1級商会・新株予約権を完全マスター(新株予約権付社債)

新株予約権付社債
はじめに
私と同年代(アラフィフ)以上の方の中には、新株予約権付社債を買ったことある方、いらっしゃるのではないかと思います。バブル期、新株予約権付社債は爆発的な人気がありました。
当時は、新株予約権付社債とは言わず、転換社債(CB)とかワラント債と言っていました。転換社債が、簿記のテキストに書かれているところの「転換社債型新株予約権付社債」のことで、ワラント債が「その他の新株予約権付社債」のことです。まあ、用語はどうでもいいのですが。
当時は、とりあえず社債として買っておいて、クーポンをもらいつつ、株価が上昇したらワラント(新株予約権のことを英語でワラントといいます)を行使すればいい。もし株価が上昇しなくても、社債として償還されるから損は無いという夢のような金融商品として紹介されていました。
まあ、何のことは無い、普通に社債買えば例えば@95円のところをワラントがくっついて@100円で買わされているわけで、別に得でもなんでもないんですけどね。
ということで、今回は、新株予約権付社債の話です。
2種類ある新株予約権付社債
先にも書いたとおり、新株予約権付社債には2種類あります。1つは「転換社債型新株予約権付社債」、もう1つは「その他の新株予約権付社債」です。
転換社債型は、社債と新株予約権が一体となった社債です。一部または全部を株に換えることが出来る権利のついた社債と考えると理解しやすいと思います。一体ですから、新株予約権だけを行使して、社債を残すようなことは出来ません。
これに対して、その他の新株予約権付社債は、単純に社債に新株予約権がくっついているだけです。新株予約権だけの行使も可能です。このときは、社債とは関係なく現金を払い込む必要があります。なお現金の払込を社債で代用することもできます。
新株予約権付社債の会計処理(発行側)
新株予約権付社債の発行側の会計処理は、基本的に、社債と新株予約権を分けて行います。これを区分法といいます。ただし、転換社債型に限り、社債と新株予約権が一体となっている社債とみなして会計処理することも認められています。これを一括法といいます。これらの相違点は、設例を見るのが分かりやすいでしょう。過去問に最適な問題がありましたので、改題して紹介します。
設例(日商簿記1級131回会計学 改題)
A社(年1回決算,決算日3月末)は、X1年4月1日、次の条件で新株予約権付社債(転換社債型)を発行した。問1から問4まで、「区分法」を適用した場合と「一括法」を適用した場合、それぞれについて答えなさい。
【条件】
- 額面総額 100,000千円、社債額面 100円につき 100円で発行
- 社債部分の払込金額 97円、新株予約権の払込金額3円
- 社債償還期限5年、利率年2%、利払日9月末・3月末。
- 新株予約権の権利行使価格(転換価格)の総額 100,000千円。
- 新株予約権の権利行使があった場合に代用払込の請求があったものとみなす旨の条件あり。
【取引】
- X2年3月31日、利払日につき社債利息を支払い、決算にあたり,社債を償却原価法(定額法)により評価する。
- X3年3月31日、利払日につき社債利息を支払った。また新株予約権の60%の権利行使が行われ、代用払込みにより新株を発行した。新株の発行に伴い計上する資本金は会社法の定める最低額とする。
- X6年3月31日、償還日につき社債利息を支払うとともに、残りの新株予約権のすべてについて、株式への転換請求がなされ、金庫株として保有していた自己株式(帳簿価額 30,000千円)を処分して対応した。
問1 社債発行時の社債計上額を求めなさい。
問2 【取引】1における社債利息計上額を求めなさい。
問3 【取引】2における株式への転換請求により生じる資本金組入額を求めなさい。
問4 【取引】3における自己株式処分差額を求めなさい。
解答
| 区分法 | 一括法 | |
| 問1 | 97,000千円 | 100,000千円 |
| 問2 | 1,600千円 | 1,000千円 |
| 問3 | 30,360千円 | 30,000千円 |
| 問4 | 11,200千円 | 10,000千円 |
解説
問1
区分法は「社債部分97%+新株予約権部分3%」と考えます。したがって、社債として計上されるのは100,000千円×97%=97,000千円です。一括法は、払込額全体を社債(株式に変換する権利を備えた社債)とみなすので、社債として計上されるのは100,000千円です。
問2
区分法
クーポン:100,000千円×2%×(6カ月÷12カ月)=1,000千円
償却原価:100,000千円×3%÷5年=600千円
社債利息:1,000千円+600千円=1,600千円
一括法
