みんな大好き!包括利益・実践編1

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本試験で得点をゲットするための包括利益解法テク

では、さっそく本試験で得点をゲットするための包括利益解法テクニックを紹介していこう。まずは、親会社、子会社ともに剰余金の配当をせずに、のれんも発生しないケースからだ。シンプルな問題だね。

とはいえ、これがもっとも大切。これが出来ないと、この先の応用問題は全く出来ないので、ここでつまずかないように繰り返し練習しよう。

問題1(剰余金の配当なし・のれんなし)

P社はS社の発行済株式総数の80%を前期末に80,000で取得し支配を獲得した。資料にもとづいて以下の問に答えなさい。

資料1 P社とS社の個別財務諸表上の純資産の推移
  前期末 当期末
P社 資本金 200,000 200,000
利益剰余金 100,000 150,000
評価換算差額等 20,000 30,000
S社 資本金 55,000 55,000
利益剰余金 40,000 60,000
評価換算差額等 5,000 7,000
資料2
  • 支配獲得時のS社の資産と負債は、簿価と時価が一致していた。
  • のれんは発生していない。
  • P社、S社ともに当期中に剰余金の配当は行っていない。
  • 便宜上、税効果会計は適用しない。

設問

設問1 連結損益計算書に計上される以下の金額を答えなさい。
  1. 当期純利益
  2. 非支配株主に帰属する当期純利益
  3. 親会社株主に帰属する当期純利益
設問2 連結株主資本等変動計算書(一部)を完成させなさい。
  利益剰余金 その他の包括利益累計額 非支配株主持分
当期首残高
当期変動額
当期末残高
設問3 連結包括利益計算書を完成させなさい。
<連結包括利益計算書>
当期純利益
その他の包括利益
包括利益
<内訳の注記>
親会社株主に係る包括利益
非支配株主に係る包括利益

解答と解説(クリックで開きます)

解答

設問1 連結損益計算書
  1. 当期純利益:70,000
  2. 非支配株主に帰属する当期純利益:4,000
  3. 親会社株主に帰属する当期純利益:66,000
設問2 連結株主資本等変動計算書(一部)
  利益剰余金 その他の包括利益累計額 非支配株主持分
当期首残高 100,000 20,000 20,000
当期変動額 66,000 11,600 4,400
当期末残高 166,000 31,600 24,400
設問3 連結包括利益計算書
<連結包括利益計算書>
当期純利益 70,000
その他の包括利益 12,000
包括利益 82,000
<内訳の注記>
親会社株主に係る包括利益 77,600
非支配株主に係る包括利益 4,400

解き方

本問は、そもそも連結会計の仕組み(何を表示したいがために、どういう手続を取って、その結果をどの財務諸表にどういう科目で表示しているのか)を理解していないと、腹落ちしにくいと思う。逆に言うとすでに仕組みが分かっている人は、解答と式を見ただけで、あ、なるほどねとなるだろう。

よって、本問の詳しい解説は、また後ほど執筆する予定だが、とりあえず、いまはさておこう。連結の本質的な仕組みなんて、1日やそこら勉強したところで身につかない。いまそれやっていると本試験に間に合わない。

とにかく、次の解答手順をマスターしてほしい。この手順に従えば必ず解ける。小1時間練習してほしい。それだけで、もし本試験で出題されたら、必ず得点ゲットできる。成功を祈る。

Step.1 個別上の当期純利益と(当期発生の)その他有価証券評価差額金を求める

問題文によっては、資料として個別P/Lが与えられているときがある。その場合はP/Lの当期純利益を使う。本問のように、個別P/Lがなく、純資産の推移のみが与えられているときは、以下の式で求めること。

当期純利益=期末利益剰余金−期首利益剰余金+剰余金の配当額

上記式により(本問は剰余金を配当していない)

a.P社当期純利益:150,000−100,000=50,000
b.S社当期純利益:60,000−40,000=20,000
c.P社当期発生のその他有価証券評価差額金:30,000−20,000=10,000
d.S社当期発生のその他有価証券評価差額金:7,000−5,000=2,000

