第150回日商簿記1級・詳細解説【商業簿記】

第150回本試験を受験して
第150回日商簿記1級本試験、受験してきました。全体的には何というのでしょう、さして難しくはないのですが、少しだけひねってあったり、問題文が読み取りにくい感じで、いまひとつ点数が取りにくい印象の問題でした。
要は、問題文がきちんと読み取れて、ケアレスミスなく処理できれば高得点取れそうなのですが、なんとなくミスをしやすい作りで、かつミスの箇所によっては大失点につながる感じです。
解いている最中は「あ、これ結構簡単かな」という感触だったのですが、実際に解き終わってみると「これは、結構平均点低いのではないかな」という印象でした。
ただ、問題の質としては、商簿、会計学ともにとてもいい問題だったと思います。前回に引き続き、検定試験はこうあってもらいたいものです。日頃の学習の成果を測定するのに適した問題だったと思います。
工原は、相変わらず、個人的にはどうなのよこれ、と思うところはありますが、まあ試験に楯突いても仕方ありません。これについては後ほど。
さて、本試験の解説を公開します。まずは商簿から。問題文は日商に著作権がありますので、掲載できませんことをご理解下さい。
商簿・問題概要
答案要求
決算整理前残高試算表が与えられて、期末整理事項にもとづいて決算整理後残高試算表を作るという非常にオーソドックスな問題でした。
問題概要
- 配当金の支払いの処理
- 商品売買(未着品、期末一括法)
為替予約(振当処理) - 貸倒引当金の処理
- 事業承継の処理
- 固定資産
圧縮記帳(積立金方式)
資産除去債務 - 有価証券
外貨建売買目的有価証券
満期保有目的債券(利息法)と保有目的区分変更
外貨建その他有価証券 - 経過勘定
難易度
個々の論点の難易度は普通から少し易しめですが、案外得点しにくい感じです。
合格目安点数
18点以上:合格圏内
15点未満:厳しい。他の科目で頑張る必要あり。
以下の解説をご覧頂くうえでのお願い
- 原則として金額の単位が無いものはすべて千円単位です。
- 誤植などありましたらご連絡頂けると大変うれしいです。
1 配当金の支払い
前TBの仮払金(18,000)は期中に繰越利益剰余金を財源として支払った中間配当である。中間配当支払時には支払額を仮払金として処理しただけでその他の処理は行っていない。
この問題見て「はいはい、仮払金と繰越利益剰余金の双方から18,000引けばいいんでしょ。楽勝!」と思った方も多かったのではないでしょうか。仕訳にすると次のとおり。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 繰越利益剰余金 | 18,000 | 仮払金 | 18,000 |
はい。まんまと引っかかってます。私も危なかったです。見直しているときに気づきました。準備金の積立をお忘れではありませんか?ということです。正解は以下のとおり。こういう感じのちょっとしたひねりがあるんですよね。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 繰越利益剰余金 | 18,000 | 仮払金 | 18,000 |
| 繰越利益剰余金 | 1,800 | 利益準備金 | 1,800 |
2 商品売買
(1)未着品販売に関する売上原価の算定は、期末に一括して仕入勘定で行っており、未着品の販売売価は一般販売売価の20%増しである。
とあります。うーん、考えちゃいますね。ちょっとだけ面倒そうな匂いがするわけです。特殊商品売買で原価率を算定する問題は、たいてい面倒なんです。後回しにしてもいいかもしれません。ただ、実際にやってみると特殊商品売買の問題にしてはかなり簡単なので、勇気を持って手を付けた方は結構出来たのではないでしょうか。まずは一般商品の商品ボックスから原価率を求めます。
一般商品ボックス
| 繰越商品 313,400 |
売上原価 (貸借差額から)2,736,000 |
| 当期仕入 2,728,000 |
期末商品 資料2の(5)303,480+1,920 |
- 原価率:売上原価2,736,000÷前TB一般売上3,800,000=0.72
きれいに割り切れました。まず、これで間違いないでしょう。となると、あとは未着品の商品ボックスを作れば比較的簡単にできそうです。
未着品の処理
(2)3月5日に52,000ドルの貨物代表証券を入手し、代金は全額掛けとしたが、この取引が未記帳である。
まず、この仕訳を行ってしまいます。3月5日の為替レートは@110円ですから、52,000ドル×@110円=5,720千円です。単位間違えないようにしましょう。私は解きながら一瞬混乱しました。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 未着品 | 5,720 | 買掛金 | 5,720 |
では未着品ボックスを作ります。
未着品ボックス
