第162回日商簿記1級・詳細解説【商業簿記】

商簿

商業簿記の解説です。レビューでも書きましたが、基本的に本問は商品売買を後回しにして、いかにそれ以外で稼ぐかがポイントです。そこで、もし、商品売買を完全に捨てたらどうなるか?から見ていきましょう。(実際に、私が解いた手順です)

もし商品売買関係を一切捨てたとしたら

もしもですよ資料2の商品売買(X商品とY商品に関するすべての処理)を捨てたとしましょう。つまり問題文を読みもしないという状態です。となると、問2の(1)〜(5)までも一切捨てることになるのですが、その代わり他をすべて取ったとしましょう。どうなるでしょうか。

資料1(手形の割引)4分

受取手形10,200を割り引いたけど未処理。この受取手形について10,200×2%=204の保証債務を計上する。要するにこれだけ。ちなみにどうせBSしか聞かれていないので、手形売却損とか、貸倒引当金の取り崩しとか保証債務費用とかは、気にしなくてよい。もし、どこかで計算が必要になったらそのとき考えればいい。ということで、この時点で、次の2つが解答できる。

  • 保証債務:204
  • 受取手形:前TB88,000-10,200=77,800

資料2(商品売買と収益認識基準)

商品売買に関することなので一切無視

資料3(為替予約)3分

教科書に載っているとおりの為替予約。BSしか聞かれていないので、最終的に買掛金と前払費用のみ考えればいい。

買掛金は、$200千×@115だったものが$200千×@135になるので、$200千×@20=4,000増える。前払費用は、直先差額が3ヶ月間で@120→@135と@15円動くうちの1ヶ月分なので、$200千×@15×1ヶ月÷3ヶ月=1,000

  • 買掛金:前TB110,000+4,000=114,000
  • 前払費用:1,000(実際はこのあと動くのでこれが解答ではないけれど、一旦解答用紙に書いてしまうことをおすすめ。動いたら直せばいいだけ。)

資料4(貸倒引当金)2分

受取手形と売掛金について貸倒引当金を設定するだけ。

  • 受取手形の貸倒引当金:77,800×2%=1,556
  • 売掛金の貸倒引当金:前TB122,000×2%=2,440

資料5(車両の買換え)15分

期中にやっていた処理を推測する。取得原価400,000の車両、残存0、耐用年数5年の定額法で4年と9ヶ月使っている(残り3ヶ月)ので、売却簿価は400,000×3÷60=20,000。これを22,000で売ったので売却益は2,000のはず。ただ、答案要求はBSなのでこれは計算する必要はないのだけど、一応、前TBの固定資産売却益2,000との整合をチェックして考え違いしていないことを確認する。

問題は、このあとの新車の購入。@20,533千円の手形を18枚振り出しているけど、これは利息込みなので利息抜きの価額を算定しなければいけない。利息は自分で割引計算するのか?と思ったら前TBの長期前払費用8,694が利息ですよ、と問題文に書かれているのでそれに従えばいい。

  • 車両運搬具:旧車の下取り22,000+@20,533×18-8,694=382,900

あとは、この手形の処理(18ヶ月と1年を超えていて答案要求がBSなので長短に分けないといけない)と利息の処理(これも来期以降分を前払費用と長期前払費用に分けないといけない)をすればOK

手形の方は、最初、@20,533×12ヶ月を流動負債、6ヶ月分を固定負債に計上すればいいんでしょ、と思ったもののふと前TBをみると車両購入手形が307,995になっている。ん?@20,533×18=369,594のはずなんだが、どういうこと?整合していないぞ?と焦る。

念の為割ってみる。307,995÷@20,533=15?あ、そうか。18枚振り出したけど、すでに3枚は決済終わっているのか。確かに問題文に1月末から決済していると書かれているわ。あぶねーよ。ということで、@20,533×12ヶ月を流動負債、3ヶ月分を固定負債に計上すればいい。

  • 流動負債の車両購入手形:@20,533×12=246,396
  • 固定負債の車両購入手形:@20,533×3=61,599

最後に、利息の期間配分をする。級数法?こりゃまた伝統的な処理ですね。18回だと、項数は18×19÷2=171ですね。で、最初の3ヶ月(項数:18+17+16=51)が当期の支払利息、ラストの3ヶ月(項数:3+2+1=6)が長期前払費用、残りが(項数:171-51-6=114)が前払費用ですね。どうせBSしか聞かれていないので、前払費用と長期前払費用のみ計算します。

  • 前払費用:前TB長期前払費用8,694÷171×114=5,796(先程答案用紙に記入した1,000円に加算して6,796に書き直す)
  • 長期前払費用:前TB長期前払費用8,694÷171×6=305

