その他有価証券・解法テクニック

その他有価証券
その他有価証券。超頻出論点です。最近は2級の試験範囲にも入ったようです。
みなさん、その他有価証券の会計処理は得意ですか?
1級は上位10%に入らなければならない試験です。そんな試験において「ここって良く出るよね〜」とみなさんが認識している論点を苦手としているとしたら…。合格は遠いですね。ニッチ論点をいくら語れてもメジャー論点落としてちゃ意味がないんです。
5分チャレンジミニテスト(1)
いや、まあ、「得意か?」と言われると、そんなに自信は無いけれど、そこそこ得意じゃないかな、って思っている人。では、次の簡易ミニテストで実力チェックをしてみてください。日商簿記1級129回の類題です。
目安は…5分で完答なら合格圏内。10分で完答なら普通。15分で完答なら遅いけど練習次第で見込みあり。それ以上の時間がかかったり、出来ないとなるとかなりまずい、といった感じです。
問題
次の資料にもとづいて、決算整理後残高試算表を作成しなさい。
- 決算整理前残高試算表の残高は次のとおりである。
その他有価証券:27,100
その他有価証券評価差額金:840(貸方残)
繰延税金資産:760
繰延税金負債:560
- 当社の保有している有価証券は次のとおりである。
取得原価 帳簿価額 決算日時価 A社株式 7,000 8,000 8,400 B社株式 5,400 5,800 5,200 C社株式 7,200 6,300 7,500 D社株式 8,000 7,000 5,000
- その他有価証券の評価は,部分純資産直入法を適用し,洗替法を採用している。
- 当期首において評価差額金を振り戻す処理がまだ行われていない。
- 法定実効税率は40%とする。
答案用紙
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| その他有価証券 | 評価差額金 | ||
| 税金資産 | 税金負債 | ||
| 評価損 | 法調 |
解答
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| その他有価証券 | 26,100 | 評価差額金 | 1,020 |
| 税金資産 | 1,280 | 税金負債 | 680 |
| 評価損 | 1,300 | 法調 | 520 |
解説(よくテキストに載っている正統的な解き方)
簿記の基本は仕訳です。前期末の決算整理仕訳と決算振替仕訳、当期首の再振替仕訳、そして当期末の決算整理仕訳をすべて書き起こして集計すれば解答が得られます。まさに王道中の王道。
多くのテキストでは、この仕訳がずらずらと書かれていて、はい集計しておしまいです、みたいな流れで書かれています。いや、本当にみなさん、そんな方法でやっているのですか?まじですか?と疑問に思いながらもとりあえず王道の解き方で解いてみます。
Step.1 前期はどうなっていたか?
(前期)期中のT/B
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| その他有価証券 | 27,600 |
(前期末)決算整理仕訳
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 | |
|---|---|---|---|---|
| A社株式 | その他有価証券 | 1,000 | 評価差額金 | 600 |
| 税金負債 | 400 | |||
| B社株式 | その他有価証券 | 400 | 評価差額金 | 240 |
| 税金負債 | 160 | |||
| C社株式 | 投資有価証券評価損 | 900 | その他有価証券 | 900 |
| 税金資産 | 360 | 法調 | 360 | |
| D社株式 | 投資有価証券評価損 | 1,000 | その他有価証券 | 1,000 |
| 税金資産 | 400 | 法調 | 400 |
(前期末)決算整理後のT/B
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| その他有価証券 | 27,100 | 評価差額金 | 840 |
| 税金資産 | 760 | 税金負債 | 560 |
| 投資有価証券評価損 | 1,900 | 法調 | 760 |
Step.2 当期首はどうなるか?