| 未着品 前TB 450,400 +(2)の仕訳より5,720 =456,120 |
売上原価 ? |
| 期末未着品 ? |
まずは「期末一括法」を採用しているという指示から、上記のようなボックス図をイメージできるかどうかがポイントです。つまり、「期末一括法」を採用しているとき、前TBの未着品勘定は、借方合計を表すのです。ちなみに「その都度法」を採用しているときは、前TBの未着品勘定は未着品の期末在庫を表します。
ここまでくれば「あ、未着品売上は前TBから720,000って分かっているし、原価率も分かっているから、いけそうだ」という感触が得られるでしょう。
そのとおりです。「未着品の販売売価は一般販売売価の20%増し」とあるわけですから、1.2で割り戻せば一般販売の原価率(0.72)を使えるわけですね。
- (未着品の)売上原価:前TB未着品売上720,000÷1.2×0.72=432,000
- (未着品の)期末在庫:456,120−432,000=24,120
以上より、後TB未着品は24,120、後TB仕入は2,736,000+432,000=3,168,000です。
ちなみに、繰越商品は実は後で動くのですが、この時点で303,480を答案用紙に書いて置きましょう。動いたらそのとき直せばいいのです。
為替予約の処理
(3)買掛金は21,600千円の米ドル建の買掛金が含まれている。この買掛金は平成×6年2月20日(直物レート@108円)の取引から発生したもので、年度末にかけての円安が予想されたため3月5日(直物レート@110円、先物レート@113円)に(2)の取引のあと、52,000ドルの買掛金とともに為替予約を行ったが未処理であった。決済はいずれも5月末、振当処理で月割計算による。
なんとなくごちゃごちゃっとしているので丁寧にやらないとケアレスミスします。まずは買掛金21,600千円の直々差額だけ先にやっちゃいます。
- 21,600千円÷@108円=200千ドル
- この200千ドルの買掛金が@108円から@110円になったので@2円分買掛金が増えています(損している)よって、次の仕訳となります。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 為替差損益 | 400 | 買掛金 | 400 |
続いて、この200千ドルと先の未着品の52千ドルに対して直先差額を計算し、決算時において当期分を為替差損益に振り替えます。
- 直先差額(前払費用):(200千ドル+52千ドル)×(@113円−@110円)=756千円
- 決算時の前払費用の為替差損益の振替:756千円÷3ヶ月×1ヶ月=252千円
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 前払費用 | 756 | 買掛金 | 756 |
| 為替差損益 | 252 | 前払費用 | 252 |
ここまでできれば、買掛金と為替差損益の解答を合わせることができます。前払費用は、あとに経過勘定の処理があるので、それとあわせて処理します。
商品売買の実践ポイント
さて、本論点を解くにあたっては、いくつかポイントがあります。1つ目は、「期末一括法」と言われて、そのとき前TBの未着品が何を表しているのかをすぐに思い出せるかどうか。2つ目は原価率を算定するさい、期末商品に棚卸減耗損1,920を忘れずに足せるかどうか、3つ目は、単位がドルや千ドル、円、千円が混在しているのでケアレスミスなく計算できるかどうか。
これらをすべてクリアしないといけません。論点としてはたいして難しくないのですが、緊張しつつ時間に追われながらの本試験で、果たしてノーミスで得点できるかというとちょっと難しい感じもします。
実践的には、この商品売買を捨ててそのかわりに他をパーフェクトに仕上げていればそれで合格には十分届いていると思います。
3 貸倒引当金の処理
これは、サービス問題でした。出来た方も多かったと思います。
(1)貸倒損失(前TB1,500)は当期の貸倒れ(前期売掛金600、当期売掛金900)について処理したものである。
2級(3級?)の論点です。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 貸倒引当金 | 600 | 貸倒損失 | 600 |
- よって後TB貸倒損失:1,500−600=900
(2)期末の受取手形(51,320)および売掛金(62,680)に対して2%の貸倒引当金を設定する。
(3)短期貸付金1,200千円について貸倒懸念債権に分類し、800の保証を減額したあとの残額の50%の貸倒引当金を設定する。
- (2)(51,320+62,680)×2%=2,280
- (3)(1,200−800)×50%=200
- よって、後TB貸倒引当金:2,280+200=2,480
- また、後TB貸倒引当金繰入:2,480−(前TB 870−600)=2,210
4 事業承継の処理
