第201回全経上級・会計学レビュー

会計学の感想
ここ最近の全経上級の商会の問題は良いですね。
商簿は、計算問題中心で、基本重視でかつ理解だけではなく処理能力も問われています。また、会計学は、理論問題のみであり明確に商簿と出題内容を分けています。計算できるだけでもダメだし理論だけ暗記してもダメ、バランス良く勉強してね、というメッセージを感じます。
また、このレベルの会計学できちんと合格点を取るべく勉強すれば、このあとの税理士の財務諸表論などでも活きてきます。多分、そのあたりも意識しての作問だと思います。
良問です。そしてそれなりに難しいです。従来の「日商1級よりも少し簡単な全経上級」という意識で取り組むと面食らうことでしょう。
なお、本問の第2問目の基準の穴埋めなど、一字一句正解していないと点数もらえないなら、かなりシビアな状況になると思われます。全経上級受験生でそこまで準備している人はほとんどいないでしょう。意味があっていれば部分点をもらえるのか、それとも一文字でも違っていたら配点されないのかが不明です。
まあ、基準の穴埋め問題ですから、普通に考えたら一文字でも違っていたら配点されません。しかし、本問に関しては、そういう配点をしてしまうと、全く勉強して来なかった人と、かなり勉強して理解はしているが一字一句の暗記まではしてこなった人を等しく0点で扱うことになり、それはそれで検定試験としてふさわしいのかという疑問が多少残ります。
第1問 正誤判定理論問題
出題形式は、いつものパターンでしたが、結構難しかったのではないでしょうか。(すみません、全経上級の問題はたまにしか解かないので最近の傾向が分かっていませんが)
- 企業会計原則によれば,企業会計は,企業の財政状態及び経営成績に関して,真実な報告を提供するものでなければならないとされているが,この真実性は相対的なものと解されている。
- 四半期財務諸表に関する会計基準によれば,四半期連結財務諸表の範囲は,四半期連結貸借対照表,四半期連結損益計算書,四半期連結キャッシュ・フロー計算書とされている。
- 株主資本等変動計算書に関する会計基準によれば,株主資本以外の各項目の当期変動額は純額で表示するが,主な変動事由ごとにその金額を表示することができる。
- 退職給付に関する会計基準によれば,退職給付見込額のうち期末までに発生したと認められる額の計算方法としては,期間定額基準のみが認められている。
- 金融商品に関する会計基準によれば,転換社債型新株予約権付社債の発行者の処理としては一括法と区分法が認められているが,社債の償還日以前にその新株予約権が行使されて新株が発行された場合に計上される資本金及び資本準備金の合計額は,これらの方法ごとに異なる金額となる。
- リース取引に関する会計基準によれば,ファイナンス・リース取引の借手は,売買処理によるリース資産を固定資産の部に表示し,リース債務は固定負債の部に表示する。
- 研究開発費等に係る会計基準によれば,研究開発費に該当しないソフトウェアの制作費は無形固定資産の区分に計上する。
- 「税効果会計に係る会計基準」の一部改正によれば,繰延税金資産は流動資産の区分に表示し,繰延税金負債は流動負債の区分に表示する。
- 法人税,住民税及び事業税等に関する会計基準によれば,事業税(付加価値割及び資本割)は,原則として,損益計算書の販売費及び一般管理費として表示する。
- 連結財務諸表に関する会計基準によれば,連結貸借対照表の作成にあたり,支配獲得日における子会社の資産及び負債の評価方法としては,全面時価評価法(子会社の資産及び負債のすべてを支配獲得日の時価により評価する方法)のみが認められている。
- (Aランク)
○
これは出来ないといけません。 - (Bランク)
×:四半期連結包括利益計算書も範囲内
出来てほしいのですが、結構難しいかもしれません。まず包括利益計算書が抜けているということには気付けると思うのですが、株主資本等変動計算書は含めるのどうなの?っていうところまでは知らない人が多いと思います。よく分からないことは書かないのが原則。それなら正解でした。もし、書いちゃった人は、×になるか減点されるかもしれません。 - (Cランク)
○
これは難しいです。私は、これ知らなかったので、その場で考えました。そもそも株主資本は変動事由ごとに表示して、株主資本以外は純額表示ってことすら知らない受験生も少なくないと思います。本問は、それを知っていることを前提としてさらなる応用です。株主資本以外だけど変動事由ごとに表示してもよいか?という問題ですね。まあ、否定する規定はわざわざ無いだろうと考えて○にしました。難しいです。 - (Bランク)
×
期間定額基準以外で算定することもあるよ、というのは、テキストで読んだり講義で聞いた事がある人も多いことでしょう。じゃあ、それは何という名称ですか?と言われたらその用語(給付算定基準)まで覚えている人は少ないと思います。「期間定額基準以外も認められている」という感じで逃げちゃうのがせいぜいなのではないでしょうか。それでも点数来ると思います。 - (Bランク)
○
これはびっくり。まんま、この記事ですね。読んでた人は出来たでしょう。
一括法だと償却原価分が無視されるのですが、区分法だと償却原価分まで資本に算入される(ただし、その分、利益剰余金が減る)んですよね。ただ、普通に勉強していると気づきにくい(というかそんなこと意識して勉強していない)のではないかと思います。 - (Aランク)
