147回日商簿記1級・詳細解説【商簿編】

本試験が終了してはや1週間。はやいです。痛手やショックを受けられた方も、時間の経過に少し癒されたかもしれません。出来れば、そろそろ、通常運転に戻りましょう。(そんな気分じゃないよ!って方はもうちょっとだけ休みましょう)

さて、本試験の詳細な解説を執筆しています。せっかくなので公開します。まずは商簿から。問題文は日商に著作権がありますので、掲載できませんことをご理解下さい。

問1 仕訳問題

(1)3/2の外部への商品売買の本店の仕訳
  • まずは売上の仕訳。本店売価@150千円×1,800個=270,000千円なので、

(借)売掛金270,000 (貸)売上270,000

  • 続いて売上原価の仕訳。三分法なら期末にまとめてやるけど、売上原価対立法なので、対応する原価を商品勘定から振り替える。その額、@106千円×1,800個=190,800千円なので

(借)売上原価190,800 (貸)商品190,800

(2)本店が関西支店の当期損益を総合損益に振り替える仕訳

関西支店のPL作らなければならず面倒なので後回し

問2 LA支店決算整理後残高試算表

売掛金

@1.8千ドル×販売数500個×110円/ドル=99,000千円

売上原価

本体原価:@106千円×販売数500個×1.15=60,950千円
輸送費用:@90千ドル×115円/ドル÷1,000個×500個=2,175千円
合計 66,125千円

貸倒引当金繰入

上記売掛金99,000千円×5%=4,950千円

本店

前T/B分:300千ドル×115円/ドル=34,500千円
未処理分(3/2本店から仕入):@106千円×1.15×1,000個=121,900千円
合計 156,400千円

問3 決算整理後合併残高試算表(内部利益控除後)

商品売買関連(資料1と2)

売上

本店の外部売上:150千円×34,800個=5,220,000千円
関西支店:2,147,000千円(前T/Bより)
LA支店売上:@1.8千ドル×500個=99,000千円
以上を全部足して、7,466,000千円

ちなみに34,800個は、資料1(2)の商品売買取引の表から外部に売った分を足して計算する。
6,000個+10,000個+17,000個+1,800個=34,800個

売掛金

前T/B 180,000千円+本店未処理分270,000千円+LA支店99,000千円=549,000千円

本店未処理分は問1の仕訳を反映させる。
LA支店について資料に全部、掛で販売しているとあるので売上99,000千円全額が売掛金になる。

買掛金

前T/B 97,000千円+本店未処理分153,000千円=250,000千円
なお、本店未処理分は、3月1日分のこと。@102千円×1,500個=153,000千円

売上原価

これは、結構面倒。

  • 本店の売上原価
    @98千円×6,000個=588,000千円
    @101千円×10,000個=1,010,000千円
    @108千円×17,000個=1,836,000千円
    @106千円×1,800個=190,800千円
    合計 3,624,800千円
  • 関西支店
    前T/Bより 1,461,000千円
  • LA支店
    本体価額 @106千円×500個=53,000千円
    輸送費 90ドル×115円/ドル÷1,000個×500個=5,175千円

売上原価は、以上を全て合計して、5,143,975千円

商品
  • 本店
    帳簿:@106千円×1,700個=180,200千円
    実地:@103千円×1,670個=172,010千円
    よって、期末商品は172,010千円
    棚卸減耗費:(1,700個−1,670個)×@106千円=3,180千円
    商品評価損:(@106千円−@103千円)×1,670個=5,010千円
  • 関西支店
    前T/Bより帳簿上は157,580千円(売上原価対立法なので商品勘定は期末の帳簿額を表す)
    資料2より実地は148,580千円なので、差額は157,580千円−148,580千円=9,000千円
    商品評価損は無いと問題文に書かれているので、9,000千円は全額棚卸減耗費。
  • LA支店
    本体価額 @106千円×500個=53,000千円
    輸送費 90ドル×115円/ドル÷1,000個×500個=5,175千円
    合計 58,175千円

以上を集計して、
期末商品は、172,010千円+148,580千円+58,175千円=378,765千円
棚卸減耗費は、3,180千円+9,000千円=12,180千円
商品評価損は、5,010千円

セール・アンド・リースバック関連(資料3)

