1級商会・為替予約(独立処理と振当処理)

為替予約
さて、為替予約。ここも苦手意識のある人、多いんじゃないかな。
私も受験生時代は苦手だった。いったんは覚えるんだけど、すぐ忘れちゃう。為替予約をするタイミングによって仕訳が異なったり、資金取引と営業取引、振当処理と独立処理で仕訳が異なったりと、なんだか複雑で、すぐ混乱してしまう。
どうやって克服したか、紹介するよ。2回に分けて紹介する。
この第1回目が大事だからね。しっかりマスターしよう。ここも仕訳は簡単だからといって単なる暗記で切り抜けようとしちゃダメだよ。なぜ、こういう処理をするか噛み砕いて書いたから、しっかり読んでね。
為替予約の論点の学習方法
為替予約の会計処理は、大きく分けて独立処理(原則)と振当処理(特例)があるけれど、前者はデリバティブ取引(ヘッジ会計)とまったく同じだ。だからあらかじめデリバティブ取引(ヘッジ会計)を勉強しておくと効率がいい。「一緒だな」ということでおしまいにできるから。
振当処理は、ちょっとイレギュラーだ。しっかり学ぼう。でも、実はこれも良く出てくるパターンなんだ。つまり、どこかのタイミングで損益を認識できるけど、それ、全部を当期の損益にしちゃあまずいよね、翌期以降の分も含んでいるし、というパターン。最近だと、セール・アンド・リースバックの記事で紹介した。これと一緒。
こう、考えると、いかに、基本的な会計処理をしっかり押さえることが大事かが、分かってもらえると思う。つまり、基本的な会計処理を根っこの部分で分かっていれば「この論点って新しいと思ったけどあれと同じ考え方か。あの処理の◯◯が、△△に変わっただけね」という覚え方で学習が終わる。圧倒的に短時間。そして「この会計パターンいろんなところで出てくるなぁ」ということで記憶に残りやすい。圧倒的な相乗効果。
こういう視点で見れば、為替予約もあっという間に学習が終わってしまう。「こんなの労力使って暗記するような論点じゃない」それが、合格する人の思考であることを知ってほしい。
独立処理はデリバティブ(ヘッジ会計)と同じ
では、まずは独立処理からいこう。テキストではおおむね応用論点扱いになっているけど、別に難しくないから先にやる。というか、さっきも書いたけど、デリバティブ(ヘッジ会計)と同じだ。例題で見ていこう。
次の各取引について仕訳を示しなさい。会計処理は独立処理を採用している。なお、会計期間は1年間、決算日は3/Eであり、決済額は現金で処理すること。
2/1/1、商品30ドルを掛取引で輸入した。買掛金の決済日は2/5/E。
2/2/1、上記買掛金30ドルにつき、ヘッジ目的で為替予約を行った。
2/3/E、決算を行った。
2/5/E、買掛金と為替予約の決済を行った。直物為替相場と先物為替相場は以下のとおり。
直物為替相場 先物為替相場 取引発生日 2/1/1 100円/ドル 98円/ドル 為替予約日 2/2/1 103円/ドル 101円/ドル 決算日 2/3/E 107円/ドル 106円/ドル 決済日 2/5/E 115円/ドル 115円/ドル
ポイントを再確認するよ。
- ヘッジ対象(この場合、買掛金)の会計処理は、単なる外貨換算と一緒だ。決算日には時価評価して、評価差額は損益として計上する。
- ヘッジ手段(この場合、為替予約)は、”約束”にすぎないけど、それは資産価値のあるものであり、決算日には時価評価する。評価差額は損益として計上する。分かりにくければ、売買目的有価証券と同じと思うと覚えやすい。
そして、もし、ヘッジ対象とヘッジ手段で損益の認識タイミングが異なるなら、それを合わせましょうね、というのがヘッジ会計。忘れちゃった人は、この記事を再確認してほしい。本問は、決算日においてヘッジ対象、ヘッジ手段ともに損益を認識するからタイミングがあっている。だから何もすることはない。普通に上記のヘッジ対象とヘッジ手段の仕訳をすればいい。それだけ。
独立処理なので、タイミングごとに会計処理をするよりも、ヘッジ対象とヘッジ手段それぞれ独立して会計処理をした方が分かりやすい。では、ヘッジ対象からいってみよう。
ヘッジ対象(買掛金)
取引発生 2/1/1 |
(仕入) | 3,000 | (買掛金) | 3,000 |
為替予約 2/2/1 |
仕訳なし | |||
決算日 2/3/E |
(為替差損益) | 210 | (買掛金) | 210 |
決済日 2/5/E |
(買掛金) | 3,210 | (現金) | 3,450 |
(為替差損益) | 240 |
