第153回日商簿記1級・講師の受験感想記

153回の本試験を受験された方、お疲れ様でした。いかがでしたか?以下、ざっくりとした感想です。各科目の詳しい解説は別途執筆します。とりあえず、受けてきた感想です。

ざっくりした感想

商業簿記

  • 難易度:やや易しめ
  • 目標得点:18点〜22点

複雑な計算や難易度高めの論点もなく、全体的に易しいというか基本重視の設問でした。その点では20点以上は取りたいところです。

出題された論点は、売価還元法、他勘定振替、貸倒引当金(CF見積法)、固定資産(減損、200%定率法、リース)、新株予約権付社債、退職給付会計で、まさに典型論点のオンパレードといった様相です。

また、題意の読み取りに苦慮するような箇所もなく、その点でも良問だったと思います。

あえて言うなら、ちょっと難易度が高いかなと思ったのが(まあ、そんな言うほどでも無いですが)、貸倒引当金の設定(すでに一般債権として計上されている貸倒引当金を懸念債権に振り替える)と固定資産の取得原価の推定、退職給付の未認識数理計算上の差異の処理です。

とはいえ、決してひねた問題ではなく、基本問題をきちんとやり、その処理の意味を理解している方なら十分得点できた問題です。

合格のためには、18〜22点がひとつの目安になると思います。22点を超えていれば安心です。18点を切っていると、少し厳しいかもしれません。(その分、ほかで頑張ればOKです!)

詳しい解説はこちらをどうぞ。

会計学

  • 難易度:やや難しい(第1問 普通〜少し難し目、第2問 難しい)
  • 目標得点:14点〜16点
第1問目:理論

難問と簡単な問題が入り混じっていました。

【1〜3】について

1のデリバティブ、2の税効果、3の資産除去債務は、基本問題です。落としてはいけません。

ただ、少し気になったのが、資産除去債務の問題の「建物の帳簿価額は 10,400百万円、当該建物に係る資産除去債務が 3,183百万円」という表記です。これ、資産除去債務分が帳簿価額に含まれているかどうかでケアレスミスをした方がいたのではないでしょうか。(つまり、10,400+3,183=13,583が建物の簿価と勘違いしてしまう)この箇所以外では、悩むところは無かったと思います。(ちなみに私は、13,583で計算するという失態をやらかしました。)

【4、5】について

4が概念フレームワーク、5がセグメント情報でした。これは、難しかったと思います。概念フレームワークはまだしも、セグメント情報はテキストにもほとんど触れられていないためです。

概フレは意思決定「有用」性が書けていればOKだと思います。もう1つは「信頼」性なのですが、これは私も落としました。(あー、これってあれだよね検証可能性とか中立性とか、そういうやつを総称した用語だよね、なんだっけなーって感じで結局思い出せませんでした。)

セグメント情報も出来てなくて大丈夫でしょう。ほとんどの方がセグメント情報の基準なんて読んでいませんから。ただ、勘というか現場対応力で答えられるところが2箇所あったので、そこは出来ていてほしいです。

  • 「外部(顧客)への売上高」…これは無理でしょう。あらかじめ対策として基準を読んでいないと答えられません。
  • のれん」の償却額…これは現場対応力で答えて欲しいところです
  • 持分法」投資利益…これも現場対応力で答えて欲しいところです

○○投資利益という勘定科目といったら「持分法による投資利益」くらいしか無いですよね。あと、償却額でわざわざ答えさせるという点で、「のれん」かな?という勘が働けばなんとか部分点取れたと思います。

第2問目:連結会計

難問でしたね。

ちょっとだけ、自慢させてもらうと、これプロ簿記の模擬試験とそっくり問題だったのです。私も本試験受けに行ったのですが、いや、まじでビビりました。そっくりだ…と。受講生さんからも「そっくりだ」という声が多数ありました。

模擬試験は、その他有価証券評価差額金があるケースでの一部売却の処理と、そのときの連結S/S(株主資本等変動計算書)、包括利益計算書の作成をテーマにしました。その点では、もう本当にそっくりでした。(本試験は連結S/Sではなくて、連結B/Sでしたが)

模擬試験は50名以上が参加したのですが、壊滅的な出来栄えでした。確かに「ちょっと難しすぎたかな、さすがに本試験ではここまで難しくはしてこないだろう」と反省しました。特に一部売却が絡むと難しいよなと思い、そこはさておき、せめて包括利益計算書の作成の仕方だけでも機械的に出来るようになってほしいとの思いを込めて、ブログに記事を書きました。こちらのブログ記事ですね。

ところが、本試験は、うちの模擬試験の上を行きました。評価差額の実現を入れてきたのです。まあ、会計士では定番論点ですし、プロ簿記の授業でもやっているんですが、評価差額の実現とその他有価証券評価差額金があるケースでの一部売却を絡めてくるとは!さらに取得関連費用まで!(これ、入れるか入れないかの2択ですが、間違えると利益関連全滅するので厳しいですよね)

こりゃー誰も出来ないだろうという感じです。ただ、怖いのは、会計士受験生にとっては、ギリギリ出来るレベルだということです(とはいえ本問は、会計士受験生とっても難しい問題です)。彼らがどれくらい今回の1級本試験に混じっているのかが分からないのですが、結構な人数がいて、皆が出来ていると、試験委員は「あ、これくらいは出来るのね」と感じて今後ともこれ以上の難易度で出してくると思います。そして配点調整もさほどではないかもしれません。

