1級商会・退職給付会計はワークシートをおすすめ

退職給付会計は差異が入ってくると混乱する
定型パターンの退職給付会計の問題であれば、T勘定を用いた解法をマスターすれば、素早く解くことが出来るはず。
しかし、退職給付会計は、未認識数理計算上の差異や過去勤務費用などの論点が入ってくると、途端に難しくなる。計算もさることながら、どのタイミングで償却の処理をすべきかなど、混乱する要素がたくさんあるからだ。
もちろん、そういった場合でも、T勘定を用いた解法は有用だ。きちんと手順を守れば正解を導けるだろう。しかし混乱しミスをしやすいのも事実だ。
ワークシートを使えば機械的に解ける
ワークシートを用いた解法をご存知だろうか。決まった枠組みの中に数値をはめ込んでいき、あとはルールに従って機械的に計算をしていけば自動的に解答が得られる方法だ。
一見すると裏技的な解法だが、決してそんなことはない。いやむしろこちらの方がオーソライズされた方法かもしれない。なぜなら企業会計基準適用指針でも用いられているからだ。安心して使ってほしい。
ワークシートの使い方
雛形を用意する
まずは、次のような雛形を用意する。もちろん、本番ではこんなにきれいに書く必要はない。自分さえ分かればいいのだから、項目の並びなどを覚えてしまい、数値だけの羅列で構わない。
実際前末 | 費用 | 年金支払 | 予想当末 | 差異 | 実際当末 | |
債務 | ||||||
資産 | ||||||
合計 | ||||||
差異 | ||||||
引当金 |
略名について
- 債務:退職給付債務
- 資産:年金資産
- 差異:未認識数理計算上の差異など
- 引当金:退職給付引当金
- 実際前末:前期末における実際額
- 費用:退職給付費用
- 年金支払:掛金拠出、一時金支払い、年金基金からの支払いなど
- 予想当末:当期末における予想額
- 実際当末:当期末における実際額
ワークシート記入のルール
- B/S科目は借方なら+、貸方なら−
- 資産が増えるなら+、減るなら−
- P/L科目は損したら−、得したら+
・・・と、ここまで書いて思ったのだけれど、ごちゃごちゃとしたルールを語るより、実践例を見て頂いたほうが分かりやすいだろう。問題を解きながらマスターしていこう。
実践例をやってみよう
設例
以下の資料にもとづいて、当期末の個別B/Sの退職給付引当金と個別P/Lの退職給付費用を求めなさい。
資料
- 当期は、×26年3月期(×25年4月1日~×26年3月31日)
- 残高試算表の退職給付引当金:34,080千円
- 期首退職給付債務83,200千円、期首年金資産48,800千円
- ×24年3月発生の未認識数理計算上の差異の期首の残額320千円
- 年金基金から従業員への支払額300千円がある。
- 勤務費用2,430千円、割引率年2%、長期期待運用収益率年1.5%である
- 期末の各実際額は、退職給付債務87,294千円、年金資産49,052千円である。
- 数理計算上の差異は発生年度より10年の定額法で償却
Step.1
まずは資料3から、前期末(当期首)の実際額を記入して合計を出す。続いて、資料2からT/Bの引当金を記入する。差し引きから未認識数理計算上の差異が算定される。資料4の値と同じであることを確認する。
実際前末 | 費用 | 年金支払 | 予想当末 | 差異 | 実際当末 | |
債務 | -83,200 | |||||
資産 | 48,800 | |||||
合計 | -34,400 | |||||
差異 | 320 | |||||
引当金 | -34,080 |
Step.2
資料6から退職給付費用を計算する。勤務費用は問題文から2,430、利息費用は、-83,200×2%=-1,664、期待運用収益は48,800×1.5%=732
実際前末 | 費用 | 年金支払 | 予想当末 | 差異 | 実際当末 | |
債務 | -83,200 | -2,430 | ||||
-1,664 | ||||||
資産 | 48,800 | 732 | ||||
合計 | -34,400 | |||||
差異 | 320 | |||||
引当金 | -34,080 |
Step.3
資料5から年金基金から300の支払いがあったので退職給付債務と年金資産の両方から引く。
なお、掛金拠出なら年金資産にプラス、退職一時金の支払いなら退職給付債務のマイナスだ。
この3パターンしかないので覚えてしまうこと。
実際前末 | 費用 | 年金支払 | 予想当末 | 差異 | 実際当末 | |
債務 | -83,200 | -2,430 | 300 | |||
-1,664 | ||||||