本問の一括法は(社債額面と払込額が一致しているため)、償却原価がありませんので、クーポンだけを社債利息として計上します。したがって、100,000千円×2%×(6カ月÷12カ月)=1,000千円です。
問3
区分法においては、社債発行から2年が経過していますので、2年分の償却原価を行います。この社債部分に新株予約権部分を足した分の60%が払い込まれた金額です。「資本金は会社法の定める最低額とする」とありますので、50%を資本準備金に、残りの50%を資本金に組み入れます。
一括法は、社債部分と新株予約権部分を分離せず、全体を社債とみなします。したがって100,000千円の60%が払い込まれた金額です。
区分法
社債部分:(97%+0.6%/年×2年)×100,000千円=98,200千円
新株予約権部分:100,000千円×3%=3,000千円
合計:98,200千円+3,000千円=101,200千円
資本金組入額:101,200千円×60%×50%=30,360千円
一括法
資本金組入額:100,000千円×60%×50%=30,000千円
問4
区分法にしても一括法にしても償還日を迎えていますので、社債部分は満額40,000千円です。(X3年3月31日に60%分の代用払込がされているため、100,000千円×残り40%=40,000千円)区分法は、これに新株予約権部分が加わります。これが払込額です。一方で、自己株式の簿価は30,000千円ですので、その差額が自己株式処分差額となります。
区分法
社債部分:100,000千円×40%=40,000千円
新株予約権部分:100,000千円×3%×40%=1,200千円
合計:40,000千円+1,200千円=41,200千円
自己株式処分差額:41,200千円−30,000千円=11,200千円
一括法
社債部分:100,000千円×40%=40,000千円
自己株式処分差額:40,000千円−30,000千円=10,000千円
新株予約権付社債の会計処理(取得側)
取得側にしてみれば、それが転換社債型であろうと、その他の新株予約権付社債であろうと、単に有価証券を取得したにすぎません。ですから、どちらにせよ、その他有価証券などで処理します。まず、この点をイメージしてください。
転換社債型新株予約権付社債
取得側からすれば、転換社債型は単に「社債の一部または全部を株式に変換できる権利のついた有価証券」ということに過ぎず、新株予約権部分だけの行使は出来ません。したがって一括法で処理します。社債部分と新株予約権部分を区分して処理する理由がありません。
しかし、発行側は、転換社債型とはいえ、社債部分と株式部分は明確に分けるべきです。片や負債で片や純資産ですから、区分法で処理するのは理にかなっています。ただし、転換社債型については、取得側がどうせ一括でしか権利を行使してこないので、発行側も一括法で処理しても良いというルールになっています。
その他の新株予約権付社債
一方、その他の新株予約権付社債は、単に社債と新株予約権がくっついたものです。新株予約権だけを切り離して行使することも可能です。つまり、取得側にしてみれば、社債と新株予約権を別々に取得したのと同じことです。したがって、区分法で処理します。
会計処理のまとめ
発行側、取得側における会計処理をまとめると以下のとおりとなります。なお、以下の表については、会計学では問われる可能性はありますが、商業簿記では、問題文で指示されると思われます。
| 発行側 | 取得側 | |
| 転換社債型新株予約権付社債 | 区分法 または 一括法 |
一括法 |
| その他の新株予約権付社債 | 区分法 | 区分法 |
設例
次の1から3の取引について、一括法で処理した場合と区分法で処理した場合の仕訳を示しなさい。
- 1年1月1日に以下の新株予約権付社債を取得し、払込額は現金で支払った。
額面金額:1,000円
払込金額:1,000円
社債の対価部分:900円
新株予約権の対価部分:100円
社債の償還日:×5年12月31日
クーポン:なし
定額法による償却原価法を適用すること。 - 2年1月1日に新株予約権付社債のうち60%を行使し、社債で払った。
- 2年12月31日新株予約権の権利行使期間が満了した。
解答
一括法で処理した場合(転換社債型の場合)
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 | ||
| 1/1/1 | (投資有価証券) | 1,000 | (現金) | 1,000 | |
| ① | 2/1/1 | (投資有価証券) | 600 | (投資有価証券) | 600 |
| 2/12/31 | 仕訳なし | ||||
①は、社債を株式に振り替えています。
区分法で処理した場合(転換社債以外の場合)
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 | ||