(当期・再振替仕訳前)期首のT/B
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| その他有価証券 | 27,100 | 評価差額金 | 840 |
| 税金資産 | 760 | 税金負債 | 560 |
(当期・再振替仕訳後)期首のT/B
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| その他有価証券 | 27,600 | 投資有価証券評価損 | 1,900 |
| 法調 | 760 |
Step.3 当期決算整理後残高試算表
(当期末)決算整理仕訳
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 | |
|---|---|---|---|---|
| A社株式 | その他有価証券 | 1,400 | 評価差額金 | 840 |
| 税金負債 | 560 | |||
| B社株式 | 投資有価証券評価損 | 200 | その他有価証券 | 200 |
| 税金資産 | 80 | 法調 | 80 | |
| C社株式 | その他有価証券 | 300 | 評価差額金 | 180 |
| 税金負債 | 120 | |||
| D社株式 | 投資有価証券評価損 | 3,000 | その他有価証券 | 3,000 |
| 税金資産 | 1,200 | 法調 | 1,200 |
(前期末)決算整理後のT/B
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| その他有価証券 | 26,100 | 評価差額金 | 1,020 |
| 税金資産 | 1,280 | 税金負債 | 680 |
| 投資有価証券評価損 | 1,300 | 法調 | 520 |
はい!解答のとおりになりました。
しかしですよ。本当に本試験中にこれらの仕訳を書いて集計しているヒマありますかね…。しかもノーミスでですよ。
時短テクニック
本当はプロ簿記講座の中で紹介しているテクニックなんで、ここにおおっぴらにしちゃうのもどうかとも思ったのですが、まあ、これくらいはいいかなと思い、公開します。
Step.1 余計な情報は無視する
問題文に「当期首において評価差額金を振り戻す処理がまだ行われていない」とか、決算整理前残高試算表の価額が書かれていますが、解答するにあたっては使わない情報なので無視します。余計なこと考えるから時間が掛かったり混乱したりするのです。使わない情報は無視。これが大事です。(ちなみに検証や確認には使います)
Step.2 何はともあれ決算日の時価を答案用紙に書き込む
決算整理前の残高がどうだろうが、全部純資産直入法だろうが部分純資産直入法だろうが、とにかく、決算整理後残高試算表におけるその他有価証券の簿価は、決算日の時価なんです。当たり前です。
だったら、真っ先に書くのです。それを。A8,400+B5,200+C7,500+D5,000=26,100ですよね。これだけで1点か2点ゲットです。
Step.3 帳簿価額も一旦無視して差額を計算
続いて、有無を言わせず「決算日の時価」から「取得原価」を引いて差額をとります。帳簿価額とか無視です。
この差額がプラスなら「その他有価証券評価差額金」、マイナスなら「投資有価証券評価損」で処理します。このあたりはいわゆるその他有価証券の通常の処理です。恐れることはありません。本問を例にやってみましょう。
差額がプラスのとき
A社株式とC社株式は、差額がプラスです。(A社は+1,400、C社は+300で合計1,700)
だったら、次の仕訳を切ればいいのです。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| その他有価証券 | 1,700 | 評価差額金 | 1,020 |
| 税金負債 | 680 |
差額がマイナスのとき
B社株式とD社株式は、差額がマイナスです。(B社は△200、D社は△3,000で合計3,200)
だったら、次の仕訳を切ればいいのです。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 投資有価証券評価損 | 3,200 | その他有価証券 | 3,200 |
| 繰延税金資産 | 1,280 | 法調 | 1,280 |
PL科目(投資有価証券評価損と法調)以外は、これが解答です。ここまでで、一旦、「評価差額金1,020」と「税金負債680」「税金資産1,280」を答案用紙に記入しましょう。
Step.4 最後に取得原価と帳簿価額を比較する
最後に「取得原価」と「帳簿価額」を比較します。もし、取得原価<帳簿価額なら、何もすることはありません。おしまいです。もし、取得原価>帳簿価額なら、最後にちょっとひと仕事あります。
本問の場合、C社株式とD社株式の差額がマイナスです。(C社は△900、D社は△1,000で合計1,900)
だったら、次の仕訳を切ればいいのです。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| その他有価証券 | 1,900 | 投資有価証券評価損 | 1,900 |
| 法調 | 760 | 繰延税金資産 | 760 |
この仕訳の中で大切な勘定科目は、PL科目(投資有価証券評価損と法調)です。BS科目(その他有価証券と繰延税金資産)は無視してください。BS科目はすでに処理が終わっているからです。
投資有価証券評価損に注目しましょう。Step.3では3,200の借方残です。Step.4では1,900の貸方残です。よって、相殺して1,300の借方残を答案用紙に記入します。
続いて法調です。Step.3では1,280の貸方残です。Step.4では760の借方残です。よって、相殺して520の貸方残を答案用紙に記入します。なお、法人税等調整額は、この投資有価証券評価損(1,300)の40%(520)として計算しても構いません。この方がより速いですね。
圧倒的に速いでしょ?
