149回日商簿記1級・詳細解説【会計学編】

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第1問 理論問題

  1. 為替予約の処理方法と言えば「独立処理」と「振当処理」です。これは簡単ですね。テキストに太字もしくは赤字で載ってるレベルです。出来なければいけません。ちなみに具体的な処理方法は、こちらの記事に書かれています。
  2. こちらも易しい問題です。新株予約権付社債の処理方法には、一括法と区分法があります。ちなみに取得側と発行者側で選択できる処理は次のとおりです。チェックしておきましょう。
 
発行者側
取得側
転換社債型新株予約権付社債
一括法 または 区分法
一括法
その他の新株予約権付社債
区分法 区分法
  1. これも出来なければいけない問題です。ただ、「評価・換算差額等」の真ん中の点は書けたでしょうか。表示科目なので、しっかり書かないと×になると思います。その点では厳しい問題でした。
  2. この問題は理論問題対策をしていた人には易しい問題だったと思います。棚卸資産には「通常の販売目的で保有するもの」と「トレーディング目的で保有するもの」があるのは定番論点です。棚卸資産の会計基準の1ページ目にも書いてあります。しかし、テキストしか読んでいない人には難しかったかもしれません。意味合いから「投機」とか書いてしまいそうです。
  3. こちらも、五分五分といった感じです。理論対策をしている人や普段から正確な用語を意識している人は出来たと思います。一方、用語などあまり意識せずにテキストを読んでいる人には難しかったかもしれません。「見積現金購入価額」という解答に対して「”現金”を書き忘れちゃったんですけど、×ですか?」という質問を頂きましたが、×になると思います。なぜなら、この用語の中でもっとも大切なのは「現金」だからです。現金で買うってことは、現在価値を表しています。そこを明示しないと意味がないのです。あと、”価額”と”価格”を間違えることのないようにしましょう。意味が異なります。これも書き間違えた場合は×となります。

第2問 退職給付会計

ワークシートを作れば一発です。10分以内の完答を目指せたと思います。ワークシートの作り方を習得されていない方は、こちらをどうぞ。

  期首実績 退職給付費用 掛金など 期末予想 差異 期末実績
退職給付債務 △34,500 △3,400 1,200 △37,390 △690 ④△38,080
    △690        
年金資産 22,000 660 2,400 23,860 △360 ⑤23,500
      △1,200      
差異   △70   △70 1,050 ⑥980
引当金 ③△12,500 ①△3,500 2,400 △13,600 0 ②△13,600
  1. 退職給付費用:①△3,500
  2. 退職給付引当金:②△13,600
  3. 法人税等調整額:(②13,600−③12,500)×税率30%=330
  4. 連結貸借対照表における退職給付に係る負債:④△38,080+⑤23,500=△14,580
  5. 連結包括利益計算書における退職給付に係る調整:⑥980×(1−税率30%)=686

1と2を落とすと致命的です。3は割と出来ていない人も多いように思えます。退職給付費用に税率掛けてしまったという声を何名かの方から聞いています。4と5の出来不出来で合否が分かれることでしょう。なお、答案要求は金額ですから、△を付する必要はありません。

第3問 企業結合と減損会計

企業結合は、本当にかるーくで、減損会計がメインの出題でした。

問1 企業結合

甲社は乙社を吸収合併し、パーチェス法で処理した。合併直前の甲社の諸資産の時価は1,350,000、諸負債の時価は550,000。合併直前の乙社の諸資産時価は480,000、諸負債の時価は140,000。合併直後の甲社の貸借対照表は諸資産1,480,000、のれん180,000。合併直前の甲社の諸資産の帳簿価額は?

ちょっとパズルチックになっていますが、問題文をちゃんと読めれば至って簡単な問題です。要するに、甲社は、時価480,000の諸資産を持つ乙社を吸収合併したところ甲社の諸資産の簿価が1,480,000になりました。甲社の合併前の諸資産の簿価はいくらでしょう?という問題。1,480,000−480,000=1,000,000です。

問2 減損会計

引っ掛からなかった?

ある1点を除いては、基本的な減損会計の問題であり、十分満点が狙える問題でした。

その”ある1点”とは?

通常、減損会計は、資産の簿価を切り下げる処理です。しかし本問は問題文の”簿価”と書かれている箇所ではなく、”時価”と書かれている価額をベースに計算しなければなりませんでした

なぜならば、本問の減損の対象となる資産は、問1の吸収合併時に受け入れた資産だからです。パーチェス法ですから合併直前の乙社における”時価”が、甲社における”簿価”なのです。

ある意味引っ掛けみたいなもので、言われてみれば「なーんだ、くだらない。そんなの引っ掛からないよ。」というレベルのものですが、本試験の緊張と制約された時間から来る焦りによっては、案外引っ掛かってしまうものです。大丈夫だったでしょうか。

