第158回日商簿記1級・詳細解説【商業簿記】

商簿・第1問の概要
答案要求
後T/Bです。論点はオーソドックスでした。商品売買、有形固定資産などの論点が省略されており分量は少なめです。
問題概要
- 貸倒引当金
1.1 一般債権
1.2 貸倒懸念債権(CF見積法)
1.3 破産更生債権等 - 有価証券
3.1 その他有価証券(期中追加購入あり)
3.2 その他有価証券(減損)
3.3 満期保有目的債券 - 新株予約権付社債
- 税効果会計
難易度
基本重視の問題でした。一部、読み取りのしにくい箇所がありますが、7〜8割以上の得点は十分可能な問題でした。
以下の解説をご覧頂くうえでのお願い
- 原則として金額の単位が無いものはすべて千円単位です。
- 誤字脱字などありましたらご連絡頂けると大変うれしいです。
1 貸倒引当金
売掛金
貸倒引当金設定額:30,000×1%=300
繰入額:300−前TB200=100
| 貸倒引当金繰入額 | 100 | 貸倒引当金 | 100 |
貸倒懸念債権
将来CFの現在価値:21,218÷1.032=20,000
貸倒引当金設定額(繰入額):24,000−20,000=4,000
| 貸倒引当金繰入額 | 4,000 | 貸倒引当金 | 4,000 |
破産更生債権等
答案用紙に「破産更生債権等」の科目がないので、振り替えは行わない(B/Sであれば振り替えは必要だが、後TBなので設定されていなくても問題ない。)
貸倒引当金設定額(繰入額):16,000−担保評価額13,000=3,000
ここで、問題文「貸倒見込額は債権金額から直接控除する」とあるのでそれに従い、また、答案用紙に「貸倒損失」があることから、貸倒引当金繰入額ではなくて、貸倒損失で処理する。
| 貸倒損失 | 3,000 | 長期貸付金 | 3,000 |
【解答】
長期貸付金:前TB40,000−3,000=37,000
貸倒引当金繰入額:4,000+100=4,100
貸倒損失:3,000
貸倒引当金:前TB200+4,000+100=4,300
2 有価証券
投資有価証券
本問は「期首の再振替仕訳をしていない」とあるため、本来であれば、前TBに対して再振替仕訳を行い、そのうえで期末の時価評価の仕訳を行うべきだが、有価証券の問題はそのような手間をかけなくても容易に解ける。ここでは、時短テクを使った解き方を紹介する。
基本的に、その他有価証券のBS価額は、全部純資産直入法を採用していようが、部分純資産直入法を採用していようが、減損があろうがなかろうが、期首に再振替仕訳をしていようがしてなかろうが、そういうことには一切関係なく、いつでも時価である。さまざまな条件に惑わされてはいけない。単に時価を答案用紙に書けばいい。
つまり「C株19,000+D株14,000+E社社債の償却原価」が答案用紙の投資有価証券である。
ここでE社社債の償却原価を算定する。これもいちいち仕訳を切るのではなくて、以下の式で一発で出せる。
29,660×1.023−600=29,742(前期末)
29,742×1.023−600=29,826(当期末)
よって、投資有価証券:C株19,000+D株14,000+E社社債29,826=62,826
C社株式(その他有価証券)
問題文に5,000の追加購入があったなど書かれているが、気にしなくてよい。要するに、問題文に示された取得原価(20,000)と当期末時価(19,000)の両方が5,000の追加購入をしたあとの金額であることが分かれば、それだけでOK。単純に20,000→19,000なのだから、1,000の評価差額(不利)が生じたと考えればよい。
さて、ここで問題なのは、全部純資産直入法なのか部分純資産直入法なのかだ。指示がない。ただ、C株もD株もどちらも時価評価すると評価差額(不利)なのに、答案用紙に「その他有価証券評価差額金」が借方にあることから、全部純資産直入法と判断できる。
また、前TBに繰延税金負債300とその他有価証券評価差額金700が貸方残として計上されている。このことから前期末に+1,000の評価差額があったと推測される。
これは、前期末において、C株が取得原価15,000(=20,000−追加取得5,000)と前期末時価18,000の差額から+3,000であり、D株が取得原価30,000と前期末時価28,000の差額から△2,000であり、これらを合算したものである。この点から、全部純資産直入法を採用していたと判断できる。
ということで、全部純資産直入法なのだけど、こういうところで難しくするのはどうかと思う。正々堂々と「全部純資産直入法を採用」と書けばいいのにと思う。(単なる感想です)
よって、その他有価証券評価差額金:(20,000−19,000)×0.7=700(借方残)
D社株式(その他有価証券)
問題文に示された取得原価(30,000)と当期末時価(14,000)から、16,000の評価差額(不利)が生じている。問題は、D株は減損処理対象なのかそうではないかだ。
減損処理するためには、単に取得原価の50%以下になるだけではなくて「回復の見込みがあると認められない」という条件がつかないといけない。本問にはその指示がない。まあ、答案用紙に「投資有価証券評価損」があるし、資料4に「税効果の一時差異は<中略>、有価証券の時価評価・減損処理から生じるものに限られる」とあることから減損処理をしなさいってことなんだろうけど、厳密には問題の不備だと思う。
よって、投資有価証券評価損:30,000−14,000=16,000
E社社債(満期保有目的債券)