もし本問が「全部純資産直入法」ならどうなるか
この場合は、超簡単です。上記の時短テクニックのStep.4を無視すればいいのです。Step.3まででOKです。しかも「決算日の時価」と「取得原価」の差額がプラスでもマイナスでも関係なく「その他有価証券評価差額金」で処理すればいいのでより簡単です。
なぜこの方法で計算できてしまうのか
これ、実に当たり前のことなんです。ざっくり言えば「再振替仕訳の有無や前T/Bには関係なく、正しく処理をしていれば、その他有価証券の決算整理前の簿価は取得原価に戻っている」という性質を利用しています。
また、部分純資産直入法を採用していて、かつ、前期末簿価が取得原価を下回っていると、前期末に損失が発生しますが、この損失は当期に持ち込めません。PL科目だから当然です。PL科目は前期に利益剰余金に振り替られてしまいます。一方で、全部純資産直入法を採用していたり、部分純資産直入法でも前期末簿価が取得原価を上回っているなら、その差額は当期に持ち込まれます。純資産直入(BS科目)なので当然です。
で、当期首に再振替仕訳をするわけですが、このとき前期の差額が当期に持ち込まれていれば、相殺消去されて何も無かったことになるわけです。だから何も考えることありません。
ところが、PL科目は前期の損失が当期に持ち込まれていないので、当期に再振替仕訳をすると、その分(損失を取り消しているので収益が発生)が当期に残ります。その調整をしないとまずいのです。それがStep.4です。
まあ、このあたりの理屈は別に知ってても知らなくても試験的には関係ないので、よく分からなければスルーOKです。
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- その他有価証券・解法テクニック 2018年3月28日
“その他有価証券・解法テクニック” に対して30件のコメントがあります。
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実効税率について質問です。
実効税率40%は推定するのでしょうか?
あ、すみません、記載漏れです。ご指摘ありがとうございます。
最近は40%以外のケースも多いので、この点は注意ですね。
訂正ありがとうございました。
他資格受験生ですが、先生の講義は非常に役立ちます。
ありがとうございます。
こんばんは。
step3までの解法は問題集や過去問をやっていく中で自然に出来るようになったのですがP/L項目が絡むといつも手間取って悩んでました。
しかし、step4と最後の解説を読んでようやく腹落ちしました。
こういう時短テクニックは私みたいな独学者は自分で編み出すしかないので本当にありがたいです。
突然すみません。いつもブログ拝見しています。
教えていただいている内容とは少し違うのですが、もし宜しければご回答下さい。
有価証券の通常の評価損の場合は、部分純資産直入法ならば1年基準で投資有価証券評価損か有価証券評価損だと思うのですが、減損となると無条件で投資有価証券評価損になるのでしょうか?テキストを見てよく分からなかったので、お答え頂けるとすごく嬉しいです。
突然で申し訳ありません、よろしくお願いします。
>有価証券の通常の評価損の場合は、部分純資産直入法ならば1年基準で投資有価証券評価損か有価証券評価損だと思うのですが
もし勘違いされていたらと思い一応書かせていただきます。1年基準というのはあくまでもB/S上の流動と固定のどちらに計上するかの基準です。○○評価損は、P/L科目ですから1年基準は適用されません。ですので「1年基準で投資有価証券評価損か有価証券評価損だと思う」というのは、前提として整合していません。
そのうえで、有価証券を流動と固定のどちらに表示するかは、以下のルールによっています。
ご質問は「部分純資産直入法ならば…」と書かれていますので、その他有価証券を前提にされているのだと思います。その他有価証券の場合は、上記にも書いたとおり「社債であってかつ1年以内に満期をむかえる場合」のみ有価証券(流動資産)となります。それ以外はすべて投資有価証券(固定資産)です。
ということは、ご質問内容は「社債等であってかつ1年以内に満期をむかえるその他有価証券が減損になった場合、減損分は、有価証券評価損にならずに投資有価証券評価損になるのか?」というご質問となりますが、それでよろしいでしょうか?