資産 | 48,800 | 732 | -300 | |||
合計 | -34,400 | |||||
差異 | 320 | |||||
引当金 | -34,080 |
Step.4
退職給付債務と年金資産を集計して、当期末の予想額を記入する。
実際前末 | 費用 | 年金支払 | 予想当末 | 差異 | 実際当末 | |
債務 | -83,200 | -2,430 | 300 | -86,994 | ||
-1,664 | ||||||
資産 | 48,800 | 732 | -300 | 49,232 | ||
合計 | -34,400 | -37,762 | ||||
差異 | 320 | |||||
引当金 | -34,080 |
Step.5
資料7から当期末の実際額を記入する。
実際前末 | 費用 | 年金支払 | 予想当末 | 差異 | 実際当末 | |
債務 | -83,200 | -2,430 | 300 | -86,994 | -87,294 | |
-1,664 | ||||||
資産 | 48,800 | 732 | -300 | 49,232 | 49,052 | |
合計 | -34,400 | -37,762 | -38,242 | |||
差異 | 320 | |||||
引当金 | -34,080 |
Step.6
当期末の予想値と実際額が異なるということは、当期中に数理計算上の差異が生じていることを示している。ここで、予想の引当金よりも実際の引当金の方が額が大きいということは、不利差異(借方差異)が生じているということ。
実際前末 | 費用 | 年金支払 | 予想当末 | 差異 | 実際当末 | |
債務 | -83,200 | -2,430 | 300 | -86,994 | -87,294 | |
-1,664 | ||||||
資産 | 48,800 | 732 | -300 | 49,232 | 49,052 | |
合計 | -34,400 | -37,762 | -38,242 | |||
差異 | 320 | 480 | ||||
引当金 | -34,080 |
Step.7
差異を償却する。本問では、前期末の差異320については、10年償却のうち2年償却済みなので残り8年で償却、当期発生の差異480については、当期より10年で償却する。
320千円÷(10年−2年)=40千円・・・前期末時点の数理計算上の差異の償却分
480千円÷10年=48千円・・・当期発生の数理計算上の差異の償却分
よって、合計88千円
実際前末 | 費用 | 年金支払 | 予想当末 | 差異 | 実際当末 | |
債務 | -83,200 | -2,430 | 300 | -86,994 | -87,294 | |
-1,664 | ||||||
資産 | 48,800 | 732 | -300 | 49,232 | 49,052 | |
合計 | -34,400 | -37,762 | -38,242 | |||
差異 | 320 | -88 | 480 | |||
引当金 | -34,080 |
Step.8
退職給付費用の列を合計する。3,450千円が当期の退職給付費用である。実際の当期末の退職給付引当金の列を合計する。37,530円が退職給付引当金である。
実際前末 | 費用 | 年金支払 | 予想当末 | 差異 | 実際当末 | |
債務 | -83,200 | -2,430 | 300 | -86,994 | -87,294 | |
-1,664 | ||||||
資産 | 48,800 | 732 | -300 | 49,232 | 49,052 | |
合計 | -34,400 | -37,762 | -38,242 | |||
差異 | 320 | -88 | 480 | 712 | ||
引当金 | -34,080 | -3,450 | 0 | -37,530 |
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ワークシートによる退職給付会計の説明ありがとうございます。
この方が足し忘れや、引き忘れ、どこに何を足し引きするのかがわかりやすく、
ミスがなくなりそうです。
退職給付会計は簿記の試験対策としてだけではなく、実務でも使用できそう
(今の会社は中退金に丸投げで何もしていないのですが・・・)
なので、将来のためにも習得できるようにしたいと思います。
1つ確認なのですが、もしかしたら、まだこのページを修正中なのかもしれませんが、
年金の支払額がSTEP4まで300だったのにSTEP5から9,600になっています。
これは単なるミスですよね?