売却の仕訳

(借)現金預金 62,695 (貸)備品 85,000
(借)減価償却累計額 28,305 (貸)長期前受収益 6,000

なお減価償却累計額は、20×5年4月に取得原価85,000であり(資料4の本店備品から判断)、20×6年4月1日に売却しているので、1年分だけ償却して計算する。償却率0.333なので、85,000×0.333=28,305である。長期前受収益は貸借差額で計算。

リースの仕訳

(借)リース資産 62,695 (貸)リース債務 62,695
(借)リース債務 11,346 (貸)営業費用 14,481
(借)支払利息 3,135

リースの支払額は、資料(4)にリース料総額72,405千円で5年間にわたり年度末均等額払いとあるので、そこから72,405千円÷5年=14,481千円と計算し、これを営業費で処理している。支払利息は、62,695千円×計算利子率5%=3,135千円である。リース債務は貸借差額で計算。

減価償却

(借)減価償却費 25,078 減価償却累計額 25,078
(借)長期前受収益 2,400 減価償却費 2,400

ここが難しい。減価償却は、再リースしたことで耐用年数が5年となったので5年における200%定率法を自ら計算する必要がある。償却率は、100%÷5年×200%=0.4である。よって、減価償却費は、62,695千円×0.4=25,078千円である。

長期前受収益も同様。売却時に計上した6,000千円は、5年間という時の経過によって実現する収益であって、まずは当期に計上すべき分を計算し、減価償却費で相殺する。なので、その相殺額も減価償却と同じ償却率を使う。よって、6,000千円×0.4=2,400千円である。

ここで、以下の項目を答案用紙に転記すること。
 リース資産:62,695千円
 リース債務:62,695千円−11,346千円=51,349千円
 支払利息:3,135千円
 リース資産減価償却累計額:25,078千円
 長期前受収益:6,000千円−2,400千円=3,600千円

有形固定資産関連(資料4)

減価償却費の算定
  • 本店の建物:300,000千円÷25年=12,000千円
  • 本店の備品:資料3よりセールアンドリースバックされている。
    減価償却費は、25,078千円−2,400千円=22,678千円
  • 本店の備品:200%定率法だが当期に使用開始しているので保証率に引っかかるわけない
    減価償却費は、60,000千円×0.4×3ヶ月÷12ヶ月=6,000千円(3ヶ月分であることに注意)
  • 関西支店の建物:150,000千円÷25年=6,000千円
  • 関西支店の備品:200%定率法であり、前T/Bの累計額が隠されているので簿価を順を追って計算するしかない(各自計算すること)
    減価償却費は、20×5年度簿価14,837千円×改定償却率0.334=4,956千円

以上を集計して、
 減価償却費は、12,000千円+22,678千円+6,000千円+6,000千円+4,956千円=51,634千円
 ・・・これはきついよね。合わせられた方お見事でした。

簿価の算定
  • B/S建物
    本店300,000千円+関西支店150,000千円=450,000千円

  • B/S備品
    本店60,000千円+関西支店50,000千円=110,000千円

  • B/S建物減価償却累計額
    本店:減価償却費12,000千円×5年経過=60,000千円
    関西支店:減価償却費6,000千円×3年経過=18,000千円
    合計78,000千円

  • B/S備品減価償却累計額:本店6,000千円+関西支店45,075千円=51,075千円
    本店:減価償却費6,000千円がそのまま減価償却累計額
    関西支店:16,650千円+11,106千円+7,407千円+4,956千円+4,956千円=45,075千円

    備品の累計額は、きついね。

貸倒引当金関連(資料5)

(1)の本店と関西支店にかかる貸倒引当金

本店の売掛金:前T/B 20,000千円+問1の未処理分270,000千円=290,000千円
関西支店の売掛金:前T/B 160,000千円
よって、当期末の貸倒引当金は、(290,000千円+160,000千円)×2%=9,000千円

前T/Bの貸倒引当金は、6,160千円+1,610千円=7,770千円なので、
貸倒引当金繰入は、9,000千円−7,770千円=1,230千円

(2)のLA支店にかかる貸倒引当金

問2より貸倒引当金繰入:4,950千円(全額そのまま貸倒引当金)

(3)の長期貸付金(貸倒懸念債権)にかかる貸倒引当金

期末時点の、簿価をキャッシュ・フロー見積法によって算定する。

あと2回、2,000千円(=200,000千円×1%)もらえて、最後に200,000千円返ってくる。
それを4%で割り引く。よって、簿価は次のとおり。
202,000千円÷1.04の2乗+2,000千円÷1.04=188,683千円
ということは、期末の貸倒引当金繰入額は200,000千円−188,683千円=11,317千円

