究極にやさしい税効果会計その5

税効果会計インデックス

連結財務諸表での税効果会計

さて、ここまでの税効果会計の記事は、すべて個別財務諸表を前提に記述してきました。まあ当然ですよね。いくらグループ企業を形成しているとしても、法人税は個々の法人ごとに納税義務があるわけですから個別財務諸表ベースで考えるのが自然です。(連結納税という制度もありますが、ここではおいておきます)

ところで、連結会計を行うときも税効果会計って登場しますよね?あれ、どういう意味なんでしょう。まあ、1級学習しているとテキストに「ここでは税効果会計を適用する」なんてい書かれているから、よくわからんけど、ま、とにかくそういうもんかな、と思って処理を覚えちゃうことが多いと思います。

ですが、今一度、ここで考えてみましょう。なぜ、連結会計で改めて税効果会計をやらないといけないの?と。

だって、考えてもみてください。連結財務諸表っていうのは、個別財務諸表を合算して作られるんですよ。そして、税効果会計は個別財務諸表の段階ですでに済んでいるのですよ。税務と会計のズレは、ちゃんと調整されているのです。調整済みの個別財務諸表同士を合算したのに、なんでまた税効果会計をやらないといけないんでしょうか?

読み進める前に、しばし考えてみることをおすすめします。

連結と個別では資産・負債の価額が異なる

まず、資産・負債の貸借対照表価額について考えてみましょう。個別財務諸表上では、土地や事業用の有形固定資産の簿価は、取得原価に基づいて算定されています。

で、連結財務諸表ではどうでしょう?親会社は簿価のままですよね。ところが連結される子会社は、支配獲得時の時価に評価しなおしてからくっつけますよね。

そうなんです。連結財務諸表の資産の額というのは、個別財務諸表の単純合計とはならないのです。子会社の資産・負債は、簿価ではなくて時価でくっつけるのです。

税効果会計っていうのは、税務上と会計上の資産・負債のズレを修正するものでしたよね。ですから、個別財務諸表においてズレを修正済みでも、連結するときにまたズレちゃうので、またしても税効果会計を適用しないといけないわけです。

つまり、「資本連結に際し,子会社の資産及び負債の時価評価により評価差額が生じた場合」には、税効果会計を適用しないといけないのです。税効果会計基準 第二 一 2(2)

連結と個別では利益の額も異なる

また、利益についても同様です。個別財務諸表上の利益を単純合算しても、連結財務諸表上の利益と一致しません。それは、成果連結において、親子間の取引から生じた未実現利益を消去したり、親子間の取引から生じた貸倒引当金の修正をしたりするからです。税効果会計基準 第二 一 2(2)

つまり、単純合算して成果連結をしただけでは、連結上の利益と税額が対応しなくなるわけです。そこで、連結財務諸表においても税効果会計を適用する必要があるのです。

税効果会計基準 第二 一 一時差異等の認識

2.一時差異とは、貸借対照表及び連結貸借対照表に計上されている資産及び負債の金額と課税所得計算上の資産及び負債の金額との差額をいう。一時差異は、例えば、次のような場合に生ずる。

(2) 連結財務諸表固有の一時差異
 資本連結に際し、子会社の資産及び負債の時価評価により評価差額が生じた場合
 連結会社相互間の取引から生ずる未実現損益を消去した場合
 連結会社相互間の債権と債務の相殺消去により貸倒引当金を減額修正した場合

連結税効果の具体例

簡単な具体例を見てみましょう。

親会社と子会社の個別損益計算書が次のとおりだとします。

親会社個別損益計算書(将来減算一時差異1,000、税率40%)
税前利益   2,000
法人税等 1,200  
法税等調 △400 800
当期利益   1,200
子会社個別損益計算書(将来減算一時差異500、税率40%)
税前利益   1,000
法人税等 600  
法税等調 △200 400
当期利益   600
単純合算個別損益計算書
税前利益   3,000
法人税等 1,800  
法税等調 △600 1,200
当期利益   1,800


上記までは整合性が取れています。

さて、ここで、親会社から子会社に商品を売却していて、期末に在庫が残っていて未実現利益が1,000生じているとします。すると、成果連結として次の仕訳を行います。

 売上原価1,000/商品1,000

結果、連結損益計算書は次のようになります。

連結個別損益計算書(連結税効果適用なし)
税前利益   2,000
法人税等 1,800  
法税等調 △600 1,200
当期利益   800


売上原価が1,000増えたため、利益が1,000減ったわけです。税引前当期純利益に40%掛けても会計上の法人税等になりませんよね。税引前当期純利益だけを動かしたので当然なのですが。

整合性を取るなら、法人税等は2,000×40%=800じゃなきゃおかしいです。とはいっても税務上の法人税等は確定していますので変えられません。となると、法人税等調整額を現状の△600から△1,000にするしかありません。ということで、次の仕訳をしないといけないのです。

 繰延税金資産400/法人税等調整額400

こうすることで次のような整合性をもった連結損益計算書が作れるのです。

連結個別損益計算書(連結税効果適用あり)
税前利益   2,000
法人税等 1,800  
法税等調 △1,000 800
当期利益   1,200


これで無事、整合性の取れた損益計算書が出来ました。これが連結会計において税効果会計を行わなければならない理由です。

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