今回受けられそうにない受験生へ

今回受けられそうにない受験生へ

第155回日商簿記試験(2020年6月14日)まで残り50日。

まだ確定はしていないけど今回は受けられそうにない受験生に向けてのメッセージです。

6月の試験に向けて学習計画を立て、時間をやりくりし、大変な思いをして勉強してきたのに、試験が受けられない。

精神的なダメージ、大きいと思います。

目標がなくなってやる気がなくなったよ、という人もいるでしょう。

「1級合格したら会計士や税理士試験にシフトするぞ」と計画していた人なんて「おい、どうすりゃいいんだよ」と思っているかもしれません。

そんな方、ちょっと読んでみてください。

受かればいいのか

1級講座の講師をしていながら、こんなことを書くのもどうかと思いますが、1級受験生の真のゴールって、合格ではないと思うんです。

もちろん、合格は大きなマイル・ストーンです。でも、まあ所詮一つの区切りに過ぎないんですよ。

受かってからがスタートです。受かったあと、どうするか。それが大事なんです。いえ、綺麗事じゃありません。本当にそうなんです。

世の中は変わっていく

突然ですが、みなさん、人間の寿命ってこれからどうなると思います?

現在の平均寿命は、男性81歳、女性87歳だそうです。ずっと伸びています。この調子なら、将来90歳を超えてくることは確実でしょう。IPS細胞が実用化されてくれば、100歳近くまでいくかもしれません。

するとですよ。

65歳どころか75歳まで働くのが普通という時代が来ても何ら不思議じゃないわけです。いま30代の人はあと40年働くんですよ。

気が遠くなりますね。

で、その40年。今の働き方とか、価値観がずっと続くんでしょうか。続くわけないですよね。ありえない。

私が就職をしたのが30年くらい前です。当時は、新卒で入ったら定年まで勤め上げるのが当たり前の価値観でした。転職なんてありえないっていう価値観だったんです。今考えると驚きですよね。

私が起業したのが20年くらい前です。当時はインターネットが使えるだけで先進的だったんです。発注もその確認もFAXか電話。よくあれで仕事が出来てたなと思います。ついこの間のような気がしますけどね。

スマホが爆発的に普及したのが10年ちょっと前です。「あーこれは様々な産業がなくなるだろうな〜」と思ったもんです。予想したとおり、それから6年で店閉めました。

ちょっと振り返っただけでも、これだけ世の中が動いているのです。働き方とか価値観が大きく変わるんです。

今、30代の人はあと40年、今50代の私でもあと20年は働けます。どうでしょう。今のスキル一本で、やっていけそうでしょうか。かなり不安じゃありませんか。

じゃあどんなスキルを身につければいいのか

こういう話をすると「じゃあどんなスキルを身につけておけばいいんですか」って聞かれます。

それは分かりません。少なくとも「これさえ持ってれば一生安泰なスキルというのはない」ということは言えます。

今後、世の中がどう動くか分かりません。どんな新技術が出てくるのかも分かりません。ですから、分からないのです。

でも、1つだけ言えることがあります。

それは「時流を捉えて、それを収益につなげるスキルを持っていれば、少なくとも食うには困らないだろう」ということです。

逆に、今、いくら安定している企業にお勤めでも、時流に無頓着で、その企業でしか通用しないスキルで食っているのなら、それはかなり脆弱な状態なのではないかと思います。

時流を捉えて収益につなげるスキル

じゃあ、時流を捉えて収益につなげるスキルって何よってことですよ。

まあ、いろいろありますが、これ、世間で言われているとおり、IT、会計、英語、経営、あたりのスキルは鉄板だと思います。あとはリーダー論とかマネージメントとか。

とはいえ「そっか、じゃあこれらのスキルを習得すれば安心なんだね」と思ってはいけません。

スキル習得はあくまでも手段です。習得自体を目的にしては意味がありません。

たとえば、ITスキル。

別にプログラミングなんて出来る必要はありません。だけど、ITで何が出来て、何が出来ないのか、今やっている仕事のうちIT化することで生産性を上げることが出来る部分はどこなのか。そういった理解は必要でしょう。プログラミングは出来なくても、システムの発注は出来る、そういうスキルです。

また、webサイトの1つも作れるくらいのスキルがあるとなお良いです。(これはやってみると極めて簡単なことで、簿記で言うなら3級取得よりも簡単です。)

そして、わずかな金額でもいいので、webサイトを通して収益を得る方法を知っておくと身を助けることになるでしょう。

会計も同様です。

会計を学ぶことはビジネスの仕組みを学ぶことです。会計が分かれば経済と社会が分かります。毎日、流れているビジネスニュースを価値ある情報として受け取れます。(世の中のほとんどの人は、これらのニュースを聞き流すだけです。意味が分からないからです。)

しかし、いくら会計スキルがあっても、これらのニュースを見ない、聞かない、聞いても聞き流しているようなら意味がありません。時流を理解し、ビジネスに役立ててこその会計スキルです。

