1級商会・セール・アンド・リースバック

セール・アンド・リースバックを説明できる?

セール・アンド・リースバック。135回の本試験でも出題された論点だ。この会計処理、覚えているだろうか。これ、仕訳自体は至って簡単だ。固定資産を売却して、それをリースするだけの仕訳。ただし、ちょっと注意点がある。固定資産の売却益は、長期前受収益とし、毎年、減価償却費と相殺していくという点だ。

では、なぜ、このようなちょっと変わった仕訳をするのか、自分の言葉で説明できるだろうか。意味も分からずに、仕訳を暗記しちゃってないだろうか。ここが分かれ目。意味も分からず暗記するような勉強法では、合格は遠い。万年60点台への道まっしぐらだ。

これを自分の言葉で説明できるようにすること。その結果として自動的に仕訳がすっと出てくるようにすること。そういった学習法を確立すると、70点どころが80点台で合格できる。

セール・アンド・リースバックを説明してみた

では、私なりに説明するとどうなるか、今回は会話調で書いてみた。

とある写真屋の会話

店員店長、今月、資金繰りヤバイですよ。このままだと支払いできないですよ。
店長うーん、困ったな。来月になれば、卒業アルバムの仕事がドーンと入ってくるんだけどな。なんとか耐えられないかな。銀行に頼んで見るか。
店員いや、もう銀行も貸してくれないっすよ。先月も断られたし。
店長もうさ、この現像機売っちゃおうか。
店員いやいやいや。売ったら仕事出来なくなっちゃうじゃないですか。
店長いや、いい手があるんだよ。とりあえず売るだろう。すると現金入るじゃないか。まずは、それで支払いすると。
店員はい。
店長で、即、リースするんだ。おんなじ現像機を。
店員何の意味が・・・
店長だってリースだったら、1年に1回リース料支払うだけじゃないか。とりあえずしのげるだろ。
店員おお。なるほど。でも、売却してまたリースするとなると撤去費用と設置費用が大変ですね。
店長そんな無駄なことしないよ。書類上だけの話だよ。現像機は動かさない。
店員すると、営業上は何も変わらないということですね。
店長そう。何も変わらない。なのにキャッシュが入ってくる。そして、それは年々のリース料の支払いという形で5年後に終了する。
店員うまい仕組みですね。実質的に何も変わらないのに、現金が入ってきて、それを5年間の分割で返すなんで・・・。ほとんど借入金と変わらないじゃないですか。
店長これ、セールアンドリースバックって言うんだ。この仕組で、今月乗り切れそうだな。
店員そうですね。でも、普段から、もうちょっと資金繰り余裕ほしいっすよね。
店長う、うん・・・

500214

とある写真屋の会話2

店員店長、良かったすね。簿価800万の現像機900万で売れて。
店長おお。これでしばらく資金繰りは安泰だな。
店員で、すぐに900万でリースしたんですよね。
店長そうだ。ファイナンス・リースだ。
店員ということは、この現像機の簿価は900万で、あと5年で償却するってことですね。
店長そうだよ。定額法だから毎年180万円だな。何か問題か?
店員いや、セールアンドリースバックをする前は、簿価は800万円だったじゃないですか。で、あと5年で償却するはずだったので、減価償却費は160万円のはずだったなぁと思って。実態は何も変わらないのに、減価償却費が毎年20万円も増えちゃって変だなぁと思ったもんですから。
店長確かにそうだな。でも、いいんじゃないか。簿価800万円の現像機が900万円で売れたんだから100万円儲かっている。
店員そっか。毎年20万円減価償却費が増えて5年で100万円費用が増えるけど、100万円売却益が出てるから、辻褄合っているんだ。
店長でも待てよ。なんかマズイな。
店員どうしたんすか。
店長だって100万儲かるのは売却した今年だろ。今年の収益になるよな。だけど、減価償却費は5年間に渡って20万円づつだよな。つまり今年はプラス80万円だけど来年から4年間はマイナス20万円になるぞ。いいのか、こんなことで。
店員いや、まずいんじゃないですか。実態が変わらないのに今年80万円も利益増えちゃったら。
店長そうだよな。どうすりゃいいんだろう。
店員100万を今年の売却益にしないで、20万円づつ5年間で繰り延べればいいんじゃないですかね。
店長おまえ、賢いなぁ。
店員てへへ。
店長で、勘定科目はどうすりゃいいんだ。
店員ま、収益を繰り延べてますよぉってことが分かればいいんじゃないですかね。
店長ってことは、前受収益ってことか。
店員まあ、そうなんですけど、単に前受収益だと経過勘定になっちゃうじゃないですか。一応5年間繰り延べるので、長期とか頭につけといたらどうですかね。
店長ってことは、長期前受収益ってことか。
店員店長、グッドです。
店長てへ。