| ② | 1/1/1 | (投資有価証券) | 900 | (現金) | 1,000 |
| (投資有価証券) | 100 | ||||
| ③ | 1/12/31 | (投資有価証券) | 20 | (有価証券利息) | 20 |
| ④ | 2/1/1 | (投資有価証券) | 612 | (投資有価証券) | 552 |
| (投資有価証券) | 60 | ||||
| ⑤ | 2/12/31 | (投資有価証券) | 8 | (有価証券利息) | 8 |
| ⑥ | (新株予約権失効損) | 40 | (投資有価証券) | 40 |
②の借方は900が社債、100が新株予約権の分です。
③は償却原価です。
④は借方は株式、貸方の552は社債、60は新株予約権の分です。
⑤は償却原価です。
⑥は権利行使期間が満了したことにともなう新株予約権の無効になってしまった部分です。
上記では、勘定科目をすべて「投資有価証券」としていますが、実務的には「投資有価証券(A社社債)」とか「投資有価証券(A社新株予約権)」などのように区分して取扱います。これは、試験では、「現金預金」で一括して扱いますが、実務では銀行口座ごとに「◯◯銀行普通預金」とか「◯◯銀行当座預金」のように区分して扱うのと同じです。
なお、ここまで書いておいて言うのもなんですが、過去10年分の出題実績を調べたところ、新株予約権付社債の取得側の処理は一度も出題されていません。したがって、覚える必要も無いですし、試験対策としては後回しとすべき論点です。
しかし、取得側がどのような会計処理をしているのかを知ることは、新株予約権付社債の本質的な理解に有用です。そういった点では、一読し、理解していただきたいと思います。
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上記問題をやってみました。3つ質問があります。
1.問3:区分法の一行目
>社債部分:(97%+0.6%/年×2年)×100,000千円=98,200千円
とありますが、この0.6%はどこからきたのですか?
2.新株予約権付社債の会計処理(取得側)の解答の
2/1/1 (投資有価証券) 612 (投資有価証券) 552
(投資有価証券) 60
とありますが、
貸方下の投資有価証券60は新株予約権の対価分の60%は権利を行使したのでなくなるからというのはわかります。
借方の投資有価証券612は1,000x60%+100/5年x60%=612
という計算で、権利を行使して購入した有価証券の分だと思いますが、なぜ600ではなく、100/5年x60%を足すのですか?
貸方の投資有価証券552は貸借差だと思って書いたのですが、
もしかしたら、これは貸借差でなく逆に借方の投資有価証券612が貸借差だったりするのでしょうか?
ここの計算方法の説明をお願いします。
3.新株予約権付社債の会計処理(取得側)の解答の
2/12/31 (投資有価証券) 8 (有価証券利息) 8 ⇒(償却原価)
とありますが、この8は残りの40/5=8でしょうか?
この時点では、すでに1年分は償却されていますので、40/4=10にはならないのでしょうか?
多分、この辺りの計算はここに限らず、社債等の償還後の利息や固定資産の修繕後の減価償却の計算等と同じような考え方だとは思うのですが、なぜこのような計算になるのか腑に落ちないので、説明して頂けないでしょうか?
宜しくお願いします。
>1.問3:区分法の一行目
>社債部分:(97%+0.6%/年×2年)×100,000千円=98,200千円とありますが、この0.6%はどこからきたのですか?
この社債はもともと額面100円につき、97円だったわけですね。で、償却期限は5年で、償却原価法(定額法で)処理せよと書かれています。
ということは、取得時点では97%だったものを5年掛けて償却原価していって100%にするわけ(3%増やす)です。ということで、1年あたりの償却原価の率は、3%÷5年=0.6%です。
本問は、97,000千円を100,000千円にするわけですが、社債の償却原価の問題は、金額ではなくて、率で計算したほうが簡単・確実です。もし、償還までの間に売却などが無ければ、別にどちらで計算してもいいのですが、本問のように途中で償還や権利行使が入ると、額での計算は途端に面倒になります。この場合「率」で計算すると式もシンプルですし間違いにくいのでおすすめです。
>2.新株予約権付社債の会計処理(取得側)の解答の
> 2/1/1 (投資有価証券) 612 (投資有価証券) 552
> (投資有価証券) 60
>借方の投資有価証券612は1,000x60%+100/5年x60%=612という計算で、権利を行使して購入した有価証券の分だと思いますが、なぜ600ではなく、100/5年x60%を足すのですか?