あとで、ネットスクール社の講評を拝見したところ、月々でその都度四捨五入しなければいけないとのこと。おお。そのとおりだ。その都度記帳しているもんね。いや、でもこれ、作問者も見落としているんじゃない?多分、上記でも配点来ると思う。

資料6(減価償却)4分

ここは瞬殺してね。なお備品は保証額に引っかかっているかチェックすること。

  • 建物減価償却累計額:前TB585,000+1,500,000×0.9÷40=618,750
  • 備品減価償却累計額:前TB262,500+前TB(600,000-262,500)×0.25=346,875
  • 車両運搬具減価償却累計額:取得原価382,900÷5年×3ヶ月÷12ヶ月=19,145

資料7(減損会計)3分

使用価値は、(シャープの電卓の場合)50,000÷1.04=====GT で222,591に対して、正味売却価額が223,000なので、こちらが回収可能価額。ちょっとめずらしい(試験問題としては使用価値の方が回収可能価額になるケースが多いので)

よって、備品の簿価253,125(=600,000-346,875)を223,000に切り下げるので減損損失は30,125

  • 備品:前TB600,000-30,125=569,875

資料8(自己株式の消却)1分

自己株式99,680を消して、その他資本剰余金を取り崩すのだけど、10,680足りない。じゃあその他資本剰余金を0にして、繰越利益剰余金から10,680取り崩せばいい。なお後TBが答案要求なら、繰越利益剰余金667,000から10,680を引けばそれが答えだけど、答案要求がBSなので当期純利益を出さないとダメ。どうせ時間内には無理なので捨てる。

資料9(見越繰延)1分

前払費用5,600を繰り延べる。前払費用ってまた動くのか。あと未払費用は4,800を答案用紙に移すだけ。

  • 前払費用:先程答案用紙に記入し直した6,796に5,600を加算して書き直して12,396
  • 未払費用:4,800を移すだけ

資料10(法人税等)1分

法人税等575,000から仮払法人税等310,000を引くだけ

  • 未払法人税等:575,000-310,000=265,000

商品売買関係を一切捨てて何点取れるか

以上、商品売買関連を全て捨てたわけですが、どれだけ答案用紙を埋めることが出来たでしょうか。

実に15箇所です。これは、前TBを移すだけの項目を除いてです。実際には配点調整があって、前TBを移すだけの箇所(支払手形や資本準備金など)にも配点来る可能性があります。つまり17点くらい来てもおかしくないんです。

毎回、講義でしつこく言ってますが、商品売買関係はハマると危ないんです。そういうのは取り合えず捨てて、他をミス無く取るようにする。それで何とかなっちゃうんです。

さらにです。実は商品売買すらも勘定分析をしてきちんと解こうとしないで、返品資産とか返金負債、契約負債だけピンポイントで取れないかな?と考えるとこれがあっさり取れるのです。

ここで部分点稼げればさらに点数を伸ばせます。

こういった解答戦略で臨めたかどうかが鍵だったと思います。

商品売買はどう対処すべきだったか

商品売買は、状況が読めてしまえば全然どうってことの無い問題なのですが、それは結果論ですね。

商品はXとYの2種類あるし、Yは返品権付きで販売された後に実際に返品されているし、さらにそれが2月分と3月分あるばかりか前期分がどうしたこうしたとまで書かれていて、まあ、初見だとパニックになりますよ。冷静に状況把握をしようとしても10分は掛かるし、それで把握出来たとしても解けるとも限らないので、やはりここは原則捨て問、時間余ったら部分点狙いが正解だと思います。

ただ、XとYは独立していますから、どちらかだけでも手を付ければ部分点狙えます。まずはXだけでもやっちゃいましょう。

商品Xに関する処理

本来は契約負債にすべきだった手付金4,620を売上にしているので、振り替えます。

売上4,620/契約負債4,620

収益に関してはこれだけですね。あと、前TBの科目から売上原価対立法を採用していることが分かるので、棚卸減耗費と商品評価損を売上原価に振り替えます。

売上原価1,230/商品1,230

とりあえずやることはこれだけです。この時点で、契約負債はもう動かない(商品Yは返品権付き商品販売なので契約負債とは無関係)なので、解答可能です。

  • 契約負債:4,620

商品Yに関する処理(正統的に解く方法)

問題はこれです。返品権付き商品の問題です。セオリー通りに解くなら仕訳を書いていくのが良いでしょう。まず、収益の仕訳を切って、これに原価率62%(Xの原価率が77.5%で、Yは売価が25%増しなので、77.5÷125=62%)を機械的に掛けていくだけです。