これも比較的易しい問題でしたが、案外と忘れてしまっている方も少なくなかったかもしれません。
期末に甲社から以下の資産と負債から構成される乙事業を承継し、対価として甲社に対して当社株式8,000株を交付した。ただし、このうち3,000株は自己株式(簿価120,000)、残りは新株を交付した。当社株式の時価は@39,000円、増加する資本のうち50%を資本金とし、残りを資本準備金とする。
商品(簿価80,000、時価100,000)
土地(簿価300,000、時価350,000)
短期借入金(簿価190,000、時価も簿価と同じ)
ポイントは、乙事業を時価で受け入れること、支払対価は時価(@39,000円×8,000株)で算定すること、差額をのれん(52,000)にすること、自己株式を簿価で処理することの4点です。
これが、本問のような企業結合ではなく自己株式の処分などの場合は、自己株式の処分差益をその他資本剰余金で処理します。しかし企業結合の場合は、本問のように処理する点に注意しましょう。(よく出てくる論点です。)
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 繰越商品 | 100,000 | 短期借入金 | 190,000 |
| 土地 | 350,000 | 自己株式 | 120,000 |
| のれん | 52,000 | 資本金 | 96,000 |
| 資本準備金 | 96,000 |
なお、このタイミングで、さきに答案用紙に記入済みの繰越商品303,480を修正しましょう。100,000を加えて、403,480になります。
5 有形固定資産
基本問題です。とはいえ、圧縮記帳(積立金方式)も資産除去債務も出題頻度から言えばAランクまではいかず、A’かBランクくらいなので、ちょっと抜けてしまってた方もいたかもしれません。
圧縮記帳(積立金方式)
(1)建物(前TB2,500,000)は平成×1年4月1日に補助金500,000を受け入れて取得した。減価償却は、耐用年数25年、残存0、定額法。補助金の圧縮記帳は積立金方式によっており、圧縮積立金は固定資産の耐用年数にわたって取り崩す。
コツは、減価償却の処理を先に行ってしまい、補助金の取得原価に対する比率(500,000÷2,500,000=0.2)で圧縮積立金の処理をすると簡単です。本問の場合だと、減価償却費:2,500,000÷25年=100,000と計算しておいて、それに0.2を掛けて20,000の圧縮積立金を取り崩す仕訳をします。
なお、減価償却累計額は、期末時点で取得から5年経過しているので100,000×5年=500,000です。
本問は、税効果が無いため、より簡単でした。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 圧縮積立金 | 20,000 | 繰越利益剰余金 | 20,000 |
| 減価償却費 | 100,000 | 建物減価償却累計額 | 100,000 |
資産除去債務
(2)構築物は平成×3年4月1日から15年契約で賃借した土地に設置した立体駐車場の取得費用80,000を計上したものである。減価償却は、耐用年数15年、残存0、定額法。賃借期間終了時点で原状回復し返還する義務がある。当該費用見積は6,000、割引率は年3%、15年の現価係数は0.642。
当期末は×6年3月31日なので期首より2年前に取得しています。その時点での資産除去債務は6,000×0.642=3,852、取得原価は、80,000+3,852=83,852(後TB構築物)です。
- 減価償却費は、83,852÷15年≒5,590(3年経過しているので減価償却累計額は5,590×3=16,770)
- 資産除去債務の簿価は次のとおりです。
×3年度末 3,852×1.03≒3,968
×4年度末 3,968×1.03≒4,087
×5年度末 4,087×1.03≒4,210(後TB資産除去債務) - また、利息費用は、4,210−4,087=123
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 利息費用 | 123 | 資産除去債務 | 123 |
| 減価償却費 | 5,590 | 構築物減価償却累計額 | 5,590 |
6 有価証券
基本的には、簡単なのですが、(2)がちょっとクセのある問題でした。
(1)A社株式(売買目的)は当期首に5,000株を1株につき18ドル(為替レート@106円)で取得したもので、期末時価は22ドル(為替レート@112円)
- 取得原価:$18×5,000株×@106円=9,540千円
- 期末時価:$22×5,000株×@112円=12,320千円(後TB売買目的有価証券)
- 有価証券運用益:12,320千円−9,540千円=2,780千円