いえいえ、違います。
まず、社債は、もともと②の時点では900だったのが、③の償却原価で20足されたので、④の時点では、920ですよね。このうちの60%を代用したのですよ。ですから、920×0.6=552 です。これが先です。
そして、新株予約権分も考慮します。これは、当初よりずっと100のままですから、100×0.6=60 です。
よって、 612は、552+60 の結果にすぎません。
>3.新株予約権付社債の会計処理(取得側)の解答の
> 2/12/31 (投資有価証券) 8 (有価証券利息) 8 ⇒(償却原価)
>とありますが、この8は残りの40/5=8でしょうか?
もともと、900→1,000にしようとしていたわけですよね。5年間掛けて。
つまり年間20づつ増やそうとしていた。しかし、④の時点で60%分が権利行使されてしまって、今残っているのは、40%ですね。
よって、20×40%=8です。
社債部分に注目すれば、次のとおりです。腑に落ちましたか?
■ 1/1/1、もともと、900(あと5年で1,000を目指す。よって年間20づつ増やす予定。)
■ 1/12/31、1年経って償却原価されて、920(あと4年で1,000を目指す。よって年間20づつ増やす予定。)
■ 2/1/1、6割が代用払込されて残り4割になるので、368(これはあと4年かけて400を目指す。よって年間8づつ増やす予定。)
■ 2/12/31、1年経って償却原価されて、376(あと3年で400を目指す。よって年間8づつ増やす予定。)
解説ありがとうございます。
今まで償却原価を率で考えたことがありませんでした。
また、今まで社債と償却額を別々に考えて計算していて、さらにその償却額の計算を勘違いをしていたということに気が付きました。
先生の考え方はシンプルでわかりやすいです。
もしかしたら、問題の解き方はわかっていて覚えられないだけと思っていても、実は根本が間違えいてるからヒネラれると解けないのだと思いました。
なので最初からすべて見直してみます。
上記のような的外れな質問をこれからもすると思いますが、その時は宜しくお願いします。
CBとかワラントは、買ったことがないです
(株、投資信託、FXはありますが・・)
ところで、
下記の権利行使期間が満了の年が違うのでは?
新株予約権付社債の会計処理(取得側)
設例
3.2年12月31日新株予約件の権利行使期間が満了した。→5年12月31日
一括法
2/12/31→5/12/31
区分法
⑤⑥が2/12/31→5/12/31
新株予約権の行使期間って発行側が任意に決められるんですよ。本問のように2年間でも、償還日まででも、特に制約は無いんです。(ただ、税制適格といって、ストックオプションの株式報酬費用を損金扱いにしたければ、また話は別です。権利行使期間を付与決議日後2年から10年以内とする、などの制約があります。しかし、それは税法の話であって、会計的には特に制約はありません。)ですので、本問の条件でも特に問題はないと思います。
⑥の、新株予約権失効損というのも、2年間で発生するのでしょうか?まだ、3年チャンスはあるような気するのですが?
>⑥の、新株予約権失効損というのも、2年間で発生するのでしょうか?まだ、3年チャンスはあるような気するのですが?
