本試験で武器になる成果連結時短テク

連結会計やってます?

ご存知のとおり、連結会計は、1級受験生にとって、現在も、そして未来も、超大切な論点です。ここが得意かどうかは、合否に直結します。苦手意識があって敬遠している人、逃げ切れません。どうせやるなら、早いうちにやりましょう。

さて、ちょうどいまプロ簿記講座の解法マスターは連結会計真っ最中です。その中で、紹介した成果連結の時短テクは1級受験生必修です。

せっかくプロ簿記に訪れてくださったのですから、是非、この成果連結の時短テクだけはマスターしてください。圧倒的に早く正確に仕訳が切れます。以前(1年くらい前?)も紹介したのですが、ここで、あらためて紹介します。

成果連結・時短テクとは

成果連結・時短テクは、次の3つの仕訳を素早く行うためのものです。

  1. 商品(棚卸資産)に含まれる未実現損益の消去
  2. 親子間の売上債権に係る貸倒引当金の修正
  3. 償却資産の未実現損益の消去

これらは、税効果会計やアップストリームも絡みます。ここをスムーズに乗り切るか、まごまごするかで合否が分かれます。

成果連結時短テクの解法手順

解法手順

どのパターンでも次の手順で解けます。

  1. 期末のBS科目(商品、貸倒引当金、建物など)を修正する
  2. 前期末にも同じ仕訳をしているのなら、それを「利益剰余金当期首残高(略して利首)」として相手勘定とする。
  3. 貸借で差額が出るので、これをPL科目(売上原価、貸倒引当金繰入、減価償却費など)とする。
  4. 税効果会計関連とアップストリーム関連の処理は、その都度行わずに、最後にまとめて行なう。

略語について

以下、仕訳で用いる科目は略語を用います。

利首:利益剰余金当期首残高
売原:売上原価
税資:繰延税金資産
法調:法人税等調整額
貸引:貸倒引当金
貸繰:貸倒引当金繰入
減費:減価償却費
減累:減価償却累計額
非首:非支配株主持分当期首残高
非当:非支配株主持分当期変動額
非PL:非支配株主に帰属する当期純損益

時短テクの具体例1【棚卸資産】

当期末、親会社P社の期末商品には、子会社S社から仕入れた分が1,000円ある。S社はP社に対して毎期仕入額に25%の利益を上乗せして販売している。前期末のP社の商品にはS社から仕入れた分が1,800円あった。

Step.1 期末BS科目の調整

期末の商品を200(=1,000÷1.25×0.25)減らせばよい。よって、???/商品200 まで確定。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
商品 200

Step.2 期首分の調整

前期末には360の未実現損益があったので、利益剰余金当期首残高360/商品200 まで確定。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
利首 360 商品 200
   

Step.3 差額をPL科目にする

差額を売上原価にすれば完了。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
利首 360 商品 200
    売原 160

時短テクの具体例2【貸倒引当金の修正】

当期末、子会社S社から親会社P社に対する売掛金が3,000円ある。S社は売掛金に対して10%の貸倒引当金を設定している。前期末にはP社への売掛金に対する貸倒引当金が200あった。

Step.1 期末BS科目の調整

期末の貸倒引当金を300減らせばよい。よって、貸倒引当金300/??? まで確定。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
貸引 300

Step.2 期首分の調整

前期末には200の貸倒引当金があったので、貸倒引当金300/利益剰余金当期首残高200 まで確定。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
貸引 300 利首 200
   

Step.3 差額をPL科目にする

差額を貸倒引当金繰入にすれば完了。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
貸引 300 利首 200
    貸繰 100

時短テクの具体例3【償却性資産】

前期首において、S社はP社に建物(売却時S社個別上の帳簿価額40,000円)を50,000円で売却した。P社はこの建物を当期末現在保有し、耐用年数5年、残存価額0円の定額法で償却している。

Step.0 未実現損益の算定

期末の建物をいくら修正すればよいかを考える。S社簿価4万円の建物を5万円で売却してるので20%は未実現損益である。この建物は、前期首に売却され耐用年数5年のうち1年分の償却が終了しているので、前期末簿価は4万円、当期末簿価は3万円である。よって、前期末の未実現損益は8,000円、当期末の未実現損益は6,000円である。

Step.1 期末BS科目の調整

期末の建物を6,000円減らせばよい。よって、???/建物6,000 まで確定。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
建物 6,000

Step.2 期首分の調整

前期末には8,000の未実現損益があったので、利益剰余金当期首残高8,000/建物6,000 まで確定。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
利首 8,000 建物 6,000
   

Step.3 差額をPL科目にする

差額を減価償却費にすれば完了。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
利首 8,000 建物 6,000
    減費 2,000

税効果とアップ・ストリームの処理について

これは、どのケースもすべて同じパターンで処理できます。考え方は「PL科目のインパクトを弱める方向に仕訳を切る」です。

税効果なら、儲かっていれば税率分を税務署が持っていくけど、損していれば税務署が補ってくれると考えます。アップストリームなら、儲かっていれば非株の持分だけ非株が持っていくけど、損していれば非株が補ってくれると考えます。要するにどちらにしてもPL科目のインパクトが弱まります。具体的には、次のリンク先のStep.2以降を参照してください。

実戦で通用するか

当然です。強力な武器となることでしょう。サンプルとして過去問134回の問題から一部抜粋します。

過去問134回より一部抜粋

P社の有形固定資産には,20X2年度末にS社から取得したものが 500千円(S社からの取得原価 1,500千円,耐用年数3年,残存価額ゼロ,定額法により減価償却を行っている)含まれている。この有形固定資産は,S社の売却時点において帳簿価額が 1,200千円であったものである。20X4年度末の仕訳をせよ。P社の持分は70%、税効果はなし。

考え方

S社簿価1,200万円の建物を1,500万円で売却してるので20%は未実現損益である。この建物は、耐用年数3年のうち1年分の償却が終了しているので、前期末簿価は1,000万円、当期末簿価は500万円である。よって、前期末の未実現損益は200万円、当期末の未実現損益は100万円である。

解答

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
利首 200万円 建物 100万円
    減費 100万円
非首 60万円 利首 60万円
非PL 30万円 非当 30万円

参考・一般のテキスト(過去問題集)の解答

以下は、一般的なテキスト(過去問題集)に掲載されていた仕訳です。どちらがミスなくスピーディに処理できるか、一目瞭然だと思います。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
利首 300万円 建物 300万円
非首 90万円 利首 90万円
建物 100万円 利首 100万円
利首 30万円 非首 30万円
建物 100万円 減費 100万円
非PL 30万円 非当 30万円

 

本試験で武器になる成果連結時短テク” に対して1件のコメントがあります。

  1. Kagami より:

    目から鱗の記事でした。ありがとうございます。成果連結の他の記事も読ませていただきました。
    念のための確認2点させてください。

    (1)「時短テクの具体例3【償却性資産】」の税効果とアップストリームの仕訳は、以下で合っていますよね?
    法調800/利首3200
    税資2400
    非首960/利首960
    非PL240/非当240

    (2)同じく「時短テクの具体例3【償却性資産】」ですが、間接法の場合は、「Step3」のところの仕訳が、以下になるという事ですよね?
    利首8,000/建物10,000
    減塁4,000/減費2,000

    以上よろしくお願いいたします。

    1. pro-boki より:

      税率40%、親は80%支配ってことですかね?であればあってますよ!

    2. Kagami より:

      ありがとうございます!

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