(2)B社社債(額面50,000、取得原価46,250、満期保有目的)は平成×4年4月1日に取得し、満期は平成×9年3月31日である。クーポン利子率は年2%、利払日は3月末日、実効利子率は年3.67%として償却原価法(利息法)を適用している。当期の利息受取分はすでに計上してある。当期末に額面の40%を100円につき97.5円で売却し、代金は翌年入金することになっている。この取引は未処理である。この売却にともない、保有目的をその他有価証券へと保有区分変更する。
- 期首簿価:46,250×1.0367−クーポン1,000≒46,947
- 期末簿価:46,947×1.0367−クーポン1,000≒47,670
- 有価証券利息:46,947×3.67%≒1,723
- 期末簿価47,670のうち40%(47,670×0.4=19,068)が100円につき97.5円で売却された。よって、50,000×40%×0.975=19,500で売却されたことになり、投資有価証券売却益は432(=19,500−19,068)
- 残りの60%(47,670×0.6=28,602)はその他有価証券に保有区分を変更した。
(3)C社株式(取得原価5,000ドル)は前期首に1株につき50ドルで取得したもの(当時の為替レート@111円)で、当期末時価は1株55ドルである。
- 取得原価:$50×100株×@111円=555千円
- 期末時価:$55×100株×@112円=616千円
- よって、その他有価証券評価差額金:616千円−555千円=61千円
なお、(2)の満期保有目的債券のうち28,602千円が保有区分変更によりその他有価証券になっているため、これを期末簿価616千円と合計して、28,602千円+616千円=29,218千円
ワンポイント
本試験中、私は上記のように解きましたが、他社スクールの解答速報によれば、その他有価証券評価差額金を709、その他有価証券を29,866としている解答(別解)もあります。648のズレが生じています。
これは、(2)満期保有目的債券を保有区分変更によりその他有価証券としたことで、それを時価評価したことによるものです。
本試験中、一瞬、頭をよぎりましたが、当該社債の時価が問題文に書かれていないことから、その処理をしませんでした。しかし、問題文に100円につき97.5円で売却したとあることから、これを時価とみなして処理すると、以下の評価差額が計上されます。
額面30,000×97.5%−簿価28,602=648
これが正解だと思います。
7 経過勘定
販売費の前払分2,364、一般管理費の未払分3,623
前払費用は、為替予約で756計上しています。この算入を忘れないように。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 前払費用 | 2,364 | 販売費 | 2,364 |
| 一般管理費 | 3,623 | 未払費用 | 3,623 |
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日商簿記1級150回のその他有価証券の取引に関して質問です。
私は、その他有価証券評価差額金をC社株式の61円のみを記入したのですが、この場合別解は認められるのでしょうか?
日商は、採点基準および解答を公開していないので、分かりませんが、多分認められると思います。
コメント失礼します。
今回の日商簿記1級150回に関して、149回同様簡単だったという声をSNS上で見かけたのですが配点・採点を厳しくする逆傾斜配点なる配点が予想されますでしょうか?
>今回の日商簿記1級150回に関して、149回同様簡単だったという声をSNS上で見かけた
私の周辺では聞いたことがありません。
また、個人的にも149回ほど簡単だったとも思いません。
単なるSNS上のマウントの取り合いもしくは煽りのような感じがします。
逆傾斜はまずないと思います。だいたい自己採点どおりに落ち着くのではないでしょうか。
税効果会計のイメージが掴みにくいことに悩んでいます。なぜ、法人税の前払分を繰延税金資産という資産で把握するのでしょうか。発生主義で当期分の法人税を減額する意味で貸方に法人税調整額がくるのは理解できます。ただ、将来的に繰延税金資産がどのように財務諸表に関わってくるのかが分かりません。
加えて、基本書の使い方もあっているのかどうか気になります。税効果会計会計だけでなくテキストでわからないところ、処理の由来やイメージのわきにくいところを補完するような形で利用していますが正直堂々めぐりのような気もします。
アドバイス願います。
税効果会計の本質は、ここでの数行コメントでは表記しきれません。ですので、ざっくりしてますことご了承ください。
>なぜ、法人税の前払分を繰延税金資産という資産で把握するのでしょうか。
繰延税金資産が資産の定義を満たしているからです。
では、資産の定義とは何でしょう?
概念フレームワークによれば、「資産とは過去の取引または事象の結果として報告主体が支配している経済的資源」です。
では、経済的資源とは何でしょう?