これは、特に解説いらないと思う。要するに買掛金30ドルを、それぞれのタイミングで時価評価(直物為替相場)しているだけの話だ。為替予約うんぬんというよりも単純に外貨換算の話だね。
ヘッジ手段(為替予約)
取引発生 2/1/1 |
仕訳なし | |||
為替予約 2/2/1 |
仕訳なし | |||
決算日 2/3/E |
(為替予約) | 150 | (為替差損益) | 150 |
決済日 2/5/E |
(現金) | 420 | (為替予約) | 150 |
(為替差損益) | 270 |
こちらも簡単。ただのデリバティブの仕訳だ。売買目的有価証券と同じと思えばいい。いまいち覚えていない人はこちらを読み直そう。
取引発生日は、為替予約は関係ない。為替予約日もデリバティブは単に”約束”をしているだけだから、仕訳はしない。
決算日(2/3/E)は、2/2/1に1ドルあたり101円で30ドル分買えると約束したものが、決算時には1ドルあたり106円と5円高くなっているわけだから、評価差額を損益計上すればいい。
決済日(2/5/E)は、101円で30ドル分買えると約束したものが115円になっているんだから420円儲かる。だけどそのうち150円は前期の損益だから、当期は270円計上する、というだけの話。普通の売買目的有価証券のときと変わらない。勘定科目が違うだけ。
振当処理は損益を繰り延べる論点と同じ
続いて振当処理だ、こちらの方が試験に出やすい。これは、独立処理とは別に考えた方がいい。さきほどと同じ問題で考えてみよう。
次の各取引について仕訳を示しなさい。会計処理は振当処理を採用している。なお、会計期間は1年間、決算日は3/Eであり、決済額は現金で処理すること。
2/1/1、商品30ドルを掛取引で輸入した。買掛金の決済日は2/5/E。
2/2/1、上記買掛金30ドルにつき、ヘッジ目的で為替予約を行った。
2/3/E、決算を行った。
2/5/E、買掛金と為替予約の決済を行った。直物為替相場と先物為替相場は以下のとおり。(単位:円/ドル)
直物為替相場 先物為替相場 取引発生 2/1/1 ① 100 98 為替予約 2/2/1 ④ 103 ② 101 決算日 2/3/E 107 106 決済日 2/5/E 115 115
振当処理は、ヘッジ手段とヘッジ対象をセットにして考える方法だ。それぞれのタイミングごとの仕訳を見ていこう。
取引発生 2/1/1 |
(仕入) | 3,000 | (買掛金) | 3,000 |
為替予約 2/2/1 |
(為替差損益) | ⑤ 90 | (買掛金) | ③ 30 |
(前受収益) | ⑥ 60 | |||
決算日 2/3/E |
(前受収益) | ⑦ 30 | (為替差損益) | ⑦ 30 |
決済日 2/5/E |
(買掛金) | 3,030 | (現金) | 3,030 |
(前受収益) | 30 | (為替差損益) | 30 |
特に大切なのが、為替予約日の仕訳だ。理解しないといけないのは、この時点で、この取引の為替差損益が確定しているということだ。なぜならば、為替予約をしたので、もう決済日における為替レートが確定したからだ。
つまり、買掛金は、1ドルあたり100円(①)のときに記帳したけど、1ドルあたり101円(②)で為替予約した。よって買掛金が30円(③)増えることが確定。ここまで大丈夫だろうか。
問題は、では、その相手勘定は何か?ということだ。まあ、為替レートの変動による差だから為替差損益なんだけど、その30円すべてを当期の損益として計上してもいいものかどうか?ということが問題なんだ。
実はこれダメ。なぜならば100円(①)→101円(②)といきなりなったのではなく、
100円(①)→103円(④)→101円(②) という経路をたどったと考えるからだ。
で、100円(①)→103円(④)の部分は直々差額というのだけれど、これはどちらも当期に起きたことだから、この差額つまり90円分(=@3円/ドル×30ドル)は当期の損益として計上するのは問題ない。これは⑤のことね。
だけど、103円(④)→101円(②)の部分は直先差額というのだけれど、なぜ、ここに差が出るかといえば、これは、この為替予約日から決済日まで4カ月の期間が空いているからこそ発生しているわけ。(この@2円/ドルの差は、日米の金利差と決済日までの期間によって機械的に計算できる。まあ試験には出ないので気にしなくていい。とにかく期間に比例しているということが分かればOK.)