行使期間が満了していれば、失効損です。社債の償還までの期間と、新株予約権の行使期間は全く別物です。社債の償還まで残り3年あっても、権利行使期間が満了していればチャンスはありません。
ただ、現実のマーケットにおいて、社債の償還期間が5年、転換の行使期間が2年の新株予約権付社債があるのか?といえば、ごめんなさい、知りません。一般には、償還日までを転換請求期間とする新株予約権付社債が多いとは思います。しかし、これは決まりではありません。銘柄によって異なります。
(2/6追記)
実際の新株予約権付社債について調べてみました。一部例外はあるものの、ほとんどの銘柄で、償還期限の少し前(数日から数週間前)に新株予約権の行使期間が満了するという設定がされていました。考えてみれば、企業側は、社債を償還するとキャッシュの払出しになるところが、株式に転換してもらえれば払出しが無い(場合によっては払い込まれる)わけですから、なるべく株式に転換してもらいたいのだと思います。(まあ、あまり株式を発行しすぎるのも株式の希薄化など、別の意味で問題が生じますが)そのため、なるべく株式に転換してもらうべく、権利行使期間を償還ギリギリに設定しているのだと思います。
質問させていただいてもよろしいでしょうか?
発行側(区分法)の問題で社債は総額で100,000千円あると思うのですが、転換された社債は98,200千円*0.6+100,000*0.4=98,920千円であり1,080千円が社債として残ってしまう気がするのですがご解説頂けないでしょうか?
私の理解不足でしたら申し訳ございませんが、よろしくお願いいたします。
申し訳ないです。ご質問の主旨がよく分からないです。
ご質問内容をもう少し詳しくお書き頂けますでしょうか。
以下、分からない点です。
>発行側(区分法)の問題で社債は総額で100,000千円あると思うのですが
はい、これは額面ですね。ただ、区分法で株式に転換するとき、額面は関係ありません。転換した瞬間の簿価が大事です。それは98,200千円です。
>転換された社債は98,200千円*0.6+100,000*0.4=98,920千円であり
98,200千円*0.6は理解できますが、100,000*0.4は何を意味しているのでしょうか。さらにそれを足しておりますが、これは何を計算しようとしているのでしょうか。
>1,080千円が社債として残ってしまう
これは、100,000千円−98,920千円=1,080千円 で算定した数値ですかね?
まず98,920千円の計算根拠が分からないのと、さらにそれを額面から引くことで何を求めようとしているのかが分かりません。これは何を計算しようとされていますか?
ちなみに、残ってしまう社債は、転換した瞬間では98,200×0.4=39,280です。(6割転換しているので4割残ります)
独学で簿記一級目指している者です。
このサイトに巡り会えたことを嬉しく思っています。
さて、質問があります。
発行側において一括法を用いる場合です。
上記設例の解説では「一括法では償却原価がありませんので・・・」と記載ありますが、それは平価発行であるためで、割引発行の場合は償却原価法を用いるという解釈でよろしいのでしょうか。
ご教授いただけると助かります。
はい、まったくもってそのとおりです。
一括法とはいえ割引発行や打歩発行の場合で金利の調整と認められる場合は、償却原価法を用います。
とはいえ、1級過去問では平価発行しか出たことがないようです。税理士の試験では、割引発行や打歩発行で償却原価ありのパターンも出題されています。
問題文による指示によく、「差額は金利の調整と認められるものとする」と記載がありますが、「金利の調整」の意味を詳しく教えていただけますでしょうか。もし、他で解答済みだったらすみません。
年利(クーポン)25%、1年後に満期を迎えるA社債があるとします。額面100円につき100円で購入できます。
いま、このA社債を総額800万円分買うとします。すると1年後に利息200万円がついて1,000万円返ってくるということです。ここまでいいですか。
さて、もう1つ別のB社債があります。こちらも1年後に満期を迎えますが、残念ながらクーポン(利息)はつきません。
その代わりといってはなんですが、額面100円につき、80円で購入できます。
いま、このB社債を総額800万円分買うとします。すると1年後に1,000万円返ってくるということです。
ん?
