講師が自信を持って勧める簿記学習に役立つ名著(基本書編)

図書館

財務会計の定番基本書

財務会計の基本書としては、桜井久勝先生、広瀬義州先生、武田隆二先生あたりが定番だろう。どの先生の本も素晴らしい。どれか1つがずば抜けているという感じではない。順に紹介していこう。

多分一番人気の基本書

個人的には桜井先生の「財務会計講義」がもっとも切れ味がいいと思う。本質をスパッと解説している。言い回しが多少固いかもしれないけど。決して読みにくくはない。個人的は一番おすすめ。

少し分厚いけどより読みやすい基本書

広瀬先生の「財務会計」も定番基本書だ。桜井先生の著作よりも読みやすいというか分かりやすい気がする。その分分厚いけれど。どちらを購入しても後悔は無いだろう。

名著だがもう亡くなられているで改訂されないのが玉にキズ

武田 隆二先生は、神戸大学の名誉教授。会計学界では神戸会計学派の親玉として君臨。税理士試験の試験委員、公認会計士の試験の試験委員も歴任されている。そんな武田先生の著作「最新 財務諸表論」は読むとか読まないとか関係なく買っておくべきものという認識で、私も購入した。しかし残念ながら、武田先生、2009年に亡くなられている。よって、2008/04発刊の第11版が最後の著作だ。もう改訂はされない。よって、昨今の会計基準には対応していない。なので試験に実用的かといわれれば、Noと言わざるを得ない。そして、中身もとっても難しい。読みにくい。うん、買わなくてもいいと思う。

だが、持っているだけでかっこいい、本棚にあるだけで出来る人の雰囲気を醸し出せるという意味では、その価値は現時点でも健在だろう。

工業簿記・原価計算の定番基本書

名著中の名著「原価計算」

もう、細かいことは言わない。お財布と相談して、可能なら買っておけ。そう断言できる名著中の名著が、一橋大学の名誉教授、岡本清先生の原価計算だ。ん?一橋…ひとつばし…HITOTSUBASHI…略すとHIT…143回の工業簿記の問題は「HIT製作所…」

そんなところから、日商簿記1級の試験委員ではないか、との噂もあったりなかったり。

しかし、岡本先生は御年86歳。現役で作問しているとも思えない。で、そのお弟子さん達が作っているのだろうと言われていたりいなかったり…ゴニョゴニョ。ま、とにかく、この「原価計算」という書籍、原価計算の世界では完全にバイブルとなっている。

なぜか。
それは、大御所の書かれた本だから、というだけが理由なのではない。本当に内容が素晴らしいのだ。正直に言おう。管理人が工業簿記・原価計算を好きになったきっかけの本なのだ。ちなみに、私は、この本を2回、買っている。1冊目は読みすぎて本が壊れてバラバラになったからだ。と、ここまで書くと「じゃあ、私も買おう」と思われる方もいるかもしれない。

しかし…高い!驚きの9,720円
そして…厚い!驚きの1,000ページ超え。
さらに…重い!とてもじゃないけど持ち歩けない。

もう、本として使うより、枕として使ったほうがしっくり来るんじゃないかという勢いだ。

まあ、それは冗談としても、試験だけを考えたら、こういった副読本を使った学習は効率がいいとは言えない。やはりテキストを学習の柱にすべきだ。テキストは、過去問を分析し、出題傾向を考え、効率良く学習できるよう編集されている。そして、言い回しも、平易で読みやすい。だから、副読本よりも、まずは、テキストだ。

しかし、あえて言いたい。

受験用テキストは効率を重視しすぎている。(受験用テキストの著者である自分で言うのもなんだが)

効率は確かにいい。試験に出そうな部分だけズバッと書いてある。しかし効率を重視しすぎて、深みに欠けるのも事実だ。なぜ、そういう計算処理を行うのか、それがどういう意味を持つのか、そのあたりの深い解説は、やはり学者の書かれた本は深い。受験には直結しないが、なんというか知識に深みがつくのだ。

少なくとも私の講義では、こういった話を噛み砕いて導入している。だから私の講義を聞いている人は、買わなくても大丈夫だ。しかし、あえて買いたい、という方がいるなら、それはあえて止めない。

本試験に出題されたこともある「管理会計」

岡本先生と、そのお弟子さんたち4人による共著「管理会計」。本書に掲載されている設例とそっくりの問題が、本試験に何度か出題されている。というと「それは買いじゃないか!」と思うだろうが、この本、正直、読みにくい。表現が固すぎる。回りくどい。眠くなる。