×
これは比較的簡単でした。リース債務は、決算日から1年以内に支払うものは流動負債に表示し、それ以外は固定負債に表示します。 - (Bランク)
×
AランクかBランクか迷ったのですが、理由を書くのが難しいかもしれないのでBランクにしました。受注制作ソフトのように請負工事の会計処理に準ずるものなど無形固定資産にしないものもあるよって書ければOKですね。 - (Aランク)
×
これはさすがに基本問題、これ落とすと痛いです。繰延税金資産は固定資産の投資その他の資産、繰延税金負債は固定負債に表示します。 - (Cランク)
○
これは難しいと思います。普段、事業税は、法人税等の中に混ぜちゃっているから×にしたくなるんじゃないでしょうか。事業税には所得割(利益に応じて係る分)と資本割(いわゆる外形標準課税で利益とは関係なく資本金の額とかで一律課される)があって、前者は利益に係るので法人税と同じ扱いなのですが、後者はいわゆる租税公課であって販管費なんですよね。実務やってないと知らないと思います。 - (Bランク)
○
部分時価評価法の時代を知っている人にとっては、簡単なのでしょうが、最近勉強を始めた人は、最初っから全面時価評価法なので意識しないゆえこんなこと知りませんよね。そういう意味では難しいのかなと思います。
ということで、これは落としちゃいけないというAランクは3個しかありません!逆にこれは無理でしょというCランクが2個あります。出来不出来が分かれそうなBランクが5個ですね。お、これ結構バランスいいのか?
ちなみに、Cランクは両方○なんですよね。これ実はテクニックで、ほとんど聞いたことがない論点とかかなり難しい論点はたいてい「○」なんです。そのテクニックを知っているなら、6問〜7問くらいは取れるかなという感じでしょうか。
第2問 在外支店と在外子会社の換算
これも難しいです。特に基準の穴埋めを完答するのは無理なんじゃないでしょうか。5問中2問しか出来ませんでした。お恥ずかしい。意味があっていれば部分点という採点ならありがたいのですがね。基準だから一字一句あっていないと×なのかな。だとするとかなり厳しいです。
問1 基準の穴埋め
穴埋め私の答えと解答
| 私の答え | 解答 | |
| a | 為替差損益 | 為替差損益 |
| b | 取得時 | 株式取得時 |
| c | 取引発生時 | 発生時 |
| d | 親会社が採用している | 親会社が換算に用いる |
| e | 為替換算調整勘定 | 為替換算調整勘定 |
aとeは、これはさすがに間違えてはいけません。しかし、b、c、dは、さすがに難しいです。
問2 在外支店の換算
「本国主義であり、支店は株式会社としての財務諸表を作成するための構成要素にすぎず、本店と同じ換算をしないと整合しないため」と回答しました。
ここはまあ、在外支店は、あくまでも支店であって独立した法人ではなく本店とまとめて1つの個別財務諸表を作るからという感じのことが言えていれば点数くると思われます。
難易度はBランク〜Cランクかな。
問3 在外子会社の換算
「現地主義であり、現地における独立した企業体としての業績を表示するためには単一の為替相場の方が適しているから。また、簡便だから」と回答しました。
現地で独立して事業している実態を重視して現地通貨で測定するのが適切だからといったことが書けていれば十分なのではないでしょうか。また「簡便だから」も少なくとも部分点は来るはずです。
ここも、難易度はBランク〜Cランクかな。
第3問 企業結合
第2問目に比べれば簡単ですが、とはいえ、それなりに難しいです。
問1 基準の穴埋め
a.報告単位
b.共通支配下
c.共同支配企業の形成
これは、どれもAランクですかね。ここで落とすと痛いです。他が難しいだけに。
問2 なぜ識別可能資産・負債を時価で評価するか
私は「パーチェス法を採用しているため、通常の売買処理と同様に処理するから」と答えました。シンプル。
まあ、でも他に書きようがないような。
問3 のれん・負ののれん
ようやく簡単な問題が来ました。ここ落としたら終わります。
(1)は、のれん、負ののれん ですね。
(2)は、「のれんは無形固定資産に計上し、20年以内の一定の年数で償却。負ののれんは、当期の収益とし特別利益に表示する」と回答しました。
まあ、負ののれんについては「バーゲンパーチェスなので、うんぬんかんぬん」とか書こうかと思いましたが、そんなことは聞かれてないかと思い直して上記の回答にしました。これくらいで十分じゃないでしょうか。
“第201回全経上級・会計学レビュー” に対して1件のコメントがあります。
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在外支店と在外子会社の換算の穴埋め問題なのですが、基準と一字一句でなくとも、同じレートのことを指していると伝われば〇もらえるみたいです。
こちらに書いてありました。
http://www.zenkei.or.jp/wp-content/uploads/pdf/bookkeeping/201saitenwooete.pdf
商業簿記レビューのコメント欄に載せたものと同じものです。