ザックリ言えば将来CFを生み出す潜在的な力のことです。
繰延税金資産って、誤解を恐れずに言うなら「税金ディスカウントチケット」なんですよ。
これを使うと将来納めるべき税金が安くなる。例えば会計的に100万円の利益が出て、30万円の税金を納めるべきところが、繰延税金資産が10万円あったら、20万円だけ税金を納めればよくなる。つまり将来支払うべきCFが少なくて済むわけです。
そんな、力を持っているんですね、繰延税金資産というのは。
ということは経済的資源ですよね。
じゃあ、資産計上すべきだと。
そういう考え方です。
タリーさんが、どのようなテキストでどう勉強されているか分かりませんが、もし、独学だと、このあたりは確かに理解が難しいかもしれません。
それは、独学用の市販テキストは税効果会計について主に「繰延法」をベースに解説しているからです。
繰延法は、会計における費用・収益と、税法における損金・益金の差異に注目した考え方です。利益がズレているから修正しようという感じですね。P/Lのためにやっている感じです。法人税等調整額がその代表例です。
この繰延法は、わかりやすいので市販テキストには多用されていますが、本当はこの考え方は正しくないのです。
税効果会計の根拠は「資産負債法」にあります。P/Lのためにやってるのではなくて、正しいB/Sを作るためにやっているのです。
税効果会計を腹落ちさせるには、このあたりの理論的背景を学ぶ必要があるかもしれません。
会計理論の背景を市販テキストだけで理解するのは難しいかもしれません。
手っ取り早いのは、誰か会計に強いひとに質問できる環境に身をおくことです。
それも難しい、そんな人はいない、ということであれば会計士向けのテキストを入手するのがいいかもしれません。
会計士講座は50万円以上しますが、テキストだけならさほど高くないです。(それでも万円単位はしますが)
>処理の由来やイメージのわきにくいところを補完するような形で利用していますが正直堂々めぐりのような気もします。
うーん。基本書によりますね。
岡本清先生の「原価計算」なんかだと、市販テキストでサラっと書かれていてイメージがわきにくい論点が、具体性を持って詳しく書かれていたりして、理解の促進になることもあります。
ただ、財務会計の基本書は、あまりそういう使い方には適さない気がします。部分的な理解促進よりも、会計全体をつかむ、土台を作るっていう感じでしょうか。だから基本書って呼ばれるのかもしれません。
そのほか、基本書の使い方については、次の方のコメントを御覧ください。
基本書はどのようなスタンスで読むのが正解なのでしょうか。
基本書はお好きに使ってください。
まず、テキストは、試験に出そうなところを重点的に、そうではないところは省略して書かれています。よって、学習効率は良いです。しかし、全体の流れが見えないというか、繋がりが分かりにくい箇所が多々あります。
基本書は、試験に出る・出ない関係なく、会計というものの全体像を捉えて書かれています。テキストだけを読んでいて理解できないところが、基本書を読むことで「ああ、そう繋がるのかぁ」と分かることがあります。
何の基本書を読まれているのか分かりませんが、もし、桜井久勝先生の財務会計講義を読まれているのでしたら、第4章の「利益測定と資産評価の基礎概念」を読んでみてください。
私は、受験生のとき、ここを読んで、はじめて会計の本質に触れた気がしました。ここが直接試験に出ることはありませんが、会計的な考え方の土台というか、エッセンスを得ました。こういうのは、なかなか市販のテキストでは得られません。
ただし、そもそも基本書を読めるようになるためには、そこそこのレベルが必要です。ですので、そのレベルに達していないうちに基本書をひとりで読むと難しく感じてしまい、逆効果になる可能性もあります。
この場合は、誰か会計に強いひとがいるなら、解説してもらうのがいいと思います(大学生で商学部、経済、経営学部あたりなら周囲に声を掛けてみるといいです。結構います)。
そういう人がいない場合は、もう少し簡単な基本的な会計の書籍を読んでみる、というのも効果的です。
どこかで書きましたが「会計のことが面白いほど分かる本(天野敦之)」とか「財務3表入門(国貞克則)」なんかがよろしいかと。
お忙しいところありがとうございます。質疑応答を見ていると簿記に対する先生の考え方を知ることができ、非常に勉強になります。やはり、根底にある会計の考え方に辿り着くまでには時間がかかりそうですが、私も一生懸命勉強してみます。また、イメージの湧きにくいところ、どうしても腹落ちできないところがあったら考え方のアドバイスを少しでもいただけると幸いです。
初歩的な質問ですが、合併後貸借対照表で受け入れる項目以外で負債、純資産でプラスしない項目があるのは資金の調達方法の違いからでしょうか。
質問の主旨が見えませんよぉぉぉ。
まず、確認ですが「合併後貸借対照表」とは、いわゆる企業結合会計の吸収合併とかを行った場合の取得企業側のB/Sという意味で良いですか?(万が一とは思いますが、本支店会計でも合併財務諸表ってのがありますので)
あと「受け入れる項目」ってなんですか?識別可能資産と負債のことですか?
で、「負債、純資産でプラスしない項目」ってなんですか?