Step.2 次のようなワークシートを作成する

ここが一番大事。これさえ作れればあとは機械的な作業。

  P・P*1 P・S*2 非・S*3 合計
当期純利益 a.50,000 b.20,000   70,000
  b.×0.2=△4,000*4 4,000*4
その他の包括利益 c.10,000 d.2,000   12,000
  d.×0.2=△400*5 400*5
合計 77,600 4,400 82,000

*1 P・P:P社株主に帰属するP社の利益
*2 P・S:P社株主に帰属するS社の利益
*3 非・S:非支配株主に帰属するS社の利益
*4 S社の当期純利益のうち非株に帰属する当期純利益(20%分)を非株に移す
*5 S社のその他の包括利益のうち非株に帰属する分(20%分)を非株に移す

Step.3 連結損益計算書(P/L)と連結包括利益計算(C/I)を作る

赤字の部分をピックアップするだけで、連結損益計算書(P/L)と連結包括利益計算(C/I)が完成する。

  P・P P・S 非・S 合計
当期純利益 a.50,000 b.20,000   連結P/L・C/I
当期純利益
70,000
  b.×0.2=
△4,000
連結P/L
非株帰属利益
4,000
その他の包括利益 c.10,000 d.2,000   連結C/I
その他の包括利益
12,000
  d.×0.2=
△400
400
合計 連結C/I
Pに係る包括利益
77,600
連結C/I
Sに係る包括利益
4,400
連結C/I
包括利益
82,000

連結P/L・親株帰属利益:66,000(=a.50,000+b.20,000△非株帰属利益4,000)

Step.4 連結株主資本等変動計算書(S/S)を作る

青字緑字ピンク字の部分を使って連結株主資本等変動計算書(S/S)を作る。

  P・P P・S 非・S 合計
当期純利益 a.50,000 b.20,000   70,000
  b.×0.2=
△4,000
4,000
その他の包括利益 c.10,000 d.2,000   12,000
  d.×0.2=
△400
400
合計 77,600 4,400 82,000

 

【利益剰余金】

  • 当期首残高:前期末に支配を獲得しているため当期首時点では、P社の利益剰余金しかないため、P社前期末利益剰余金100,000である。
  • 当期変動額:青字部分の合計である66,000が入る。これは連結P/L・親株帰属利益でもある。もし剰余金を配当しているなら、その分を控除する。
  • 当期末残高:100,000+66,000=166,000→連結B/Sの利益剰余金へ

【その他の包括利益累計額】

  • 当期首残高:前期末に支配を獲得しているため当期首時点では、P社のその他の包括利益累計(個別財務諸表の評価換算差額等)しかないため、P社前期末評価換算差額等20,000である。
  • 当期変動額:緑字部分の合計である11,600が入る。
  • 当期末残高:20,000+11,600=31,600→連結B/Sのその他の包括利益累計額へ

【非支配株主持分】

  • 当期首残高:前期末に支配を獲得しているため当期首時点では、前期末S社の純資産(55,000+40,000+5,000)×20%=20,000
  • 当期変動額:連結C/IのSに係る包括利益4,400
  • 当期末残高:20,000+4,400=24,400→連結B/Sの非支配株主持分へ

みんな大好き!包括利益・実践編1” に対して1件のコメントがあります。

  1. 槍男 より:

    いつも参考にさせて貰っています。包括利益の記事ありがとうございます。
    独学では理解に苦しむ所ですのでとても助かっています。

    1点質問したいのですが、その他の包括利益累計額の所で
    当期変動額:緑字部分の合計である11,600が入る。もし剰余金を配当しているなら、その分を控除する。

    と、あるのですが、もし剰余金を配当しているなら、その分を控除する。というのは誤記ではないでしょうか?
    勉強不足でしたらすみません。気になったもので質問させて頂きました。

    1. pro-boki より:

      あ、すみません。おっしゃるとおりです。消し忘れました。修正しました。
      ちゃんと読んでいただいていて嬉しいです!

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