とは書いたものの、やっぱりこれは難しいですよ。これよりやさしいプロ簿記模擬試験ですら壊滅的な状態なのですから、よって、配点調整来ると思います。出来なかった方も、連結B/Sの簡単な箇所(売掛金とか棚卸資産)あたりができていれば救われるのではないかと思います。

詳しい解説はこちらをどうぞ。

工業簿記

  • 難易度:易しい人には易しく、難しい人には難しい
  • 目標得点:18点〜20点

これは、いい問題だったかもしれません。というのも、工簿をちゃんと分かっている人にとっては、極めて簡単な問題。時間もかからずサクッと満点を狙える問題でした。

一方、解き方暗記中心の学習で工簿の特に勘定連絡などが苦手な人には難しく感じられたのではないかと思います。工簿をちゃんと分かっているかどうかを問う意味では良問でした。

すみません、ちょっと自慢になっちゃって申し訳ないのですが、実は、これもプロ簿記の模擬試験に近かったのです。他社さんの予想を見ると今回は標準原価計算を押す声が多いようでしたが、私は「現試験委員は標準原価計算にはあまり興味がなくて、個別原価計算と帳簿のつながりが好き。そして売上総利益とか営業利益を聞きたがる。」という感じを強くもっていて、そういう模擬試験作ったのです。

みなさんの出来具合は、ちょっと予想が難しいです。多分、満点の人もたくさん出ます。しかし足切りになる人もたくさん出そうです。

1つ言えることは、本問を難しく感じたのなら、今の勉強方法は正しくない可能性があるということです。

詳しい解説はこちらをどうぞ。

原価計算

  • 難易度:易しめ
  • 目標得点:20点〜

すみません、これもまた自慢になりますが、プロ簿記模擬試験がドンピシャ同じ予想でした。予算実績差異分析と設備投資です。全く一緒の予想でした。(とはいえ、工原の講師なら誰でも似た予想をすると思います。重要論点なのに数年間出てませんでしたから。)

予算実績差異分析は直接標準の要因別分析で典型問題、設備投資も基本問題でした。多分満点続出だと思います。

ただ、予算実績差異分析は、通常ですと計算量が多く時間が掛かるので面倒そうだなと思わせておいて、答案用紙にすでに一部答えが書かれていたためかなり楽でした。(自分の計算があっているかどうか検証できる点でも楽でした。)

設備投資も、基本パターンであり現試験委員の特徴が良く出ていました。以前の試験委員の設備投資の問題は、どちらかというとCFの推定でひねってくる問題が多かったのですが(そして、概してそういう問題は難しい)、現試験委員は、CFの推定は簡単に算定できて、そのうえで、内部利益率、NRVあたりの基本的な計算が出来るかどうかの問題が好きなようです。また、相互排他的投資案と独立投資案における適した評価方法という理論問題もお好きなようです。繰り返し出されています。そのあたりを押さえておけばいいでしょう。なんか、全経上級っぽいです。

目標得点は20点は欲しいです。

詳しい解説はこちらをどうぞ。

最後に

今回は、奇跡的にプロ簿記の予想がアタリまくったので、ちょっと嬉しくてそのむねを書きましたが「プロ簿記の予想って当たるのか、じゃあ、プロ簿記入ろう」とか思わなほうがいいです。こんなの本当にタマタマの偶然です。

そもそも、1級を受験するにあたって、予想に頼ろうっていう心構えの時点で厳しいです。

予想はたまたま当たったらラッキー、別に当たらなくても、実力で受かるくらいの力をつけないといけません。

ちなみに予想がダメなのではなくて、人の予想に頼るのがダメなのです。自分で出題予想をするのはとてもいいことです。

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第153回日商簿記1級・講師の受験感想記” に対して1件のコメントがあります。

  1. いっちぃ より:

    こんばんは。昨日受験しました。

    全体的には手ごたえはあったのですが…貸引は完全に問題を見落としていました。あと見本品費の原価算定も自信なくで・・・会計学も怪しいく、微妙な出来でした(なぜか有用性は頭にポーンと直感で出たのですが)。

    工原は近年の問題からして、え?というくらい解きやすかったのですが、やはり不安です。解きやすいときほどポカもしやすいので(最後10分前のチェックでABCの配賦計算が間違っていて、やばい!となったので・・・)

    恐らく工原が40点ラインに乗っていればギリギリ合格ライン、もしくはボロボロかの2択かなと思っています(相変わらず答え合わせするのが怖いです)

    ちなみに工原は、プロ簿記で勉強してきたことがバシッと通じたのがうれしかったのです。

    1. pro-boki より:

      いっちぃさん、お久しぶり。

      実力的には、もういつ合格してもおかしくないよね。前も全経上級でしたっけ?連絡くれて、工簿が満点で、全体でも300点近かった。で、足切り科目があったんでしたっけ?

      惜しすぎ。

      ケアレスミスが多いのかなぁ。今度こそは、結果出るといいんだけど。良いご報告をお待ちしています。受かったら連絡ちょうだいね。お祝いするよ。

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