拠り所になるのは学歴でも肩書でもなく稼げるスキル

話は戻りますが、昨年、経団連の会長の中西さんが言ってました。「正直、経済界は終身雇用なんてもう守れない」

まあ、そりゃそうでしょう。これだけグローバル化しているんです。日本だけ、一度入社したら定年まで一生面倒見るよ、なんていう雇用形態をいつまでも維持できるわけがありません。

ましてや、新型コロナがいつまで続くかも分からないのです。収束した頃には、もしかするといくつかの企業は破綻しているかもしれません。終身雇用どころか、来年の収入すらも危ういかもしれません。

そうしたとき、一番の拠り所になるのは、学歴でもなく、会社の肩書でもなく、稼げるスキルです。

頑張りではなく需要と供給で決まる

これからの時代、どれだけ長時間、大変な労働をしても、需要に比べて供給の多い仕事は低賃金にならざるを得ません。立派な学歴を持ち、どれほどの肩書があろうとも、将来、そうした仕事しか出来ないのなら低賃金を甘受せざるをえないのです。

一方で、ニーズが多いのに供給が少ないサービスというのはいつの時代にもあるんです。みんなが欲しいのに供給が足りていないサービス。これを見抜いて収益化する意識を持って動ける人なら食うには困らないでしょう。会計スキルは、そういった時流を見抜くのに必要かつ最適なスキルなんです。

就職・転職の際にも会計スキルは大いに役立ちます。

どれだけ不景気な時代でも、そういうサービスを提供する会社は存在するし、人を募集しています。まずはそういう会社を見抜くこと。そして面接にいって「ああ、この人は本物の会計スキルを持っている」ということを感じさせること。そうすれば圧倒的に有利に生きられます。

1級に合格するということ

1級合格は「高度な会計スキルを持っている」ことを客観的に証明するものです。強いです。でも、それだけともいえます。

合格していなくても「この人は本物だ」と思わせれば面接には通ります。合格しなくても、時代を読む目と収益化するスキルがあれば、ビジネスを立ち上げられるし稼げます。

合格が全てじゃありません。試験がなくなったからって、全てがなくなったことには全然なりません。

私達が勉強している会計は、ものすごいポテンシャルを持った学問です。試験がなくなったからといって、投げ出さないでほしいと思います。

そんなこともちょっと考えて頂ければと思い書いてみました。

今回受けられそうにない受験生へ” に対して2件のコメントがあります。

  1. 池田たかひろ より:

    富久田先生こんばんわ。
    ご無沙汰しております。

    今回の先生のお話とても刺さる内容でした。
    写真屋さんを立ち上げて、畳んで、プロ簿記を立ち上げて現在活躍されている先生は変化を恐れず、時流に乗って行動しているなと思いました。

    実は自分の父親も昔は印刷業をやっていました。
    いまとなっては家庭にコピー機が普及していく中でどうやって食うんだ??

    というのが誰の目から見ても明らかですが、自分の父親も先生と同じで、やめるって決めてからの身の振り替わりはとても早く、営業の仕事で独立したり、紆余曲折を経ていまはタクシーの運ちゃんをやっています。

    昔は全く尊敬してませんでしたが、変化に負けずむしろ楽しんでいるように見える父親をいまではとても尊敬しています。

    試験が中止になったこともそうですが、これからの時代の移り変わりはもっと激しくなると思います。
    Zoomがあれば会議なんて集まらなくてもできますし、わざわざ外回りをしての営業なんていうのも淘汰されていってしまうのかなと。

    単純に会計知識を身につけて経理職へ転職しようなんて考えもありましたが、甘い考えでした。

    会計で飯を食っていくというよりは
    会計を使って飯を食っていく、
    さらに会計”も”使って飯を食っていく
    こういうスタンスで学んでいきたいなと感じました。

    お身体に気をつけて、益々のご発展を願っています。

    1. pro-boki より:

      こんにちは。元気にしてました?

      今回のコロナ騒ぎでも世の中の価値観とか仕事の仕方って大きく変わりそうですよね。

      大きいのは、テレワークの浸透でしょうね。
      生産性は多少落ちるでしょうけど、それなりに仕事出来るじゃん!となると思います。すると、経営者にすれば都心の一等地にクソ高い家賃払ってたけど、これ、もっと狭くていいんじゃない?ってなりそう。

      あと、子供が小さいからとか、健康面とか、介護で外に出られないから働けない、という人も働けるチャンスが増えそうですよね。すごくいい!

      それから、会社の中に限れば、仕事出来る人より、声の大きい人・社内政治にたけているが出世しやすい傾向があるけど、これも変わりそうですね。ちゃんとスキルがある人とか仕事している人が評価されやすくなる。

      これから、世の中どんどん変わりますよ。こういう時流に乗れるかどうかが大事なんだと思います。

      「会計で飯を食っていくというよりは、会計を使って飯を食っていく、さらに会計”も”使って飯を食っていく」

      私の言いたいこと、この1行に凝縮されています。その意気込みがあれば何でもできます。
      応援してますよ!!!

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