正直、かなりレアケースですのでそのような問題を見たことがないので分かりません。そもそもあと数ヶ月で満期を迎える社債の時価が取得原価に比して半額以下になるという状況がどういうものなのか…。破産したってことですかね。だとすると、破産更生債権等と同じような扱いで、固定資産に振り替えるのではないでしょうか。となると、減損分は、投資有価証券評価損として計上するのだと思います。
ご回答頂き、ありがとうございます。
ご指摘の通り、一年基準がbsとplで混在していました。ありがとうございます。
宜しければ詳しく聞きたいのですが、一年基準で決めたbs科目がplにそのまま使われると思うのですが違うんでしょうか?例で挙げるなら、長期保有目的のその有なのでbsは有価証券科目、plも有価証券評価損もしくは有価証券評価益、と理解していました。
またその有の場合、長期保有などの指示がなくても投資有価証券評価損などの投資有価証券扱いを受けることが多いのですが、基本的に指示が無ければ投資有価証券扱いなんでしょうか?有価証券の基礎問題やヘッジの多くで投資有価証券評価損の勘定科目を見ます。
あと念のためにご確認したいんですが、有価証券評価損益の勘定科目を多く見ますが、減損や売却時には損、益で別れた勘定科目を見ます。表示科目と違って勘定科目はその辺りの認識は適当なんだろうと思っていますが、この認識で合ってますか?
長くなって申し訳ありません。お手すきの時にでも、宜しければご回答下さい。
よろしくお願いします
>一年基準で決めたbs科目がplにそのまま使われると思うのですが違うんでしょうか?
「有価証券評価損益」と「投資有価証券評価損益」のみ該当するのではないでしょうか。他に該当するものが思いあたらないです。
例えば長期貸付金に係る利息も短期貸付金に係る利息も同じく「受取利息」勘定を使います。長期借入金と短期借入金も同じですね。「支払利息」勘定です。
財務諸表の利用目的を考えてみてください。BSは、安全性分析をするにあたって流動と固定の区分が重要です。よって1年基準という考え方が出てくるわけです。一方、PLは収益性分析がメインであり、要は何に基づいて儲けたのか?が知りたいので、それに基づく区分になっています。よって、本業に係る収益・費用なのか、営業外なのか、特別項目なのかと区分するわけです。
ですから、「一年基準で決めたbs科目がplにそのまま使われる」というのはちょっと違うのではないかと思います。「有価証券評価損益」と「投資有価証券評価損益」がたまたまそうなのであって、それは1年基準というよりは、もととなる有価証券の種類を表示しているだけなのだと思います。例えば関連会社株式で減損による評価損が出た場合「投資有価証券評価損」とも「関連会社株式評価損」とも書きます。1年基準というより、減損が出たもとになる有価証券の種類を明示したいのだと思います。
>またその有の場合、長期保有などの指示がなくても投資有価証券評価損などの投資有価証券扱いを受けることが多いのですが、基本的に指示が無ければ投資有価証券扱いなんでしょうか?
おっしゃるとおり厳密には、その他有価証券は「有価証券」になるケースと「投資有価証券」になるケースがあり、分類すべきです。しかし、先にも書いたとおり「有価証券」に分類されるケースが極めて稀なので、そのケースは無視されているのでしょう。試験では指示のない限り「投資有価証券」扱いでよろしいと思います。
>あと念のためにご確認したいんですが、有価証券評価損益の勘定科目を多く見ますが、減損や売却時には損、益で別れた勘定科目を見ます。表示科目と違って勘定科目はその辺りの認識は適当なんだろうと思っていますが、この認識で合ってますか?