つまり、期間に比例して⑥の60円(=@2円/ドル×30ドル)の為替差損益が生じちゃっているんなら、それを全て当期の損益にしちゃあまずいよね、という考え方をする。じゃあどうすればいいかと言えば、いったん、前受収益にして決算日に当期に帰属する分だけ、損益計上すればいいじゃない、という考え方をするんだ。これが⑦の仕訳だね。本問の場合、4カ月で60円の損益が出ていて、決算日はちょうどその真中だから半分の30円を計上している。
これって、前回記事にしたセール・アンド・リースバックと同じでしょ。固定資産売却益が出たけどそれを全部当期の損益にしちゃあまずいから、いったん長期前受収益に計上して、決算日ごとに当期に帰属する分だけ減価償却費と相殺していったよね。同じ考え方だ。
で、決済日に買掛金と前受収益の残高を精算すればおしまいだね。ね、こうやって考えると、理にかなっていることが分かるでしょ。
本問のポイントは、⑥の60円だ。これ、為替差損益で処理しているけど、本当にそれでいいのだろうか。日米の金利差と期間に比例して発生しているんだったよね、じゃあこの60円って為替差損益ではなくて、利息じゃないの?と思ったあなた。本質が見えている。全くもってそのとおり。これ、本質は利息だ。だけど、まあ資金取引じゃないし、営業取引なので、まとめて為替差損益にしちゃいましょうというわけだ。
まとめ
以上が為替予約の第1回目の講義だ。試験対策だけ考えれば、ここが重要。
でも、これ以外にもいくつかパターンがある。まず営業取引ではなくて資金取引ならどうするか。それから、本問は、営業取引をした後に為替予約したけど、もし、先に為替予約をしておくとどうなるか。それから、ちょっと面倒なのが、先に為替予約だけしておいて、まだ営業取引をする前に決算迎えたらどうするか、などのパターンがある。
第2回目はこれらのパターンを紹介する。ここまで押さえれば、完璧だ。なお、これらも全てちゃんと理にかなっているので、しっかりその背景にある理屈を押さえてほしい。(ちゃんと噛み砕いて書くから)では、次回もよろしくね。
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為替予約の解説ありがとうございます。
これも仕訳が混乱してよく理解できていなかったので、暗記していました。
まず「独立処理」ですが、テキストに簡単な解説と問題しかなく・・
(現実はある話なのでしょうが、試験にあまり出ない理由で?)
ポイントは、ヘッジ手段→決済日までに決算があれば、
決算日の仕訳(益)→為替予約(B/S) XX/為替差損益 XX とする。
翌期首に「為替予約」を振戻して、決済日に差損益を算出する。
この「為替予約」はこの独立処理のときだけ使うB/S勘定でしょうか?
「振当処理」ですが、これはいつもタイムテーブルを使っていました。
ポイントは、為替予約日→ここでまず取引日と予約日までの為替差損益を出すと同時に、
予約レートとの差額を一気に出して「前受収益」または「前払費用」とする。
この前受・前払を決算日と決済日までの期間でそれぞれ月割して為替差損益を出して、
前受・前払を取り崩していく。
この流れでよろしいでしょうか?
確かに「独立処理」→デリバティブのヘッジ会計、
「振当処理」→セールアンド・リースバックと同じ考え方です!
もう少し繰り返し考えます。
>この「為替予約」はこの独立処理のときだけ使うB/S勘定でしょうか?