きゃろるさんへ
コメントありがとうございます。
>年金の支払額がSTEP4まで300だったのにSTEP5から9,600になっています。
はい、ケアレスミスです。ご指摘ありがとうございます。修正しました。
初めまして。
先日、このサイトを見つけて閲覧させて頂いてます。
今回、このページの退職給付会計のワークシートのやり方で実践してみたんですが一部理解できてないところがあります。
それは過去勤務費用の取扱いについてなんですが、差異の欄に含めて計算してみたんですが、問題集の答え通りにはなりませんでした。
ケースとしては前期の「未認識数理計算上の差異」と当期の「過去勤務費用・数理計算上の差異」が出てくる問題なんですが理解しきれず困っているところです。
是非、このケースのワークシートの解方を教えてください。
よろしくお願いします。
前期の「未認識数理計算上の差異」と当期の「過去勤務費用・数理計算上の差異」が出てくる問題の答えが違っていて理解できない、というですが、それは具体的にどのような問題で、どういう計算をしたら、どう違っていたのかをご記入頂けないでしょうか。
差し支えなければ、問題を記載して頂けると助かります。また、そのときの計算と、ろーど様の導き出した答えなどをあわせて記載して頂けると明瞭に解答できると思います。よろしくお願いします。
ご返答いただきありがとうございます。
自分で見返しましたが、質問の仕方が悪くすいませんでした。
問題としては
1.当社では、退職給付につき、当社からの直接給付と企業年金制度を
併用している。
2.当期首の残高は次のとおりである。
退職給付債務:157,000円
年金資産:36,000円
3.数理計算上の差異は、☓3年度に発生したのもので、☓3年度より定額法で費用処理 している。
4.当期の勤務費用は14,400円、割引率は5%であり、長期期待運用収益は3%である。
5.当期における従業員への配布は次のとおりである。
当社からの直接給付:2,250円(当座預金より給付)
年金基金からの給付:1,350円
6.当期の年金基金への拠出額:2,700円(当座預金より給付)
7.当期首付けで、過去勤務費用が4,500円が発生した。
過去勤務費用は10年間の定額法により償却する。
8.当期末における退職給付債務の実際額は182,000円であり、年金資産の実際運用収益800円である。見積もり高と実際額の差額はすべて数理計算上の差異であり、☓4年度より10年間の定額法により償却する。
問 ☓4年度の退職給付費用および退職給付引当金の金額を求めなさい。
以上が問題です。そのまま引用したので読みにくかったらすいません。
そして、この問題を上記のワークシートを使用してやってみたんですが
前期末と年金支払の列は埋まりましたが、過去勤務費用をどの欄に入れればいいのかが分からず、差異の列(差異の行)に含めて計算してみたんですが数字が合わず、何回も書き直してるうちに訳がわからなくなってしまいました。
過去勤務費用を償却する場合は退職給付費用の列(差異の行)に入れるのではないかと推測できたのですが、そもそもの発生額はどこに入れるんだろうと考えてしまい、そこでストップした状態です。
うまく伝わっているか不安ですが、これで伝わりますでしょうか?
よろしくお願いします。
一応、頂いた情報にもとづいて作ってみましたが、情報が足りないような気がします。
いくつか確認させてください。
まず、2の「退職給付債務:157,000円 年金資産:36,000円」は実際額という認識でいいですか?(特に指示が無ければ実際額だと思いますが)
それから、3に「数理計算上の差異は、☓3年度に発生したのもので、☓3年度より定額法で費用処理している。」とありますが、その数理計算上の差異はいくらですか?
どこかに記載がありませんか?もしくは、どこかに、T/Bの退職給付引当金の記載はありませんか?
2の額が実際額であり、かつT/Bの退職給付引当金の額が分かれば、差額から、数理計算上の差異が計算できます。
このあたりの記載がないと、過年度発生の数理計算上の差異を処理できません。
それから、7で当期首付けで過去勤務費用が4,500円発生した、とありますが、2の退職給付債務は、この4,500円の過去勤務費用を処理した後の額ですか?それとも処理前の額ですか?それによっても解答が異なってきます。
それから、当期は、X4年度ということでよろしいですか?問がX4年度を聞いているので、そうだと思いますが。
一応、過年度発生分の数理計算上の差異は不明なので無視、当期はX4年度という前提で計算してみました。当然前提条件が変われば計算結果も変わります。
なお、過去勤務費用は、まだ処理していないケースと処理済みのケースの両方で計算してみました。
前者は、端数が出ているので多分間違えているとは思いますが、頂いた情報からはこのような計算になります。
■まず、過去勤務費用をまだ処理していないという前提のもとでの計算です。
■以下は、過去勤務費用を処理済みであるという前提のもとでの計算です。
説明が悪く逆に混乱を招いてしまい申し訳ありません。
まず、前期の数理計算上の差異ですが630円(残り9年で償却)
そして過去勤務費用ですが問題文には指示がありませんでした。
提示していただいた2つのワークシートを見る限り「処理済み」の方に該当すると思います。理由としては、期首の利息費用が問題集の解答上「7850円」になっているからです。
ただ、そうした場合、今度は当期末(予定)の退職給付債務の金額が合わなくなってしまいます。(解答上では「175650円」に過去勤務費用「4500円」を足した「180150円」になっている)
この「180150円」を元に当期の数理計算上の差異を計算し、さらに実際運用収益との差異「280円」を含めた「2130円」が当期の数理計算上の差異という答えになっています。
答えとしては、解答上
退職給付引当金「137323円」
退職給付債務 「21903円」
となります。
この説明で伝わりますでしょうか?