これ、A社債もB社債も、結局、今800万円払えば1年後に1,000万円返ってくるってことですよね。じゃあ、同じじゃないですか。
つまり、B社債は、金利はないって条件だけど、800万円で買って1年後に1,000万円で返ってくるなら実質的には1年で25%の金利が付いているのと同じでしょ。これをもってして、金利の調整といっているのです。
つまり、額面総額1,000万円を800万円で買えるってことは、この差額200万円は金利の調整だよねってことです。
ちなみに、社債が額面より安く買えるのは、このように金利の調整である以外にも要因があります。業績が悪くて信用が落ちた場合です。例えば潰れる確率が40%の会社の社債があるとして、普通買わないでしょ。倒産したら社債は償還されないんだから。
でも、その社債が100円につき半額の50円で売ってたらどうです?40%の確率では、潰れちゃうから損するけど、60%の確率では生き残るから50円で買った社債が倍になって返ってくるんですよ。つまり期待値は60円なのでそれが50円で買えるなら、買ってみるかって人が出てくるわけですよ。
ということで、額面よりも安く買えるのは、金利の調整って側面もあるけど、信頼が無いのでそれを補う意味もあるのです。もし、この部分が分離把握出来るなら、後者に対しては償却原価はしません。(このあたり難しければスルーしても大丈夫です。)
今まで見たどの参考書よりも分かりやすかったです。
解答にはあまり関係のない部分でしたが、いままでよく分からずにもやもやしていたので、今回はっきりと理解できました。ありがとうございました。
初めまして。プロ簿記の記事、とっても面白いです。上記の取得者側の処理についての設例で
3 2年12月31日のところの新株予約権の「権」が「件」で表示されています。(細かい指摘で申し訳なくてちょっとドキドキしています。)
ご指摘ありがとうございます!修正いたしました。
>細かい指摘で申し訳なくてちょっとドキドキしています。
とんでもないです。とても助かります。ありがとうございます。
はじめまして。いつもプロ簿記の記事で勉強させていただいています。
初めての質問でかなり緊張しているのですが、調べてもなかなか答えが見つからず、恐縮ながらご教示いただけたら…と思い投稿しました。
転換社債型以外の新株予約権付社債で、
期中に新株予約権の行使を受けて、代用払込が選択された場合、
社債の前回利払日から権利行使日までの期間に対する利息は支払われないのでしょうか?
■手持ちのテキストで、
・会計期間1年、決算日3月末日
・転換社債型以外の新株予約権付社債
・社債:X1年4月1日に額面総額100,000円を90,000円で発行、年利率4%(利払日は3月末日)
・新株予約権:1個につき100円で100個発行
・償却原価法は定額法
X2年9月30日に、上記の80%について新株予約権が行使され、行使価額が@500円であるときの仕訳が
(社債利息) 800 (社債)800
(社債) 74400 (資本金)41200
(新株予約権)8000 (資本準備金)41200
となっていたのですが、
X2年4月1日~9月30日までの6か月間について、額面総額100,000円×80%×年利率4%×6/12か月で
1600円分の社債利息は払わなくても良いのだろうか…と思って止まってしまいました。
新株予約権の付いていない、普通の社債の買入償還であれば、この1600円分の利払いもすると思うのですが…
へんてこな質問になっていたら申し訳ありませんm(_ _)m
どうぞよろしくお願いいたします。
なるほど。これは良い質問ですね。
これ、社債を株に変換するからこそなんですよね。
具体的な金額で考えてみましょう。
たとえば、行使側の立場に立つと、一番大事なことは「いま、株価はいくら?」なんですね。行使価格が@500円ってことは、少なくともそれを上回っていることでしょう。たとえば@600円とします。
すると、額面にして80,000円の社債を@500円で株にかえるわけですから、160株もらえます。これを市場で即時に売れば@600円で売れますので96,000円もらえます。償還まで待って80,000円もらうより16,000円もお得です。
今×2年9月30日ですからあと半年待って利払日になれば3,200円のクーポンもらえますが、そこまで待ってたら、株価が値下がりしちゃうかもしれません。@500円を切ってたら台無しです。今なら確実に儲かるのにです。なので、クーポンなんかよりとにかく転換しちゃえ、という意識で転換するわけです。
もし、そこで図々しく「まだ利払日じゃないけど、利払日から半年経過しているから2%分よこせ」といっても企業側はそんなことは知らん!といいます。あくまで約束しているのは1年に1回4%払うということだけであって、途中で解約したからその分払うとは言ってないからです。
つまり、社債権者としては、半年分の端数クーポンを捨ててでも転換した方が得だからするわけです。クーポンをもらえないことは織り込み済みです。企業側も同様で、途中で転換されたら、そこまでの期間のクーポンを払う義務もありません。
転換社債を発行したときに企業ががんばることは、とにかく株価を上げることです。そうすれば、みんな転換してくれます。すると、転換してくれた以降の利息払わなくてすむし、元本も返済しなくて良くなります。
これが、転換社債じゃなくて、単なる社債だと、必ず元本を返さなければいけないし、社債利息も時の経過とともに支払う義務があります。会社がつぶれない限り、この義務から逃れられません。この点が転換社債と違うところです。
もしピンとこないなら、こう考えてみるといいかもしれません。株を持っていると配当金もらえますよね。では、前期に配当金もらってから半年経過後、株を売却したら半年分の未収配当金を計上しますか?ということです。しませんよね。
早速ご回答くださいまして有難うございました!