全ての論点をこのレベルで説明出来れば余裕で受かる

デリバティブも、外貨も、企業結合も、連結も、全て自分の言葉で説明できるようにする。そのレベルになれば、そもそも忘れないし、もし、忘れちゃっても、理屈が分かっているから現場で何とかできる。そういう学習法に切り替えると70点の壁が軽々超えられる。


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1級商会・セール・アンド・リースバック” に対して1件のコメントがあります。

  1. えだまめ より:

    とある、写真屋さんとはリアルでニアニアしながら読んでました。
    実際にあるお話しですね~。(笑)

    1. pro-boki より:

      いやいや、うちのお店は優良店だったので、資金繰りは大丈夫だったよ。ほんとだってば(笑)

  2. きゃろる より:

    すごくわかりやすい説明ありがとうございます。
    テキストでセール・アンド・リースバックの説明を読んだとき、
    『何でわざわざ備品を購入したのに、リースにする必要があるんだろう。
    無意味じゃない?実際に行っている会社ってあるのかな?』
    と思っていました。
    上記の会話でなるほど、こういうことだったのねと、初めて納得できました。
    このようなことに遭遇することがないので、テキストを読んだだけでは、現実と結びつけるのが難しく、想像すらできない⇒仕訳をただ暗記するしかない⇒覚えられない(すぐに忘れる)
    という悪循環に陥るわけですね。
    それにしても、この店員さんは店長よりも賢いですね。
    最後のほうはどっちが店長かわからなくなりました(笑)。

    余談です。N学校では、今回は勉強方法を重視し、また商会はイメージによる記憶術を取り入れた記憶に残る授業を始めるらしいですよ。
    その話のかじりは11月24日の公開イベントから1級向け初学者向け説明会でみることができます。
    とりあえず、私は、富久田先生一筋で行きます!
    宜しくお願いします。

    1. pro-boki より:

      そうそう。なぜ、セール・アンド・リースバックを記事にしたかというと、これ、仕訳は簡単なんだけど、具体的なイメージができていない人が多いんじゃないかな、と思ったからなんです。
      こういう仕訳が簡単な取引って、意味が分からなくても「えい、覚えちゃえ」ってなりやすい。で、すぐに忘れると。この繰り返し。これが受からない人にありがちなパターンです。この勉強法自体を変えないとダメですよ、と言いたかったのです。

      >余談です。N学校では、今回は勉強方法を重視し、また商会はイメージによる記憶術を取り入れた記憶に残る授業を始めるらしいですよ。

      記憶術ですか・・・こりゃまた、なんというか、そっちに行っちゃったか。
      それにしてもAmazonペイメントでWEB講座を申し込んで50%分のAmazonギフト券が抽選で当たるキャンペーンとか、友達紹介で割引とか・・・いろいろと、あれですね。