すでに処理済みですが、2月と3月の販売時に行われていたであろう仕訳を見てみます。

2月の販売時に行った処理
現金預金 125,000 売上 120,000
    返金負債 5,000
売上原価 74,400 商品 77,500
返品資産 3,100    
3月の販売時に行った処理
現金預金 105,000 売上 100,800
    返金負債 4,200
売上原価 62,496 商品 65,100
返品資産 2,604    

これが正しいかどうか、前TBの返品資産と返金負債を確認することでチェックできます。整合していますよね。

で、ここで、未処理であった返品の処理を行います。2月分の見込み返品額5,000に対して実際は4,550返品されたってことですよね。

決算整理事項として行うべき返品の処理
返金負債 5,000 現金 4,550
    売上 450
売上原価 279 返品資産 3,100
商品 2,821    

この仕訳が出来たかどうかが勝負だったと思います。考え方としては、とにかく返品期限が来たのであれば返金負債は全額取り崩します。よって、借方で返金負債5,000を計上。そして、実際の返金額は4,550ですからこの処理をして、残額を売上高にします。返って来なかった分は、売れたってことですね。

これで収益の処理が出来たのであとは原価の処理をするだけです。原価率62%を機械的に掛けましょう。

ここまでできれば、現金、返金負債、返品資産、商品を求めることが出来ます。

  • 現金預金:前TB54,620-4,550=50,070
  • 返金負債:前TB9,200-5,000=4,200
  • 返品資産:前TB5,704-3,100=2,604
  • 商品:前TB87,779-棚減と評価損1,230+返品分2,821=89,370

以上で、5箇所追加ゲットできます。

返金負債と返品資産をショートカットで解く方法

なお、私が実際に解いたときは、上記のようには解きませんでした。これ、よくよく考えると2月分の販売によって発生した返品資産やら返金負債は、どのみち返品期限が到来しているのでなくなっちゃうわけです。なので、3月分だけ残っているんじゃね?と考えて、返金負債:105,000-100,800=4,200、返品資産:4,200×62%=2,604で一発で出しています。

問2の対処

(1)Y商品の見積返品率

これは、取りたいですね。2月は5,000÷125,000=4%、3月も4,200÷105,000=4%なので、どちらにしても4%です。

(2)X商品の売上総利益

これもXだけのことを聞かれているので単発で取れます。できれば取りたいところです。

Xの売上高は5,553,620-4,620=5,549,000です。売上総利益率が22.5%とありますが、棚卸減耗費と商品評価損の1,230は売上原価算入なので次の式で計算します。

  • 売上総利益:5,549,000×22.5%-1,230=1,247,295
(3)売上原価

売上原価対立法ですから、基本的には前TBの6,614,680が売上原価なんですよ。ここに棚卸減耗費と商品評価損の1,230と未返品分の279を考慮すれば答えが出ます。

  • 売上原価:前TB6,614,680+棚減と評価損1,230+未返品分279=6,616,189
(4)売上高

正直、これ、本試験中は出来ませんでした。Xの売上高は当然分かっているわけですが、Yが分からないんですよね。利益率は、毎期異なっているって書かれているので。期首分42,888をいくらで売ったのかが分からない。なんか、見落としがあるのかなぁって思いながら考えていたところでタイムアップでした。事務所帰って「これ、もしかして前TBが推定になっているけど、これを貸借差額から出して解答するのかな?」と思ってやってみました。

  • 前TBの売上高:9,286,170(車両運搬具382,900、仮受金9,894を確定させて、貸借差額より)
  • 売上高:9,286,170-契約負債への振替4,620+返品時の売上計上450=9,282,000
(5)当期純利益

こんなもん、時間があってもやりません。

第162回日商簿記1級・詳細解説【商業簿記】” に対して4件のコメントがあります。

  1. まみや より:

    こんにちは、商簿が各社採点した結果8点、9点など足切りでした、今回傾斜などあるでしょうか??

    1. pro-boki より:

      配点箇所がどこになるか分かりませんが、商簿は傾斜配点があると思います。

  2. sei より:

    こんにちは。
    返品率を計算し回答する際、問題文の指示に惑わされ少数以下第1位まで表示するのかと思い、綺麗に4という数字が出たにもかかわらず4(%)のところを4.0(%)と回答してしまいました。この場合誤答扱いになってしまうのでしょうか?

    1. pro-boki より:

      私なら部分点扱いにしますが、試験委員がどのように採点するかは、分かりません。

コメントは受け付けていません。