特に、純資産をプラスと言う意味が分かりません。合併では被取得企業の純資産をプラスしませんよ。
できれば、具体的にお困りの問題などを提示して頂けると助かります。
質問にお答えすることよりも、そもそも何をご質問されているのかを推測するのに時間が掛かるのです。
そうです。おっしゃっている意味合いの通りです。すみません。。資本金だったり、負債は時価を加えて合併後貸借対照表に示しますが、利益準備金などは取得企業のそのままの数字で合併後も記載しますよね。とのことです。
質問のレベルが低くてすみません。
なるほどです。
多分ですけど、合併の仕訳を勘違いされているのではないでしょうか。
A社がB社を吸収合併したとします。このとき、A社+B社のB/Sを作れば良いと思っていませんか?
だとしたら、そもそもの考え方が間違えています。
この場合、A社がB社を買った、という仕訳を切るんです。
まるでB社を商品とか固定資産かのように見立てて、それをA社が買うんです。
で、そのとき、A社はその対価として現金を払うこともありますが、株を発行して支払うこともあるんです。
この場合、株を発行した分だけ、純資産(資本金とか資本準備金など)が増えるわけです。
まず、ここまでの考え方の大前提は大丈夫ですか?
で、「A社はB社を買った」って書きましたけど、具体的には、B社の資産とか負債を買ったわけですよね。
それらを時価で受け入れるんです。
例えば建物なんかは簿価とか減価償却とか関係なく、そのときの時価で評価します。
例えば繰延資産なんて、実体が無いわけじゃないですか。
こんなものには財産的な価値というか時価とか無いわけですよ。で、こういうのは受け入れないんですね。
このように、ちゃんと値段が付いて受け入れられるもののことを識別可能資産とか負債っていいます。
で、この受け入れた識別可能資産とか負債と、その対価として支払った株の価額を比較して、その差額が「のれん(もしくは負ののれん)」になるんです。
以上、非常に基本的な概念をざっとご紹介しました。どのあたりまで、理解できていて、どこから躓いているのかを明確にしてください。
株式移転の会計処理についてですが、完全親会社が作成されるにもかかわらず、なぜ作成する側の子会社の中で取得企業、被取得企業という概念が出てくるのでしょうか、、。
ここがピンとこないので子会社株式の取得原価の計算方法がなかなか腹落ちしません。、
上の質問事項ですが、事業を買ったときに利益準備金や資本剰余金てのは識別可能資産に含まれないていうことですかね。
>株式移転の会計処理についてですが、完全親会社が作成されるにもかかわらず、なぜ作成する側の子会社の中で取得企業、被取得企業という概念が出てくるのでしょうか、、。
新しいご質問でしょうか。
株式移転は、2段階に分かれていて、1段階目は取得企業を完全親会社に移転させる処理、2段階目は完全親会社(実質的な取得企業)が被取得企業を買収する処理に分かれます。
独学ですかね?だとすると、株式移転の外形上のやりとりだけをテキストで読んでも分かりにくいかもしれません。株式移転の経済的な実態は、買収と同じ(取得企業が被取得企業の支配を獲得している)なんですね。大事なのは、このあたりを理解できているかどうかです。
>上の質問事項ですが、事業を買ったときに利益準備金や資本剰余金てのは識別可能資産に含まれないていうことですかね。
はい、利益準備金や資本剰余金は、そもそも”資産”ではありませんので、含まれません。
企業結合を学習されるまえに、純資産とは何か、ってあたりの基礎概念を学習するのが大事かもしれません。
例えば、資本金は”金”ってついてますけど、これ財産的なイメージの”お金”ではないことは分かりますよね。これはあくまでも資金調達の”額”を示しているにすぎません。この純資産に対して資産のようなイメージを持ってしまうと企業結合会計は理解しがたくなります。
最後に。
記事(本記事は第150回本試験の解説記事です)との関係性の薄いコメントが長々続くのは好ましくありません。
あと、質問をされるときは「自分が聞きたいことを聞きたいように聞く」のではなく「相手に分かってもらえるように書く」ということを意識されてください。
相手からの回答も的確なものになりますし、そういう質問を書くこと自体が勉強になります。
すみません、質問させてください。持分法の親会社持分株式一部売却は取得後に加算される利益剰余金と個別会計上の差額を修正して仕訳をおこすと思うのですが、
①そもそもなぜ連結上と個別会計上の仕訳が違うのか、初歩的な質問ですみません。
②連結会計上で損が発生し、個別会計上では利益が出ている場合の仕訳が
M社株式売却益4000/M社株式10520
M社株式売却損6520/
となるのか。
これでは修正仕訳になってない気が、、仕訳の意味が 腹落ちしません。
すみません、お願いします
ごめんなさい、記事と関係のない論点についての個別の質問対応は出来かねます。
申し訳ないです。(この論点については、いずれ記事を書きたいとは思います。)
割り込みすみません。
この仕訳の意味って確かに腹落ちしませんよね。自分は独学なので尚更です。
テキストでこれを見た時は、はっ?と思わずつぶやいたぐらいです。
何とか理解しようと自分なりに試行錯誤した過程を示します。最後は先生がストンと腹落ちさせてくれると思うので!