一応、ボックス図で同じ問題をやってみたんですが、解答どおりになりました。
しかし、ワークシートになった途端に答えが合わなくなり混乱したままの状態です。
元々ボックス図で無理やり学習した論点なので、正直ボックス図上では解答できても、実際は文章に書き起こすことも儘ならない状態だというのが今良く理解できました。
面倒だとは思いますがよろしくお願いします。
>答えとしては、解答上 退職給付引当金「137323円」 退職給付債務 「21903円」
まず、上記、退職給付債務は、退職給付費用のことですよね。
それを前提として、この解答になるように、逆算的に考えてみました。
次のようなワークシートなら、当該解答になります。
ただし、これは、当期首に発生した過去勤務費用4,500を一切無視した計算です。
どうも、その問題集の問題が、過去勤務費用をどう取り扱おうとしているのかよくわかりません。
過去勤務費用4,500は当期首で発生したのですよね?だったら期首の退職給付債務(実際額)に合算しないとまずいです。そして、期首に発生しているのですから、その含めた額で利息費用を計算しないと理論的ではありません。
ところで、その期首の退職給付債務157,000というのは、この4,500を含んでいるのでしょうか?含んでいないのでしょうか?それが問題文から判断出来ないと解けません。
利息費用が7,850という情報から逆算的に考えるに、これは、すでに含まれているということです。そうなると、過去勤務費用は期首分に含まれているわけですから、それ以外の増減要素は、勤務費用14,400と利息費用7,850、それから年金の支払いにともなう△3,600のみです。
つまり、157,000+14,400+7,850-3,600=175,650です。事実、上記ワークシートはそういう前提のもとに作成しています。
しかし、そうすると、ろーず様の書かれた「当期末(予定)の退職給付債務は180,150」と整合しません。正直、訳が分かりません。
では、当期末(予定)の退職給付債務は180,150にもとづいて逆算的に考えれば、当期首の退職給付債務157,000には過去勤務費用4,500は含まれていなかったことになります。そうなると含めてから利息費用を計算しますので、その額は、8,075のはずです。やはり整合しません。
頂いた情報から、無理やり整合するように考えるなら、
・期首の退職給付債務157,000には4,500は含まれていない。この時点では過去勤務費用の存在に気付いていなかった。よって利息費用は7,850
・それにもとづいて、期末の予想退職給付債務を計算すると175,650
・ここで、当期首から発生していた過去勤務費用の発生に気がついた。
・だから、期末の予想退職給付債務を変更する。よって、180,150になる
・ただし、過去勤務費用は、当期首から発生して1年経過したにも関わらず、利息費用には含めない
・期首発生の過去勤務費用は、その発生年度からの償却が一般的だが、償却もしない
という処理をしたように見えます。こう考えると、2,130が当期発生の数理計算上の差異というのも整合します。
ただし、なに分、解答から逆算的に考えているだけなので正しいかどうかは分かりません。正直、頂いた情報からでは、ここまでしか分かりません。どこの出版社のどの問題集なのだか、見てみたいものです。気になります。
————————————————————
なお、最後にちょっと言わせてくださいな。
>一応、ボックス図で同じ問題をやってみたんですが、解答どおりになりました。
ろーど様の解かれた情報があるのですね。
それなら、冒頭にも書きましたように、それを提示していただきたかったです。
情報が元々ないのなら仕方がありませんが、お手元に解答もお持ちのようですし、それに対応したボックス図もあるわけですよね。
それらをご提示頂けないなかで(小出しにされて)その都度、考え直して、解答・解説を作成するというのは、とても負担です。
良い質問は、質問者、講師ともに有益なものであると信じています。
質問する人は、その質問をする上で、相手になんとか伝えようとがんばります。人に何かを正確に伝えるには、情報を整理しないといけません。その中で理解が促進されます。ざっくり言えば、良い質問は、その質問すること自体が良い勉強になるのです。
一方、講師は、受験生がどのような箇所で悩んでいるのかということを知る事自体が有益なのです。そして、たまに思わぬ発見もあったりします。
悪い質問は、質問者、講師ともに無駄な時間を過ごすことになります。
質問する人自身が、よく分かっていなくて、それを整理しないままに、そのモヤモヤを丸投げするような質問は悪い質問です。
解答者は、情報もなく、受験生がどこでどう悩んでいるのかも分からず、手探りで解答を作ることになります。これはとても負担です。しかも、得るものはほとんどありません。はっきり言って面倒なだけです。
そして、質問者も、仮に正答が得られたとしても、それは自分の身になりません。自分の中で咀嚼出来ていない解法を他人に教わっても、結局暗記するだけになってしまい、それでは本当の力になりません。本試験で少しでもヒネられたらうまく使えないでしょう。つまり、どちらにとってもいいことがないのです。
良い質問をして頂ければと思います。
すいません。返答が遅くなってしまいました。
ご指摘頂いたことはごもっともだと思いますので、是非次こそは良質な質問をさせてください!!