これは、簡単。テキストの設例レベル。合格者レベルなら2分以内に終わらせるくらいのスピード感で解いてほしい。さきにも書いたがE社社債の償却原価を算定する。
29,660×1.023−600=29,742(前期末)
29,742×1.023−600=29,826(当期末)
ということで、当期の償却原価額(科目は有価証券利息)は、29,826−29,742=84
よって、有価証券利息:前TB600+84=684
なお、29,742(前期末)×2.3%=684で検算すること。
税効果はあとでまとめてやる。
3 転換社債型新株予約権付社債
テキストの設例レベルの基本問題。稼ぎどころ。ここで落としたら終わる。
まず、前TBを確認する。社債93,746と新株予約権6,254(合計すると100,000)と区分されているので、区分法を採用していることが分かる。当期首に発行とあり、利払いも年1で、権利行使は期末だから、もっとも易しいケース。社債を償却原価して行使の処理をするだけ。
社債利息:93,746×1.3%=1,219
社債:93,746×1.013×0.8=75,972
新株予約権:6,254×0.8=5,003
自己株式処分差損益:(93,746×1.013+新株予約権6,254)×0.2−自己株式の処分簿価18,000=2,244
その他資本剰余金:前TB2,500+2,244=4,744
4 税効果会計
一転して、面倒で難易度が高めの割に配点が少ない箇所。後回しにすべき論点。時間があまったら手を付けよう。
問題文に「税効果会計における一時差異は、貸倒見込額の算定(債権金額から控除したものも含む)と有価証券の時価評価・減損処理から生じるものに限られる」とあるので、書かれているとおりに集計する。
【繰延税金資産】
一時差異
貸倒見込額:300+4,000+3,000=7,300
C株のその他有価証券評価差額金(損):1,000
D株の投資有価証券評価損:16,000
合計:24,300
よって、繰延税金資産:期末の一時差異24,300×0.3=7,290
【法人税等調整額】
期間差異
貸倒見込額:300+4,000+3,000=7,300
D株の投資有価証券評価損:16,000
合計:23,300
よって、法人税等調整額:期末の期間差異23,300×0.3−前TB繰延税金資産150=6,840
商簿・第2問の概要
答案要求
持分法による投資損益と、連結BSなどが答案要求されました。
問題概要
- 持分法
- 連結会計
- 税効果会計
難易度
一部、難易度の高い問題もありましたが、捨てて問題ありません。それ以外は基本重視の問題でした。8割は取ってもらいたいです。
以下の解説をご覧頂くうえでのお願い
- 原則として金額の単位が無いものはすべて百万円単位です。
- 誤字脱字などありましたらご連絡頂けると大変うれしいです。
1 持分法
タイムテーブル書いて、機械的に計算すれば瞬殺。
| 20X1 | 20X2 | |
| 資本金 | 3,000 | 3,000 |
| 利益剰余金 | 5,000 | 6,000 |
| 評価差額 | 500 | 500 |
| 合計 | 8,500 | 9,500 |
| 0.3持分 | 2,550 | 2,850 |
| 取得額 | 3,000 | |
| のれん | 450 | 405 |
問1 (6,000−5,000)×0.3−のれん償却額45=255
2 連結会計
これもタイムテーブル書いて、機械的に計算すれば瞬殺。
【A社:持分法適用会社→連結子会社】
| 20X2 | 20X3 | 20X4 | |
| 資本金 | 3,000 | 3,000 | 3,000 |
| 利益剰余金 | 6,000 | 6,900 | 7,500 |
| 評価差額 | 500 | 600 | 600 |
| 合計 | 9,500 | 10,500 | 11,100 |
| 0.2非株 | 2,100 | 2,220 | |
| 0.8持分 | 8,400 | ||
| 取得額 | 9,600 | ||
| のれん | 1,200 | 1,080 |
【B社:連結子会社】
| 20X2 | 20X3 | 20X4 | |
| 資本金 | 2,000 | 2,000 | |
| 利益剰余金 | 2,500 | 3,000 | |
| 合計 | 4,500 | 5,000 | |
| 0.4非株 | 1,800 | 2,000 | |
| 0.6持分 | 2,700 | ||
| 取得額 | 3,000 | ||
| のれん | 300 | 240 |
【解答】
流動資産:個別FSを足すだけ(15,700+3,500+1,000=20,200)
固定資産:個別FSの合計に評価差額を足す(20,000+10,000+8,000+600=38,600)
のれん:A社1,080+B社240=1,320(上記タイムテーブルより)
流動負債:個別FSを足すだけ(6,000+1,000+1,000=8,000)
固定負債:個別FSを足すだけ(10,000+2,000+3,000=15,000)
資本金:P社の資本金10,000
利益剰余金:貸借差額から22,900
非支配株主持分:A社2,220+B社2,000=4,220(上記タイムテーブルより)
3 B社株式の一部売却(連結→持分法)
今回は出来なくて問題ないが、次回からは出来るようにしておくべき。
20X5年度のB社の純資産2,000+3,500=5,500
売却後の持ち分(20%):5,500×20%=1,100
のれんの処理:210÷60%×20%=70
B社株式の連結上の貸借対照表価額:1,100+70=1,170