なので、この本を読みこなすのは相当困難だろう。そこまでの努力をするなら、普通にスクールのテキストや問題集をきちんとこなした方がいいだろう。しかし、試験問題のおおもとはここにあり、という意味では知っておいてもいいかもしれない。

工業簿記の隠れた名著「現代原価計算講義」

個人的にお勧めなのが現代原価計算講義(小林啓孝先生)だ。工業簿記から管理会計までもれなく書かれているが、特に、工業簿記の解説が素晴らしい。総合原価計算の解説は絶品といえるだろう。本当に多くのことを学ばせて頂いた。先生ありがとうございます。


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講師が自信を持って勧める簿記学習に役立つ名著(基本書編)” に対して1件のコメントがあります。

  1. 熱男 より:

    岡本清先生の「原価管理」、電子書籍にしていただけるとありがたいのですが、
    そのような出版社ではないですよねぇ…

    a○○z○nあたりが頑張ってくれないでしょうか???

    1. pro-boki より:

      そうなんですよねぇ。
      なんと、私、岡本先生の原価計算、2冊持ってるんですよ。1冊は読みすぎてボロボロになっちゃったんで、もう1冊買ったんです。で、最初の1冊は、自炊(裁断してスキャナーで取り込んで)してPDF化したんです。うふふ。

    2. 熱男 より:

      自炊って、手がありましたね。

      中古本を探して、そうしようかなとも思いましたが、
      あの厚さだと、ちゃんとした裁断機と、
      それなりのスピードのドキュメントスキャナがないと、
      相当時間がかかりそう…

      まじめに考えるとあっという間に時間を使ってしまいそうなので、
      とりあえず、試験が終わるまでは、この話は凍結しておきます。

  2. cafe より:

    本の紹介ありがとうございます。

    どんな本かと確かめるには、図書館で借りるのがいいですよ。
    福岡市は、ネットで検索、予約、延長ができます。
    紹介されている本は、沢山バージョンがあるので、どれか借りることができます。
    ただ、ここで紹介されているのか、最新バージョンは全て貸出中になっています。

    本によっては、アマゾンの中古で安く売っています。(リンク貼ってあります)

    自炊するなら、キンコーズで1冊108円で断裁してくれます。
    スキャンは、8円/枚とちょっと高いですが、(A3とかは便利です)
    ScanSnapを買うと両面連続スキャンができますが・・・

    1. pro-boki より:

      cafeさん

      コメントありがとうございます。
      図書館はいいですね。東京の多摩市もネットで検索、予約などできます。

      版については、管理会計計は15年位前でも全く問題ないです。
      一応仕事柄、旧版と新版の両方持ってますが、言うほど変わってません。
      少なくとも1級の試験を考えたら、旧版で全く問題ないです。

      財務会計系は、5年位前でも95%以上は大丈夫です。大きな変更点は連結と企業結合くらいですが、これは資格テキストで十分カバーされています。基本書の肝である会計の本質的な部分は旧版でも全く問題ないです。

      財務会計系の旧版は、古いと極端に安いのでお勧めです。

      ちなみに、私は、お気に入りの基本書は2冊づつ買ってます。
      1冊は読む用、もう1冊は自炊用です。ScanSnapで自炊しています。
      一度自炊の味を知ったら、もう戻れませんね。

  3. いちきろう より:

    こんばんは。

    『財務会計講義』買っておいてよかったです。使い方としてはテキストで分かりづらいところで、索引から該当箇所を読むだけなんですが。
    モチベーションがアップします。なぜかというと、問題が解けないことには受からないことは百も承知なんですが、なぜこういう処理がしたいんだろうかとか、しなければどうなるのかという部分が知りたくなるので単純にそこをみたして「なるほどなあ」などといっています。どちらかというと息抜きです。

    1. pro-boki より:

      >『財務会計講義』買っておいてよかったです。
      そう言ってもらって嬉しいです。
      最初は、結構難しく感じると思うんですよ。言葉も結構硬いし。
      ですけど、いちきろうさんのように、まずテキストで概要や会計処理内容を掴んだ上で、その理論的背景を学ぶという使い方をすると、結構理解出来ますし、土台がしっかりするんですよね。

      >どちらかというと息抜きです。
      いいですねぇ。いいです。

  4. タカリン より:

    桜井久勝先生の財務会計講義は毎年改訂されているのでお薦めです。

    廣瀬義州先生の財務会計は廣瀬義州先生が2016年9月21日に逝去されたので、第14版は出ないでしょう。

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