そして、質問させていただいていたことについてですが問題集はO原の基礎問題集です。
基礎だからなのか指示が少なく、今一つしっくりこない納得しきれない状態なので
過去問の退職給付会計を参考に実践してみたいと思います。
その方が問題文等の認識をしてもらえるということに最初から気付けばよかったなと本当に思います。
改めて、自分で解いてみた上で質問させていただいてもよろしいでしょうか?
もし、いいということであれば質問掲示板でさせていただいた方がいいですか?
過去問で出題された6回分について、全てT勘定による解法とワークシートによる解法を併記したスライドを作りましたので、ご参考にされてください。このスライドを理解できれば、日商の本試験レベルなら十分対応できると思います。
https://pro-boki.com/taisyoku03
なお、大原の基礎問題集ですが、どうなんでしょうかね。ご提示頂いた内容だけなので、よく分かりませんが、その情報だけだと、あまりよろしくない問題なのかな、という気がします。
そもそも、過去勤務費用は難しいんですよ。
数理計算上の差異は比較的簡単です。これは、期末に発覚するわけですから、その期における利息費用などには影響を及ぼしません。また、償却も当期もしくは翌期から出来ます。よって明確な指示が入ります。
それに対して、過去勤務費用は発覚したその期から償却しなければいけません。ご提示頂いた問題のように、期首から生じていたとするなら、通常は、その分も含めて利息費用の計算を行うべきと思います。ただし、このあたりも、絶対にそうすべきかどうかは分かりません。場合によっては、過去勤務費用は算入しないで利息費用を求める、というケースもありうるかもしれません。いずれにしても、ここはしっかりとした指示が無いと解けないと思います。もし、どこにも指示が無いとすると、どうなんでしょう?あまり良い問題とは思えません。
ちなみに、日商では数理計算上の差異はよく出るのですが、過去勤務費用の当期発生パターンの出題は1回しか無いはずです。(100〜144回までしか調べていませんが…)
そのときの問題も、利息費用は、具体的な金額が明示されており、過去勤務費用も、全額、当期に費用処理するというとても簡単な問題でした。大原の問題のように、当期首から過去勤務費用が生じていて利息費用を計算で求めるというケースは見たことがありません。
そんな、出題実績も無いような問題を、基礎問題として、詳しい解説も付けずに出す、というのもどうかと思います。
大原に、どういうことなのか、聞いてみたいですね。もし、詳しい情報がありましたら教えてください。もしかすると書籍には解説がなくても講義では詳しく解説しているのかもしれませんね。知りませんが。
ご返信ありがとうございます。
掲載していただいた記事を見させていただきました。
そして、それぞれの問題を一旦ボックス図で解きながらワークシートでの数字の動きを見るという方法で実践してみた結果、概ね理解出来たと思いますが、最後の144回の会計学の問題で確認させて欲しいところがあるので質問させてください。
やはり過去勤務費用についてなんですが、この回では前期に発生していて、それを残り9年で償却するという問題ですが、この場合は前期発生なので上記で説明していただいた「処理済みのケース」に該当すると思い、これが当期発生であればどうなるかを考えてみたんですが
期首退職給付債務 300000 期首年金給付債務 250000
過去勤務費用 40000(10年分に割り戻しています)
が前提条件として利息費用を計算すると
(300000+40000)×3%=10200になり、他は同じままとして
25000+10200+4000-6250 = 32950→→退職給付費用
期首退職給付引当金 90000
退職給付費用 32950 掛金拠出 20000 年金支給額 18000
90000+32950-20000+18000-18000 = 102950
となりました。
正直言って自信はあまりないんですが、これであってますでしょうか?