集計

以上を集計して、

  • 貸倒引当金
    本店と関西支店9,000千円+LA支店4,950千円+貸付金11,317千円=25,267千円
  • 倒引当金繰入
    本店と関西支店1,230千円+LA支店4,950千円+貸付金11,317千円=17,497千円

これもキツイと思う。どこか1箇所のミスでどちらも失点しちゃうもんね。

為替差損益(資料6)

LA支店は在外支店なので、為替差損益は、B/Sで利益を出して、それをP/Lに移して、P/Lの貸借差額で為替差損益を算定することに注意。

LA支店のB/Sでの利益を計算
  • 借方
    現金 (前T/B)150千ドル×110円/ドル=16,500千円
    売掛金 1.8千ドル×500個×110円/ドル=99,000千円
    商品 66,125千円

なお、商品は、1,000個本店から送られてきて500個が売上原価で500個が期末在庫。同じ500個なので、問2の売上原価を流用すると楽。

  • 貸方
    貸倒引当金 問2より4,950千円(当期しかないので貸倒引当金繰入額がそのまま貸倒引当金)
    本店勘定 問2より156,400千円

以上より、貸借差額を取って、LA支店の利益は20,275千円である。

LA支店のP/Lを集計して為替差損益を計算
  • 収益
    売上 1.8千ドル×500個×110円/ドル=99,000千円
  • 費用
    売上原価 575千ドル×115円/ドル=66,125千円
    貸倒引当金繰入額 4,950千円
    営業費用 60千ドル×110円/ドル=6,600千円
    B/Sからの利益 20,275千円

貸借差額をとって、為替差損益:1,050千円

見越繰延(資料7)

  • 仕訳
    (借)前払費用 1,073 (貸)営業費用 1,073
    (借)営業費用 550 (貸)未払費用 550
  • 営業費用の内訳
    本店 826,300千円
    関西支店 675,000千円
    LA支店 6,600千円
    見越繰延 △1,073千円+550千円
    リース料の振替 △14,481千円

以上を合計して、1,492,896千円

問1 仕訳問題

(2)本店が関西支店の当期損益を総合損益に振り替える仕訳
  • 収益
    前T/B売上 2,147,000千円
  • 費用
    前T/B売上原価 1,461,000千円
    棚卸減耗費 9,000千円
    前T/B営業費用 675,000千円
    資料7の見越繰延 △450千円+550千円
    減価償却費 建物6,000千円+備品4,956千円=10,956千円
    貸倒引当金繰入額 売掛金160,000千円×2%−前T/B 1,610千円=1,590千円

よって、上記収益と費用から、支店損益は△10,646千円
本店にこの損失を送る仕訳は、
(借)総合損益 10,646 (貸)関西支店 10,646

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147回日商簿記1級・詳細解説【商簿編】” に対して1件のコメントがあります。

  1. 佐藤公一 より:

    解説の売上原価は58175ではなくて66125では
    ないでしょうか?
    そうでないと為替差損益が、1050になりません。

    1. pro-boki より:

      ご返信遅くなり申し訳ありません。
      為替差損益(資料6)のLA支店の売上原価ですね。
      おっしゃるとおり誤植です。ご指摘ありがとうございます。修正いたしました。

  2. 佐藤公一 より:

    つまらない指摘をしてしまって誠にすみません。
    私は先生の物凄く分かりやすい解説や簿記に対する考え方に共感しております。ちなみに147回1級の私の結果は38点でした。指摘するには大変おこがましい身ですが、これからもよろしくお願いいたします。

  3. にし より:

    おこがましいですが、質問させていただきます。
    問題文に20X6年4月1日至20X7年3月31日が損益の期間になっているので、関西支店備品の減価償却費の計算は
    20X6年年末簿価9881千円×改定保証率0.334=3300千円〈50000千円×保証率0.09911=4956だから4956千円と計算したのですが、この計算間違いでしょうか?
    ??と思ったので、教えて下さい。

    1. pro-boki より:

      【200%定率法による減価償却費の求め方】
      ・Step.1 まずは、期首簿価×償却率で減価償却費を求める。
      ・Step.2 上記減価償却費≧償却保証額なら、上記減価償却費を使う。
      ・Step.3 上記減価償却費<償却保証額なら、改定取得価額×改定償却率に切り替える。
      ・Step.4 Step3に切替後は、ずっとこの額で償却(ただし最終年度は差額で計算)

      上記ルールにもとづけば、
      20X3年3月期:50,000千円×0.333=16,650千円(期末簿価33,350千円)
      20X4年3月期:33,350千円×0.333≒11,106千円(期末簿価22,244千円)
      20X5年3月期:22,244千円×0.333≒7,407 千円(期末簿価14,837千円)
      20X6年3月期:14,837千円(改定取得価額)×0.334(改定償却率)≒4,956 千円
      20X7年3月期:切り替え済みなので前期と同じ減価償却費4,956 千円を使う

      上記、各年度において、償却保証額4,955.5千円(=50,000 千円×0.09911)を下回るのは20X6年3月期である。よって、このタイミングでStep3が採用され、14,837千円×改定償却率0.334=4,956千円が20X6年3月期の減価償却費となる。そして、この年度以降はずっと、4,956千円で償却する。(ただし最終年度は差額で計算)

      よって、20X7年以降は、前年と同じ4,956千円。

      Step3以降は、定額法になる、というルールはご理解されていますか?多分、そのあたりのルールを勘違いされているのではないでしょうか。テキストなどで再確認をされてみてください。

  4. にし より:

    ありがとうございます。

  5. ちょくゆき より:

    お世話になります。
    今回の試験は合格率が5%台と、先生が書かれているように事故のような難しさだった印象を受けます。

    LA支店が負担した商品輸送費等は、文中に指示がなかったから取得原価に含めていませんでした。しかし、先生をはじめ各学校ともに取得原価に含めるという解説になっています。
    内部の商品取引で生じた費用は文中に何か指示がない限り、例外なく取得原価に含めるものなのでしょうか?
    基礎的なことかもしれませんが、ご教示いただけると助かります。

    1. pro-boki より:

      本支店会計とは関係なく、付随費用(運送費とかですね)は取得原価に算入しなければならない、というのは会計の基本ルールです。これは、問題文に指示が無くてもやらなければいけませんよ。

      そもそも、なぜ、取得時の付随費用は取得原価に含めることが必須で、販売時の付随費用は当期の費用となるのか、分かりますか?

      費用収益対応の原則から言えばこれは当然の処理なんです。このあたり、暗記ではなくて、ちゃんと意味も含めて理解されるような勉強をして頂けえればと思います。
      (これって、記事書いてませんでしたっけ?だったら書きましょうかね)

  6. ちょくゆき より:

    早速のご返信ありがとうございます。
    テキストにも「取得原価は購入代価に付随費用の一部または全部を加算して決定」と書いてあるのを、見落としていました。
    今回の場合は全部を加算だったんですね。
    また、記事についても「簿記こぼれ話」にて掲載されていました、そちらも見落としていました。

    ご説明ありがとうございました。

    1. pro-boki より:

      はい、原則は 取得原価=購入代価+付随費用 です。
      ただし、例外的に付随費用の一部を入れないことも出来ます。

      これ、どういうことかというと、例えば運送費なんかは、明確に「この商品を仕入れるために掛かった費用」と分かりますので、算入しなければいけません。

      一方で、例えば、販売するまでに一時的に倉庫に保管するとして、そのときの倉庫代をどうするかというケースを考えてみてください。
      倉庫にはたくさんの製品が保管されています。長期間保管されるものもあれば、短期しか保管されないものもあります。大きくてかさばるものもあれば小さいものもあるでしょう。

      さて、この倉庫代を付随費用として商品に付加したいのですが、どうやって計算しましょうか?かなり困難ですよね。
      こういう、商品などを受け入れた後に掛かる費用のことを内部副費というのですが、これに関しては、配賦計算が大変かつ、不正確になるので取得原価に算入しないことが出来る規定になっています。

      まあ、これは例外的な処理ですので、問題文に特段の指示が無いなら、付随費用を取得原価に算入するのは必ずやらなければなりません。

  7. ちょくゆき より:

    丁寧にご教示いただき、ありがとうございました。
    付随費用は指示がなければ購入代価に加算し、文中に指示があれば取得原価に算入する部分を判断することがわかりました。
    もう一度、先生が書かれた記事も確認することとします。

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