おかげさまで腹落ちさせることができました!
# 社債の償還期限(5年)を書き忘れていました…申し訳ありません。
・新株予約権付社債は、普通の社債とは異なり、
中途半端な時期に社債を手放しても、そこまでの利息はそもそも貰えないものであること
・代わりに、新株予約権で定められた行使価額で株に転換できること
=株価が上がっていればその分利益を得られること
(上がっていなければ、社債として持ち続けてクーポンをもらえばいいだけ)
という風に納得できました。
ちなみに、
> すると、額面にして80,000円の社債を@500円で株にかえるわけですから、160株もらえます。
この部分も自分では意識できていなかったので、勉強になりました。
問題文で与えられる「新株予約権1個につき2株発行、行使価額は@500円」でそのまま計算していましたが、
ちゃんと社債権者側の立場に立った時、
社債の額面80,000円=新株予約権80個×2株×行使価額@500円
になっていたのですね…!
ご丁寧にご教示くださいまして有難うございましたm(_ _)m
今後もプロ簿記さんの記事でしっかり嚙み砕きながら勉強させていただきます!
初めまして。いつもお世話になっています。
転換社債型新株予約権付社債を一括法で処理する場合、額面金額と取得原価が一致しているため償却原価はない!と覚えていたのですが、手持ちの問題集で「権利行使時の仕訳を一括法で示しなさい。ただし発行価額は7125000、額面金額は7500000とする」という問題が出てきました。答えもしっかり償却額を計上していました。あくまで通常はしないだけで今回は問題文に従ってね、ということなのでしょうか?
>転換社債型新株予約権付社債を一括法で処理する場合、額面金額と取得原価が一致しているため償却原価はない!と覚えていたのですが
いや、そうとは限りません。本問(1級131回)はたまたま一括法だと払込金額と額面金額が一致しているので償却原価をする必要がないだけです。
一括法であろうが、区分法であろうが、払込金額と額面金額に差があれば、いつもどおり償却原価を行う必要があります。
いつもお世話になっております。
気になった点があり質問させていただきたく思います。
設例(日商簿記1級131回会計学 改題)で、転換社債型新株予約権の発行日をx1年4月1日としており、利率年2%で利払日は9月末と3月末の年2回と理解しております。問2ではx2年3月31日(発行日から1年後)の社債利息勘定を求めているはずですが、なぜ利息を6ヶ月/12ヶ月としているのでしょうか。お忙しいかと思いますがご教示いただければ光栄です。
クーポン:100,000千円×2%×(6カ月÷12カ月)=1,000千円
追記失礼します。すみません、質問させていただいた後に私の間違いに気づいたかもしれません。
問題で問われているのは1年後ですが、社債の利払は半年ごとに行われているということで、一年後も変わらず年利を6/12としているということでしょうか。
おっしゃるとおりです。
これは物議をかもす問題ですよね。本試験の出題のとおりの表現なのですが、トラブルを引き起こしやすい出題だと思います。
取引1「X2年3月31日、利払日につき社債利息を支払い、決算にあたり,社債を償却原価法(定額法)により評価する」となっており、設問は「取引1における社債利息計上額を求めなさい。」です。
ここで、決算時において、決算整理後のPLにおける社債利息計上額なら、100,000千円×2%+償却原価600千円=2,600千円です。
しかし、「利払日につき社債利息を支払い(=1,000千円)」「決算にあたり,社債を償却原価法(=600千円)」となっており、この取引における社債利息計上額を求めなさいというふうに読むと1,600千円です。
作問者の本当の意図は不明ですが、問題文を愚直に読めば後者で回答すべきであろうという判断で、このような解答にしています。
ちなみにここは質問がとても多いところです。なお、TAC社、NS社の過去問の解答は後者です。