この問題は実際に受けた試験で連結の処理も重なり混乱した記憶があります。
もし、これであっているのであればワークシートでの解法に数字を入れる場所を確認して実践での活用も出来そうな気がしますので、よろしくお願いします。
お書きになっているのは、「144回の問題をベースに、仮に当期に過去勤務費用が発生したとして、しかし他の数値はそのままで」という仮定のもとでの計算ですか?
一応そういう前提で、2点ほど問題点を指摘いたします。
1.期首退職給付債務300,000は過去勤務費用を反映済みなのか反映前なのか、どういう条件設定なのかによって答えが変わります。
2.退職給付費用の過去勤務費用の償却分4000のプラスマイナスが逆だと思います。(144回と同様に有利差異とみなすなら)
最後に、ちょっとお願いです。
ろーどさんからのお返事は、ちょっと一方的な感じがいたいます。私からは「こういった情報をください」「ここは難しいので条件設定の確認が必要ですよ」といった感じで、コメントを書いているつもりなのですが、ほぼ、スルーされて、ろーどさんの聞きたいことだけをぶつけてくる感じで困惑しています。
そのため、ご質問頂いても、ちょっとお返事が出来ない場合もありますので御了承ください。
すいません。また言葉が足りなかったようですね。
一つずつお答えさせていただきます。
〉お書きになっているのは、「144回の問題をベースに、仮に当期に過去勤務費用が発生したとして、しかし他の数値はそのままで」という仮定のもとでの計算ですか?
その仮定で質問をしたつもりでしたので過去勤務費用以外については記載していませんでした。
前提条件としてその旨を記載せずすいません。
〉1.期首退職給付債務300,000は過去勤務費用を反映済みなのか反映前なのか、どういう条件設定なのかによって答えが変わります。
これについては上記で「処理済み」と記載していたので、それを「反映済み」と同等の解釈で考えていました。
〉2.退職給付費用の過去勤務費用の償却分4000のプラスマイナスが逆だと思います。(144回と同様に有利差異とみなすなら)
これは単純に勘違いをして不利差異で計算しました。
〉最後に、ちょっとお願いです。
ろーどさんからのお返事は、ちょっと一方的な感じがいたいます。私からは「こういった情報をください」「ここは難しいので条件設定の確認が必要ですよ」といった感じで、コメントを書いているつもりなのですが、ほぼ、スルーされて、ろーどさんの聞きたいことだけをぶつけてくる感じで困惑しています。
そのため、ご質問頂いても、ちょっとお返事が出来ない場合もありますので御了承ください。
これについては正直何とお答えしていいのかわりませんでしたが、「会話になっていない」という風に仰っていると解釈をしました(間違っていたらすいません)
言い訳がましい話ですが、今まで文章で質問をしたことがなかったし、論点整理もしきれていない状態でしたので前提条件も足りず、そもそも質問していただいてる解答上必要になる部分が抜けていたためにいろんなケースで答えてもらうような煩雑な状態にさせてしまったんだと思います。
以上が返答になります。
これで返答になっているでしょうか?
こんなことを聞くとまた一方通行と思われるかもしれませんが、どういう質問をすれば良かったのでしょうか?