のれんを含むより大きな単位での減損損失の認識と測定

本問では「のれんを含むより大きな単位での減損損失の認識の判定と測定」を行っています。処理手順は、次のとおりです。

  1. のれん(180,000)は、事業Aと事業Bの取得から生じたものであり、これをのれんが認識された時点(吸収合併時)の各事業の価値(事業Aは390,000、事業Bは130,000)にもとづいて配分する。
  2. 事業Aにおいて、のれんを配分する前の個々の資産(資産a1と資産a2)から生じる減損損失を求める。
  3. 続いて、事業Aにおいて、のれんを含むより大きな単位で認識・測定したときの減損損失を求める。
  4. 上記の2と3の差がのれんが負担すべき減損損失である。この価額がのれんの簿価よりも少なければ、のれんの簿価を切り下げる。
  5. 上記4において、もしも、のれんが負担すべき減損損失がのれんの簿価を上回っているなら、その上回っている分を、資産a1と資産a2で負担する。

プロ簿記では、上記の1から5の計算処理を答練でやっていました。本試験の問題は、それよりも少しだけ簡単で、上記の1から4までが対象となる問題でした。

問2 合併時に事業Bに配分されるのれんの金額

のれん180,000を事業A390,000と事業B130,000に按分するだけです。事業Bに配分されるのは、180,000÷(390,000+130,000)×130,000=45,000です。

問3 20X8年3月31日の決算でのれん配分前の事業Aの資産から生じる減損損失

まずは減損を認識するかどうか判定します。

資産a1は、甲社における取得時の簿価(乙社における時価)240,000であり、残存ゼロ、定額法で10年間償却です。合併時から7年間経過していますから、簿価は240,000×30%=72,000です。これに対して割引前将来CFは79,000ですから、減損を認識しません。資産a1はここでおしまいです。

資産a2は、甲社における取得時の簿価(乙社における時価)120,000であり、残存ゼロ、定額法で10年間償却です。合併時から7年間経過していますから、簿価は120,000×30%=36,000です。これに対して割引前将来CFは30,000ですから、減損を認識します。回収可能価額は25,750ですから、減損損失は、36,000−25,750=10,250です。

問4 20X8年3月31日の決算でのれんを含むより大きな単位で事業Aに生じる減損損失

事業Aには、合併時に135,000ののれんが配分されています。これも償却期間10年のうち7年間が経過し簿価は135,000×30%=40,500です。

のれんを含むより大きな単位の簿価は、資産a1:72,000+資産a2:36,000+のれん40,500=148,500です。一方で、割引前将来CFは79,000+30,000=109,000ですから減損を認識します。

減損損失を測定します。回収可能価額は76,000+25,750=101,750なので、減損損失は148,500−101,750=46,750です。

問5 20X8年3月31日における減損損失控除後ののれんの帳簿価額
<事業A>

問4には続きがあります。問3(のれんを含まない)で測定された減損損失が10,250であり、問4(のれんを含む)で測定された減損損失が46,750なのですから、その差額からのれんが負担すべき減損損失は46,750−10,250=36,500です。この36,500とのれんの簿価(40,500)を比較するのです。のれんの簿価の方が大きいので、これを全額のれんに負担させます。よって、のれんは、減損損失の分、切り下げられて、40,500−36,500=4,000です。

<事業B>

上記の問3から問5までの計算を事業Bに対して行います。

まず事業Bに配分されたのれんの20X8年3月31日時点の簿価を求めます。事業Bには、合併時に45,000ののれんが配分されています。償却期間10年のうち7年間が経過し簿価は45,000×30%=13,500です。

続いて、資産b1とb2について減損を認識するかどうか判定します。

資産b1の簿価は80,000×30%=24,000です。これに対して割引前将来CFは28,000ですから、減損を認識しません。資産b1はここでおしまいです。

資産b2の簿価は40,000×30%=12,000です。これに対して割引前将来CFは17,000ですから、減損を認識しません。資産b2はここでおしまいです。

では、のれんを含むより大きな単位ではどうでしょう。この簿価は、資産b1:24,000+資産b2:12,000+のれん13,500=49,500です。一方で、割引前将来CFは28,000+17,000=45,000ですから減損を認識します。

減損損失を測定します。回収可能価額は27,000+16,000=43,000なので、減損損失は49,500−43,000=6,500です。これはすべてのれんが負担します。(資産b1もb2も減損を認識しないためです)

よって、のれんは、減損損失の分、切り下げられて、13,500−6,500=7,000です。

以上より、解答は、事業Aに配分されたのれんの簿価4,000+事業Bに配分されたのれんの簿価7,000=11,000です。

 

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149回日商簿記1級・詳細解説【会計学編】” に対して1件のコメントがあります。

  1. あさみ より:

    退職給付の差異の横計は、合わなくて良いのでしょうか。
    上記の問題のワークシートを埋める順番を教えていただけますでしょうか。
    宜しくお願い致します。

  2. あさみ より:

    申し訳ございません。コメントした後に理解できました。

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