等を受けたときは、これを材料の購入原価から控除する。ただし、値引又は割戻等が材料消費後に判明した場合には、これを同種材料の購入原価から控除し、値引又は割戻等を受けた材料が判明しない場合には、これを当期の材料副費等から控除し、又はその他適当な方法によって処理することができる。
 材料の購入原価は、必要ある場合には、予定価格等をもって計算することができる。他工場からの振替製品の受入価格は、必要ある場合には、正常市価によることができる。

(五) 間接材料費であって、工場消耗品、消耗工具器具備品等、継続記録法又はたな卸計算法による出入記録を行わないものの原価は、原則として当該原価計算期間における買入額をもって計算する

噛み砕き解説(材料消費額)

ここは、重要論点が詰まっている。まず(一)から(三)を要約すると、次のようになる。この3点は、とても大切なので、押さえておくこと。

  1. 出入記録(受払記録)を行う材料の消費額は、「消費価格×実際消費量」で計算する
  2. 実際消費量は、原則、継続記録法によって計算すべきだけれど、それが困難だったりコスト・ベネフィットにあわなければ棚卸計算法でもよい。
  3. 一方、消費価格は、原則、購入原価で計算すべきだが、予定価格を使ってもよい。

噛み砕き解説(材料副費)

続けて、(四)では材料副費について言及している。ここも大切なのでしっかり押さえよう。まず材料副費は、引取費用(外部副費ともいう)と内部副費に分けることができる。(四)の1が引取費用、(四)の2が内部副費だ。

そして、引取費用は、購入代価に必ず加算しないといけない。一方、内部副費は、加算してもしなくてもいい。もしくは一部だけ加算してもいい。そういうルールだ。なぜか。

引取費用は、運賃だったり関税だったりするので、多くの場合どの材料に掛かったコストなのかが明確であり、直課できる。であるなら、取得原価に算入すべきだ。一方で、内部副費は、具体的には倉庫代などだ。これは、正直つらい。どの材料がどれだけの倉庫代を負担すべきなのだろうか?適切な配賦基準が見つからないだろう。大きさ?重さ?倉庫保管期間?どれも配賦基準としてそこそこ関係しているけど決定的ではない。そんな感じだ。であるなら、無理に恣意的な配賦基準を用いるより、いっそのこと間接経費にしてしまったほうが適切だ、という考えだ。

このように単にルールを暗記するのではなく、なぜ、そういうルールになっているのかをイメージするようにしよう。そうすれば忘れにくい。

なお、値引、割戻があった場合、購入原価から控除するというのは、一般的な会計基準のとおりだ。これは問題なかろう。

噛み砕き解説(出入記録を行わない材料)

最後の(五)も結構大事だ。要するに出入記録を行わないような材料であるなら、”買入額”をそのまま消費額とみなしてもいいよ、ということだ。具体的には、100kgの材料を買ってきて半分しか使わなければ、本来は50kgだけが消費額になるはずだ。でもそれは、出入記録を行っている場合であって、出入記録を行わないくらいに重要性が低いなら、買った時点で、その全額(100kg分)を消費額としてもいいよ、というルールだね。

注意点としては、間接材料とはいえ、中には重要性が高くて出入記録を行う材料もある。この場合は、上記の継続記録法などによって実際消費量を測定する必要があるということだ。間接材料だからといって、全て買入額が消費額となるわけではない、という点には注意しよう。

第12項 労務費計算(重要度B)

原文

(一) 直接賃金等であって、作業時間又は作業量の測定を行なう労務費は、実際の作業時間又は作業量に賃率を乗じて計算する。賃率は、実際の個別賃率又は、職場もしくは作業区分ごとの平均賃率による。平均賃率は、必要ある場合には、予定平均賃率をもって計算することができる。 直接賃金等は、必要ある場合には、当該原価計算期間の負担に属する要支払額をもって計算することができる。

(二) 間接労務費であって、間接工賃金、給料、賞与手当等は、原則として当該原価計算期間の負担に属する要支払額をもって計算する。

噛み砕き解説

ここも結構重要だ。考え方は、先の材料費の計算に少し似ている。要するに「作業時間又は作業量の測定を行う(タイムカードなどで管理されている)」労務費は「作業時間(作業量)×賃率」で計算して、そうではない労務費は、要支払額で計算しなさい、ということだ。

なお、作業時間(作業量)×賃率で計算するさいの”賃率”は、個別賃率または平均賃率によるとある。個別賃率とは個々人の賃率のことだ。平均賃率は、職種別平均や工場全体の平均などが考えられる。

ひとつ、念のためだけど、要支払額は大丈夫だよね?支給額とは違うからね。例えば月初に10万円未払賃金があって、当月支給額が100万円で、月末に20万円未払賃金があるなら、当月の要支払額は110万円だからね。支給額と要支払額を間違えないようにね。

第13項 経費計算(重要度C)

原文

(一) 経費は、原則として当該原価計算期間の実際の発生額をもって計算する。ただし、必要ある場合には、予定価格又は予定額をもって計算することができる。

(二) 減価償却費、不動産賃借料等であって、数ヶ月分を一時に総括的に計算し又は支払う経費については、これを月割り計算する。

(三) 電力料、ガス代、水道料等であって、消費量を計量できる経費については、その実際消費量に基づいて計算する。

噛み砕き解説

ここは、あまり言及することがない。まあ、経費は、原則、実際額で計算するけど、必要なら予定額でもいいよ、というくらいだろうか。あと、ここ基準には記載がないけれど、経費は、支払経費(保険料など)、月割経費(減価償却費など)、測定経費(電気代など)、発生経費(棚卸減耗損など)の4つに分類することができる。頭の片隅にでも入れておいてほしい。

第14項 費用別計算における予定価格等の適用(重要度C)

原文

費目別計算において一定期間における原価要素の発生を測定するに当たり、予定価格等を適用する場合には、これをその適用される期間における実際価格にできる限り近似させ、価格差異をなるべく僅少にするように定める。

噛み砕き解説

ここも、とりたてて言及することがない。書かれているとおりだ。予定価格を使うと価格差異が発生するけど、なるべく差異が出ないように気を付けて予定価格を設定してね、という意味だ。

第二章 第三節「原価の部門別計算」の解説はこちら

こちらからどうぞ。

噛み砕けば簡単!原価計算基準・第8回講義

 


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