変な質問ですが、また同じ轍を踏まないためにもお答えいただけると幸いです。
お忙しいとは思いますがよろしくお願い致します。
>これについては上記で「処理済み」と記載していたので、それを「反映済み」と同等の解釈で考えていました。
反映済みなら、
「(300000+40000)×3%=10200になり、他は同じままとして」という式はおかしいと思います。
300,000が過去勤務費用反映の数値なら、300,000×3%=9,000
となるのではないでしょうか。
>言い訳がましい話ですが、今まで文章で質問をしたことがなかったし、論点整理もしきれていない状態でしたので前提条件も足りず、そもそも質問していただいてる解答上必要になる部分が抜けていたためにいろんなケースで答えてもらうような煩雑な状態にさせてしまったんだと思います。
そこまでご理解されているのであれば「なるべく、論点整理をしてから質問する」とか「質問するときは前提条件や解答に必要な情報が足りているか確認する」とかされればよろしいのではないでしょうか。
それから、冒頭より「ロードさんの計算と答えを記載してくださいね」とお願いしていますよね。こういったお願いをスルーされると回答が困難になります。
それから、手元には解答・解説などの情報があるのですよね。であれば、小出しにしないで開示して頂ければと思います。一生懸命に解答を作って提示したところ「持っている解答と違います」的なことを言われると、正直、脱力します。
また、当方からは相当詳しく解説をしているつもりですが、これについてもほとんど何もレスポンスがありませんよね。私の解説は理解できましたか?理解できないのであれば、どのあたりですか?そういったことを記載を頂けると会話のキャッチボールが成立するかと思います。ろーどさんは、何が分かって、何が分からないのだろう?というのが、分からないので、そのあたりを推察せねばならず、回答を書くのが大変です。
以上を「一方的な感じがいたします」と表現したということです。
お返事ありがとうございます。
〉反映済みなら、
「(300000+40000)×3%=10200になり、他は同じままとして」という式はおかしいと思います。
300,000が過去勤務費用反映の数値なら、300,000×3%=9,000
となるのではないでしょうか。
自分で見直して見ましたが、仰る通りです。また間違えてしまいました。
そして、丁寧なアドバイスありがとうございます。
「何がわからないのか」を伝えるのは改めて難しいなと思いました。
そして大変遅くなってしまい申し訳ありませんが、以前から質問させていただいた「過去勤務費用」について、テキストの見直しからやってみたんですが、残念なことに大原のテキストには教えていただいた処理が載っていませんでした。
全て「反映済み」の場合の処理しかなく、「当期発生▪前期以前の発生」共に同じ処理だけでした。
言葉足らずの質問等の中教えていただき、ようやく、理解が進んだと思います。
ありがとうございました。
こんにちは。大原ではワークシートやってくれないので、この記事に大変救われました。ありがとうございます。
さて、気のせいかもしれませんが、以前は、「こちらの方がオーソライズされた方法かもしれない。なぜなら企業会計基準適用指針でも用いられているからだ」の部分箇所に外部リンクがありませんでしたっけ..? 適用指針でどのように扱われているのか改めて確認したいので、ご存知でしたらリンクを教えてほしいです。(グーグルでうまく検索できず、色々でてきてどれが正規の適用指針か分からず…)横着して申し訳ありません。
これですね。
企業会計基準適用指針第25号「退職給付に関する会計基準の適用指針」
早速ありがとうございました。
初めてお世話になります。いつも先生の記事には救われております。
すごく初歩的な質問だったら申し訳ないです。退職給付会計を勉強していて、どうにも腹落ちできない箇所があるのですが、
期首退職給付債務ー期首年金資産ー未認識数量計算上の差異(不利差異)=期末退職給付引当金
とありますが、どうして未認識部分を引くのでしょうか?
自分は未認識部分の差異が退職給付債務または年金資産に含まれたままだから?と解釈していますが、正しい解釈なのでしょうか?
仮にこれが正しい場合、設例での期末退職給付引当金の計算は順序を辿れば、
87294ー49052ー800+88
実際期末退職給付債務ー実際期末年金資産から、どちらかに含まれているけど表には出てこない未認識部分の差異を控除したのち、表に出てくる差異の償却部分を加算=期末退職給付引当金、という解釈で大丈夫でしょうか?
是非ご教示お願い致します!