まあ、試験的にはそう考えていいと思います。
現実には、為替予約って単なるデリバティブですから、
投機目的で利用する人もいると思います。そういう場合にも出てきます。
要するに、デリバティブの種類は異なりますが、
「金利スワップ資産」とか「先物取引差金」などと同じB/S勘定です。
>「振当処理」ですが、これはいつもタイムテーブルを使っていました。
そうですね、テキストにはタイムテーブル書かれてますね。
でも、実際には、タイムテーブル使う必要ないんじゃないかなとも思います。
要は、直先差額(取引日におけるスポットレートと予約レートの差)を当期分と翌期分に分けるだけの話ですので、何カ月対何カ月だな、ってことだけ分かればいいのですから。
>ポイントは、為替予約日→ここでまず取引日と予約日までの為替差損益を出すと同時に、
そうですね、これが直々差額ですね。
>予約レートとの差額を一気に出して「前受収益」または「前払費用」とする。
>この前受・前払を決算日と決済日までの期間でそれぞれ月割して為替差損益を出して、
>前受・前払を取り崩していく。この流れでよろしいでしょうか?
はい、そのとおりです。
ちなみに、上記の記事は、あくまでも、取引→予約→決算→決済 という順のときの話です。まあ、よくテキストに書かれているパターンですよね。
じゃあ、もし、取引→決算→予約→決済 ってなったらどうなるか分かりますか?ちょっと考えてみると面白いかも。
>もし、取引→決算→予約→決済 ってなったらどうなるか分かりますか?
解説と同じ例題で日付を変えて考えてみました。(レートは表と同じです)
1/1 取引日→3/31決算日→5/1予約日→7/31決済日
【独立処理】
ヘッジ対象
1/1 仕入 3,000 / 買掛金 3,000
3/31 為替差損益 210 / 買掛金 210
5/1 仕訳なし
7/31 買掛金 3,210 / 現金 3,450
為替差損益 240
ヘッジ手段
1/1 仕訳なし
3/31 仕訳なし
5/1 仕訳なし
7/31 現金 420 / 為替差損益 420
【振当処理】
1/1 仕入 3,000 / 買掛金 3,000
3/31 為替差損益 210 / 買掛金 210
5/1 買掛金 120 / 為替差損益 120
買掛金 60 / 為替差損益 60
7/31 買掛金 3,030 / 現金 3,030
やっぱりタイムテーブルで考えました。
振当処理になっているんでしょうか?
自信ありませんが・・・
正解の解説をよろしくお願いします。
以下の表のレートであることを前提にして解いたということですね。
素晴らしいです!完璧な答えです。独立処理、振当処理ともに正解です。まあ、これを振当処理とは呼ばないような気もしますが(振り替えて割り当てているわけではないですから)。
しっかり理解されてますよね。もう、どのパターンが出題されても大丈夫だと思いますよ。記事読んでくれてありがとう。嬉しいです!
先生、ご確認ありがとうございます。
そうです、表のレートで算出しました。
最初のデリバティブの記事の流れから正解することができたと思います!
振当処理の5/1の予約日の仕訳が自信ありませんでしたが、よかったです。
少し自信つきましたが、まだまだ手放しで喜べないので
サクサク解けるよう繰り返して確認します。
次の記事も読みます!
(資本取引の場合ですね・・あまりやってきていません。ポイントおさえていきます)
はい、がんばってください。
でも、ここまで理解できていれば、もう山場は超えていますよ。あとはそれほど難しくないです。
すみません、次の記事は「資金取引」の場合です。
先生、こんばんは。為替予約の独立処理の記事で取引発生時の日付が2/1/1、となっていますが何年何月何日と解釈すれば良いのですか?決算日
2/3/E
これも何年何月何日のことですか?Eって何ですか?
2/1/1…2年1月1日
2/3/E…2年3月31日 です。
ご返信ありがとうございました。
本試験で、
2/3/Eを2年3月31日って各自で判断させる問題ってあるのでしょうか?
ないと思います。
ただ、そのような機転を求められる問題はあるかもしれません。
分かりやすい解説をありがとうございます。
他の参考書等もそうなのですが、決済時の直物為替相場レートと先物為替相場レートを同一レートにしているのは、意図的でしょうか?(独立処理で計算した場合と振当処理で計算した場合の為替差損益合計を一致するようにするため?)