      人集めるのって、簡単だと思うんですけどね。合格させればいいんですよ。みんな合格したくて何万円、何十万円も払って何ヶ月も何年間も頑張っているのですから。合格させて講座受講者数と実際の合格者数を発表すればいいんです。それが胸の張れるものなら、キャンペーンなんかしなくても人は集まりますって。
      そういった合格実績には触れずに、紹介割引とかギフト券プレゼントとか、で、ついには記憶術ですか。・・・まあ、いいんじゃないでしょうか。それぞれお考えがあることでしょうし。

  3. 熱男 より:

    富久田先生

    こん○○は。

    一つ一つの事例を、どれだけ自分の仕事に置き換えられるかって、
    本当に重要ですよね。

    まだ自分の仕事に置き換えて理解していない(=定着していない)論点があるので、
    少し時間に余裕のある今のうちに、実践していきたいと思います。

    1. pro-boki より:

      >一つ一つの事例を、どれだけ自分の仕事に置き換えられるかって、本当に重要ですよね。

      はい、そう思います。自分の経験とリンク出来たことは本当に忘れにくいです。
      また、仕事に置き換えられなくても、その取引シーンを具体的にイメージ出来るだけでも圧倒的に理解しやすく忘れにくくなります。そうすると仕訳を忘れちゃっても、本番で、何とかできちゃったりするんですよね。
      意味も分からず仕訳を暗記しても、つまらないし、忘れちゃうし、役立たない。1級に限っては、具体的なイメージの伴わない仕訳暗記では多分受からないです。

  4. くらんこ より:

    富久田先生、こんにちは。
    セールアンドリースバックのお話、非常に分かりやすかったです。

    この論点の仕訳自体は覚えていてお話を読む前には”分かっている
    内容だな”って思いながら読んでいましたが、こういった噛み砕いた
    説明なら長期記憶で非常に残りやすいですね。N校ではこういう風に
    仕訳するって説明だけでそれをしっかり覚えなければ・・・と思い
    何度も繰り返してやって、忘却と記憶を何度か繰り返し覚えた論点
    だっただけにこういった説明が初めからあればと思いました。

    他の資格勉強を1年で並行してやってそちらが本命なので先生の講義
    は無料体験授業でしか体験できず、また機会があったら先生の講義を
    本格的に受講してみたいなと考えていただけに10月の一件は非常に
    残念に感じていましたが、またこちらでいろいろご教授いただければ
    と思います。P.S. 合格率と合格者数の開示、確かにそうですよね。

    1. pro-boki より:

      >こういった噛み砕いた説明なら長期記憶で非常に残りやすいですね。

      そうなんですよ。「しっかり暗記しないと」ってなってる時点で、もうすでにその勉強法は間違えていると思うんです。意味分かってれば「そうしないとおかしなことになるから、そうする」って感じで、覚えようとしなくても、覚えちゃうもんです。

      それから、意味を本質的に理解できていれば、似たパターンをひとまとめに出来るので、より、効率がいいんです。セールアンドリースバックと似たパターンって結構あります。例えば割賦販売の未実現利益控除法とか。一見、全然違うじゃないですか。でも、結局やってることは、普通に仕訳しちゃうと利益が全部当期の分になっちゃう。それでは、まずいから、いったん負債(つまりセールアンドリースバックでいうところの長期前受収益、割賦販売でいうところの繰延割賦売上利益のこと)計上して、繰り延べようという処理ですよね。考え方は全く同じです。(まあ、セールアンドリースバックは相手勘定が減価償却費で、未実現利益控除法は売上総利益のマイナスなので違うと言えば違うのですが・・・でも、すごく似てるでしょ?)
      単に覚えるんじゃなくて、本質的にやってること一緒じゃん、みたいな仕訳をセットにして覚えると効率いいんです。そういう勉強法をお伝えしていこうと思ってます。

      >他の資格勉強を1年で並行してやってそちらが本命なので
      何の資格を勉強されているのですか?差し支えなければ・・・

      >また機会があったら先生の講義を本格的に受講してみたい
      はい。近い将来、YouTubeでの無料配信とかしようと思ってます。見て頂けたら嬉しいです。

  5. ファイティン より:

    先生、記事ありがとうございます。
    セールアンドリースバック、
    なんとなくしか理解していなかったので、テキスト読み返してから先生の会話文を読んでみようと思い…
    テキストではイメージつかめませんでしたが、会話文でなるほど!と、
    それを仕訳していけばいいんですね。

    他の論点とセットで理解していったり、苦手な論点ほど実務と紐付けて具体的に考えていけばいいですね。
    イメージ大事ですね。

    1. pro-boki より:

      >他の論点とセットで理解していったり、
      そうそう。これとっても大事。「あ、これとこれって結局同じじゃん!」って気付くと両方ともいっぺんに覚えられるし、忘れにくいので効果絶大です。

      >苦手な論点ほど実務と紐付けて具体的に考えていけばいいですね。
      これもそのとおりだと思います。実務イメージがあると頑張らなくても勝手に記憶残るります。ですから頑張って覚えるのじゃなくて、取引のイメージが持てるように頑張る、という感じですね。

  6. りんご より:

    初めまして。
    独学でT○C合格テキストで勉強している者です。
    ネット上でコメントというものを出すのが初めてでして、
    失礼がありましたら、また、読みづらくなってしまいましたら申し訳ありません。
    セールスアンドリースバック、胸にすとんと落ちるというか、
    こんなにもわかったことにびっくりして、お礼を申し上げたいと思った次第です。
    このような記事を書いていただきまして、ありがとうございました。

    テキストに、
    「リース資産の減価償却費の計算にあたっては、通常、当初の取得原価にもとづいた残存価額が用いられる。」
    と書いてあって、??と思っていましたが、カメラ屋さんに機械は置いたままなんだから、当然なんですね。
    取引のイメージができるって強み!ですね。

    今回の例を、
    「機械:取得日×1年期首、取得原価1600万、売却日までの減価償却累計額640万、
        減価償却は定額法(経済的耐用年数9年、残存価額は取得原価の10%)
    リースバック取引:契約日×5年期首(9年間のうち4年間使い終わった時点)、売却価額1060万、
    所有権移転ファイナンスリース取引である。
             リース料は、215万/年 決算日に後払い、定額法とする。
             減価償却は定額法(経済的耐用年数5年、残存価額は当初の取得原価の10%)」
    としてみると、

    <セールアンドリースバックの日>
    減価償却累計額640万 機械1600万
    現金1060万     長期前受収益100万
    リース資産1060万 リース債務1060万

    <決算日>
    リース債務212万 現金215万
    支払利息 3万

    減価償却費180万  減価償却累計額180万
    長期前受収益20万  減価償却費20万

    となりますでしょうか?問題作ると、綺麗な数字を作る為に色々考えて、理解が深まりますね!

    1. pro-boki より:

      お返事遅くなって、ごめんなさい。

      いい感じですね。しっかり理解されています。
      ご自分で問題作ったのですね。数値設定も見事ですね。合ってますよ!

      ちなみに、もしかすると最近2級に合格されましたか?
      リースの利息相当額の各期への配分方法が定額法だったので、そうなのかなと思いました。
      2級のリースって確か定額法のみでしたよね?1級だと、利息法が中心になります。
      この利息法の考え方は1級だと鬼のようしょっちゅう出てきますので、あわせて勉強しましょう。

  7. りんご より:

    コメントありがとうございます。
    はい!2017年の秋の試験で、2級に合格しました。
    1級は2018年の6月合格を目指していますが、
    やっと全部のテキストを読めた状態で、総合問題にはまだ手を付けられておりません…。

    すみません。
    カメラ屋さんの例を模倣したかったのと、テキストが残存価額ありで載っていた為
    固定資産が「残存価額あり」かつ「減価償却費160万/年」かつ「リース期間5年」
    という、数字を作るのに必死で、利息法は考えられませんでした。

    利息法、完全マスターしておきます!

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