以下、たとえ話を作ってみました。
期首に借金が100万円あるとします。一方でこの借金返済用に40万円の投資用資産を信託銀行に信託しているとします。よって、このときの実質的は借金は60万円(=100−40)です。
さて、1年経過しました。借金には10万円の利息つくとします。よって期末に予定される実質的は借金は70万円(=実際期末債務110−予想期末資産40)です。
さて、信託銀行から連絡が入りました。投資に失敗して、40万円の投資用資産は30万円になってしまったそうです。ということは、実質的な借金はいくらでしょうか。80万円(=実際期末債務110−実際期末資産30)です。しかし、この損は、信託契約を解約しない限り実現しません。あくまでも含み損という状態です。
おわかりだと思いますが、借金は退職給付債務、投資信託は年金資産、実質的な借金は退職給付引当金と読み替えると、まんま、退職給付会計の話です。
さて、ここで、B/Sを作るとして実質的な借金(退職給付引当金)はいくらと表示すべきでしょうか。80万円としたくなりますよね?しかし、退職給付会計はそうではないのです。あくまでも当初の予想である70万円を表示をするのです。含み損10万円は表示しません。(表示しないからこそ”未認識”というのです)
つまり、本当は、80万円の引当金なのだけど、表示上は10万円を引いた70万円を退職給付引当金とするのです。じゃあ含み損10万円はどうなっているかというと、例えば10年間に渡って1万円づつ認識していくのです。
これを式にすると、
実際期末債務110−実際期末資産30−未認識数理計算上の差異10=70となります。
なぜ、未認識数理計算上の差異を引くか分かりましたか?
早速のお返事ありがとうございます!
先生の噛み砕いた例えのおかげでストンと腹落ちしました。実質的には80の負債でも、その中には表示しない含み損10が含まれているので、表示してやるためにはその10を引いてやらないといけない、という事ですよね?
そこでもう一つ疑問に感じたことがあるのですが、よろしいでしょうか?例えば売買目的有価証券の評価損も含み損に該当すると解釈していますが、損益計上して売買目的有価証券の帳簿価額も減額します。退職給付引当金は含み損は計上しないというのは何か明確な理由があるのでしょうか?
試験とは少し話が逸れてしまっているのですが、お手数ですがご教示お願い致します!
>退職給付引当金は含み損は計上しないというのは何か明確な理由があるのでしょうか?
良い質問ですね。
ひとつ勘違いしてほしくないのは、計上しないわけではないということです。
例えば10万円の含み損があるとして、発生した期には計上しないけど、翌年から10年間かけて1万円ずつ計上するわけです。よって10年後には同じ結果になります。つまり認識が遅れだけ(遅延認識といいます)で、計上しないわけではありません。
さて、そもそも数理計算上の差異ってなんでしょう?
退職給付債務は、従業員のうち、退職までにどれくらいの人が死んだり中途退職しそうか、昇給率はどれくらいになるか、などの予測値にもとづいて計算します。あくまで予測なので実績との間で差が出ます。これが数理計算上の差異です。あと、年金資産の期待運用収益と実際の運用成果の差も数理計算上の差異です。
これらを計算するにあたり、退職率、死亡率、予定昇給率といった基礎率を用いるわけですが、基礎率はそもそも何十年という長期的な展望にもとづいて算定されたものです。
にもかからず、単年度で発生した差異を即時に全額費用化すると、引当金の増減が激しすぎて、むしろ期間損益計算を歪めると考えられているのです。そのため、遅延認識を行うのです。
ものすごく端折って言うと、100万円で機械を買ったからといって、100万円をその買った年に即時全額費用化してしまうと、期間損益計算を歪めますよね。買った年だけすごい赤字になって、翌年からすごい黒字になってしまいます。機械は10年とかの長期使用を前提に買っているわけですから、10年間にわたって少しずつ費用化したほうが適正な期間損益計算になりますよね。それが減価償却ですね。これに近いイメージです。
返信ありがとうございます!
そうですよね、計上しないわけではないんですよね。この論点は自分的にはかなりイメージしにくくて理解に苦しんでいたのですが、減価償却と話をつなげると完全にスッキリしました。本当にありがとうございました。
あと、最後に1つだけ質問させて下さい。例えば未認識数理計算上の差異が100だったとして、それを10年で均等に費用化する場合、
退職給付費用10/退職給付引当金10
と仕訳を切りますよね?自分が使っているテキストにはこの仕訳の退職給付引当金の下に、未認識数理計算上の差異と書かれています。この費用化された10は未認識ではないですよね?この場合、未認識数理計算上の差異は90になると思うのですが、この書き方だと10が未認識数理計算上の差異だと解釈してしまいそうな気がするのですが…。
これは単純にテキストが間違っているのでしょうか?それとも自分の解釈のしかたに問題があるのでしょうか?
すみません、遅くなりました。
>自分が使っているテキストにはこの仕訳の退職給付引当金の下に、未認識数理計算上の差異と書かれています。
当該テキストを読んでみないとなんとも言えませんが、書かれている内容だけで判断するなら、誤りだとおもいます。もしかすると「未認識数理計算上の差異のうち当期償却分」という意味かもしれないですね。