①投資差額の消去にあたり、借方科目はどちらも実質的には費用科目だが、個別上の修正をするために売却益が計上される。【税法よりの考え方?益金不算入か?】
②連結での一部売却では、非支配分の持分増加に伴い資本剰余金に繰入られるが、損益取引のみの持分法ではのれんを含む損失分を費用処理する?
先生、すみません。返信不要なので腹落ち記事をお願いいたします。
始めまして。なかなか日の目を見ない受験生ですが質問させて頂きます。150回商業簿記 4.事業継承に関する資料の問題ですが、同じ間違いをしてしまいます。(試験中もですが、2.3ヶ月後、或は今回試験勉強での過去問対策でも)いつもこのような仕訳を切ってしまいます。
借方 商品 80000 貸方 短期借入金 190000
土地 300000 自己株式 120000
のれん125000 資本金 97500
資本準備金 97500
解答した根拠なのですが、
①取得される側は時価(パーチェス法)取得側は簿価で計算するので、この場合は後者なので簿価で計上した
②8000株より自己株式3000株を除いた5000株に39000円を乗じ97500ずつ資本に取り込んだ
③貸借差額でのれん125000を計上した
解答を見て分かったつもりが何か月か経つと同じ間違いをしてしまいます。類似の問題でも同様です。
何かアドバイスをお頂けましたら幸甚です。
多分なんですけど、企業結合の基本があやふやなまま実践に取り組んでしまっている感じです。まずは、解答根拠についてコメントします。
>①取得される側は時価(パーチェス法)取得側は簿価で計算するので、この場合は後者なので簿価で計上した
逆です。取得される側(売る側)は簿価、買う側は時価です。ただ、これはわざわざ暗記するようなものではありません。なぜなら普通の売買取引と一緒だからです。パーチェス法って、要するに企業を買うのも、普通のモノを買うのも同じだよって言ってるだけです。
たとえば、簿価100万円の土地を時価120万円で売るときを考えてみてください。売る側は、簿価100万円を帳簿から取り消して、現金120万円が入ってきて20万円利益でますよね。買う側は、時価120万円で取得するだけですよね。
パーチェス法もまったく同じです。売る側は簿価、買う側は時価です。
本問は、当社は買う側ですから、時価で計上します。
100,000+350,000−190,000=260,000
結局、時価が260,000である資産・負債を手にいれたのです。
>②8000株より自己株式3000株を除いた5000株に39000円を乗じ97500ずつ資本に取り込んだ
これも、なんというか、まずいです。自己株式を除くっていう考え方がまずいです。
まず、考えるべきは相手への支払対価(取得原価)なんです。その内訳(自己株処分なのか新株発行か)はとりあえず関係ないのです。乙事業を買ったわけですから、当然対価を払ってますよね。まずはその額を求めましょう。これが企業結合の基本順序です。
モノを買う時の対価って普通は現金とか支払手形などですが、本問は有価証券を支払いに使っているわけです。このとき、支払対価(つまり取得原価)は、支払った現金とか支払手形とか有価証券の時価とする、っていうのが会計の基本ルールなんです。
時価@39,000円の株を8,000株対価として相手に渡しているのですから、それが取得原価です。
つまり、@39千円×8,000=312,000千円が支払対価(取得原価)です。
続いて、のれんを出します。312,000の取得原価に対して、手にいれたものが260,000ですから差額の52,000がのれんです。
このように、まず相手との取引における、手に入れたものと対価として支払ったものを明確にして、差額からのれんを出すというところまでがファーストステップです。
で、そのあとに、払ったものが現金ではなく、新株の発行や自己株式なのであれば、その内訳を計算するのです。これは、単純に自社の純資産の内訳の問題です。
自己株式は簿価で手当して、残りは、資本金なり資本準備金なり、指示に従えばおしまいです。
この手順を完璧にマスターすることです。企業結合は、いつでも、この手順です。
先生、早々にご返信頂きましてありがとうございます。「売る側は簿価、買う側は時価です」言われれば当たり前ですが、こういうことが、勉強と結びついていないんですね。なぜいつも間違うのか、なぜ初見の問題ができないのかずーっと自問自答していますが、やっぱり論点の基礎・基本や本質が身についていないんですね。これからも宜しくお願い致します。
ちょっとしたコツなんですが…。
「どうやればいいか」ではなく「どうあるべきか」に意識を向けてみてください。
「どうやればいいか」を覚えようとすると、どこかで行き詰まります。1級レベルになると覚えることがたくさんありすぎますので。