ご教示よろしくお願いします。
直物と先物の為替レートの意味をもう少し詳しく書きますね。
2/2/1の直物為替レートは@103円、先物為替レートは@101円ですね。
これが意味するのは「2/2/1時点において、今すぐ1ドルが欲しいなら103円必要だけど、決済日(2/5/31)に1ドルの受け渡しでいいんだったら101円でいいよ」という意味です。
ちなみにこの101円というレートは、日米の金利差と決済までの期間から機械的に計算できます。(この計算式が簿記の試験で出るとは思えないので、ここでは省略しますが)
ということはですよ、決済日(2/5/31)の直物と先物の為替レートは何を意味するのでしょうか。
「2/5/31時点において、今すぐ1ドルが欲しいなら115円必要だけど、決済日(2/5/31)に1ドルの受け渡しでいいんだったら115円でいいよ」ということを意味しています。
つまり、この場合「今すぐ」と「決済日」が一致しているのです。ですので、レートが一致するのは当たり前なのですね。
ご返信ありがとうございます。直物為替相場と先物為替相場の表の見方を理解していなかったことが分かりました。
いつも大変参考にさせて頂いております。
把握力が乏しいので、どうしても振当処理の場合の予約時の仕訳が理解出来ません。
問題と同じレート表だとすると、為替予約時の仕訳で、まず直直差額(貸方)為替差損益90(借方)買掛金90 で、直先差額の60を(貸方)買掛金60(借方)前受収益60と考えてしまいます。結果は同じですが、こう考えてしまうことは理解するうえでどこか間違えていますか?
はい、全く問題ありませんよ。
貸借を相殺することで、同じ結果になる仕訳は、同じものとして扱って大丈夫です。
ご自分が理解しやすいやり方で仕訳を切って頂ければと思います。
(ただし、タイミングが違う仕訳は相殺してはいけません。例えば、その他有価証券を期末に評価替えして翌期首に再振替して、その数ヶ月後に売却したとします。この場合、再振替仕訳と売却では取引のタイミングが異なりますので、こういう仕訳は相殺しません。)
大変ありがとうございました。
参考も教えて頂き、相殺の件はうっかり間違えないように気をつけます。
初めまして、いつもこちらの記事を参考にさせて頂いております。
質問なのですが、取引日が前期にあって予約日が当期に来ている場合の直々差額はどういう処理になるのでしょうか?
自分なりに考えたのですが、独立処理ならそのままヘッジ対象側での時価評価をして終わりそうだと思いました。
問題は振当処理の方でして、直々差額も直先差額と同じように前期と当期に振当てなければならないと考えたのですが、前期末時点ではそもそも為替予約をするかどうかも分からないため前期に帰属する分の直々差額は計上できず、どうしても当期の予約日時点での仕訳になってしまうように感じます。そうしますと前期帰属分は修正再表示を行い繰越利益剰余金を動かすのかなと考えたのですが合っていますでしょうか?そんな大仰なことをする必要があるのかなあと疑問に思っております…。長文な上試験に出る論点でもなさそうなのですがお答え頂ければ幸いです。
前期に輸入をして10,000ドルの買掛金を計上したとします。
そして、当期に為替予約をしたとしましょう。
為替レートは以下のとおりとします。
前期の取引時:@100
前期末:@104
当期為替予約時直物:@110
当期為替予約時先物:@120
まず前期の取引時に買掛金100万円が計上されます。
仕入100万円/買掛金100万円
次に前期末の決算日に買掛金が換算替えされます。
為替差損益4万円/買掛金4万円
当期の為替予約を付したタイミングで次の仕訳を切ります。
為替差損益6万円/買掛金16万円
前払費用10万円
当期の決算日に(当期帰属分を期間按分して)前払費用を取り崩します。以上です。
ポイントは、前期末時点では、為替予約を付すかどうか不明であり振当処理うんぬんは考慮する必要がありません。外貨建債務を持っているので単に換算替えすればいいということです。そして、当期の為替予約を付した時点で、前期末レートと為替予約を付した時点のレートの差を直々差額とすればOKです。
ご回答ありがとうございます!
うわあああホントですね、なんで前期末レートが存在することが頭から抜けていたんだろう…お恥ずかしい(汗)
独立処理であろうが振当処理であろうが前期末で一旦評価換えをしているのだから直々差額はどうあがいても前期にまたがる事はなく当期首からカウントするしかないじゃんか、という事ですよね。(そのため例題の予約日仕訳の為替差損6万が直々差額=当期の損益になり、あとは直先差額10万を処理するだけ)
ものすごくスッキリしました!お忙しい中お時間を割いて頂き本当にありがとうございました!