「どうあるべきか」を意識すると、仮にやりかたを忘れても「こうあるべきだから、きっとこうすればいいはず」というのが思い浮かんできます。
先生、重ね重ねのアドバイス誠にありがとうございました。「どうあるべきか」を至言にこれからも答練に取り組んでいきたいと思います。
こんばんは。解説が分かりやすく、いつも参考に読ませて頂いていおります。
資産除去債務の利息費用について質問です。利息費用は減価償却費に含めて表示するものではないでしょうか。
それとも、これは試算表だから、最終的にPLで表示するときには減価償却費に含めるというイメージでしょうか。
問題を解いてていて、最後に利息費用のところだけブランクになってしまい、利息費用はこれしかないと思い、減価償却費から利息費用に移して対応できましたが、減価償却費に含めた場合不正解なんでしょうか。
>資産除去債務の利息費用について質問です。利息費用は減価償却費に含めて表示するものではないでしょうか。
テキストにそう書かれていましたか?だとすると少々誤解があると思われます。
資産除去債務の会計基準の第14項に「時の経過による資産除去債務の調整額は、損益計算書上、当該資産除去債務に関連する有形固定資産の減価償却費と同じ区分に含めて計上する 」と書かれています。「時の経過による資産除去債務の調整額は」は利息費用のことです。これをPL上に表示するさいは「減価償却費と同じ区分」に含めなさい、としています。
つまり、減価償却費を販管費に計上しているなら販管費に、もし、製造業などを営んでいて減価償却費を間接経費として処理しているなら売上原価に計上しなさいという意味です。
つまり、減価償却費に含めなければいけないとはどこにも書かれていません。(ただし、テキストによっては、わかりやすさを優先に、そのように書かれているケースもあるかもしれません)
なお、上記はPL上の話です。もし答案要求が後TBだったら、利息費用のまま計上することも当然ありえます。このあたりは答案用紙や問題文の指示から判断するしかありません。
「利息費用は必ず減価償却費に足し込むものだ」と覚えてしまうと思わぬケアレスミスにつながりますから注意しましょう。
解説ありがとうございます。
同じ区分=減価償却費のことだと勘違いしていました。当該資産の減価償却費が製販管どこで計上されているかという区分のことだったんですね。文章の意味をしっかりと理解できていなかったです。
いつも大変参考にさせていただいています。C社株式で、質問なのですが、期首の振替仕訳はしないのでしょうか。決算整理前残高試算表にその他有価証券評価損益がなかったので、期首のレートを前期末のレートとして、振替仕訳をするのではと考えたのですが、これはどこが間違っているでしょうか。
1.なぜ、期首に再振替仕訳をしていないと思ったのでしょうか?
全部純資産直入法を採用している場合、もしくは部分純資産直入法だとしても、前期末時価>取得原価 なら、再振替仕訳をすれば前TBには何も残りません。本問はその状態であると考えるのが自然だと思います。
なお、部分純資産直入法を採用している場合で、前期末時価<取得原価で、かつ、再振替仕訳をしていない可能性もないではないです。ただし、もしそうなら問題文にそのむねの指示があるはずです。再振替仕訳は原則だからです。
2.仮に部分純資産直入法を採用していて、前期末に評価損が計上されていて、当期に再振替仕訳をする必要があるとしても、前期末の時価がわからないので、再振替仕訳のやりようがありません。
「期首のレートを前期末のレートとして、振替仕訳をするのではと考えたのですが」と書かれていますが、それは換算であって評価替えではありません。再振替仕訳をするなら、為替レートだけでなく、前期末のC株の時価の情報が必要です。
3.そもそもですが、その他有価証券の問題を解く時は、期首に洗い替えをしていようがしてなかろうが、後TBやBSには影響しないことは理解されていますか?
たとえば、取得時100→前期末120→当期末150 だとすると、その他有価証券勘定は150だし、その他有価証券評価差額金は50です。前期末の時価がいくらであろうが、期首に再振替仕訳はやっていようがやってなかろうが関係ないです。
(ただし、一部例外があって、部分純資産直入法を採用していて、なおかつ、取得原価>前期末時価のときだけ、前TBの貸方にその差損が投資有価証券評価損として計上されているはずなので、これは考慮する必要があります。)
つまり、そもそもの話になってしまいますが、その他有価証券の問題を解くときは、原則、洗い替えをしているかどうかを考慮する必要はないのです。これは、かなり重要な試験テクで、知っておかないと本試験では少々不利かもしれません。