PLでの表示は、○○損もしくは○○益です。○○損益という表示はしません。PLの構造上、例えば営業外収益には○○益しか入らないからです。一方で、帳簿上(仕訳帳とか総勘定元帳など)は、企業の自由です。通常は、○○損益を使うことが多いと思います。貸借どちらにも使えて便利だからです。ですから、当然ながら決算整理後残高試算表では(これは総勘定元帳の残高を集めたものなので)、○○損益という勘定が登場します。で、財務諸表を作るときに○○損もしくは○○益に直します。
試験では、答案要求が決算整理後残高試算表なのか、PLなのかによって、微妙に異なりますので注意されてください。
返信頂きまして、本当にありがとうございます。
また私用でバタバタしておりましてコメントが遅くなってしまいました、大変失礼しました。
頂いた返信ですが、理解することが出来ました。教えて頂いたことを念頭において、勉強に励んでいきます。ありがとうございました!
いつもブログを拝見し勉強させて頂いてます。
部分純資産直入法の洗替について教えてください。使用している参考書には、期首に繰延税金資産の振り戻しは行わず、期末に行うとあります。これは、前期に評価損でも今期に評価益となる場合があるからと思います。しかるにこのような場合の仕分はどうなるのでしょうか?
例えば、前期 投資有価証券評価損100 税金資産40 法調40で今期の投資有価証券評価益150の場合、前期の税金資産と法調はどうなるのでしょうか?
>使用している参考書には、期首に繰延税金資産の振り戻しは行わず、期末に行うとあります。これは、前期に評価損でも今期に評価益となる場合があるからと思います。
いえ、そういうことではなくて、そもそも税効果会計は原則として決算整理仕訳だからです。決算時における税務上の資産・負債と会計上の資産・負債の差異のうち将来解消される部分(一時差異)について処理します。
>例えば、前期 投資有価証券評価損100 税金資産40 法調40で今期の投資有価証券評価益150の場合、前期の税金資産と法調はどうなるのでしょうか?
部分純資産直入法の差損の税効果の解消仕訳は、他の一時差異と合算して決算整理仕訳で行います。
前期末
投資有価証券評価損
100
投資有価証券
100
繰延税金資産
40
法人税等調整額
40
当期首
投資有価証券
100
投資有価証券評価損
100
当期末
投資有価証券
150
その他有価証券評価差額金
90
繰延税金負債
60
法人税等調整額
40
繰延税金資産
40
ちなみに、部分純資産直入法の差損の税効果の解消仕訳のタイミングについては、過去にもたびたび質問を受けていますが、正直、かなりマイナーな論点であり、試験対策という観点からはこだわる必要はないとアドバイスしています。(というか捨て論点だと思います)
pro-boki 様
早速のご回答ありがとうございます。もう一度、参考書を読み返しました。「以下の洗替処理を行う。なお、繰延税金資産については洗替処理はおこなわない。この繰延税金資産は法人税等調整額の計算対象となるため、決算整理で処理を行う」との記載でした。一方、全部純資産直入法の期首には、投資有価証券、繰延税金資産、その他有価証券評価差額金の洗替処理を行うので、部分純資産直入法では、単純に期初に振戻してはいけない特別なポイントがあるのかと思ってしまいました。いずれにせよBSは前期分と通算して消去されるが、PL(法人税等調整額)は前期に締めているので、今期分から控除しないといけないということ理解しました。ちなみに前期の投資有価証券評価損 200 で、今期は評価損 100のときの決算整理後は、どうなるのでしょうか?何度も申し訳ございません。よろしくお願いいたします。
何か難しく考えすぎているように思えます。
何も難しいことはありません。基本に戻ってください。その他有価証券は、期末に時価評価の仕訳をして、翌期に洗い替えするだけです。ただし、税効果は決算整理事項なので、税効果の洗い替え処理は、期首じゃなくて期末に行いますよと言っているだけです。(と言っても、F/Sには影響しませんので試験的には気にする必要もありません)
なお、全部純資産直入法のときの評価差額にかかる税効果が例外で、有価証券の洗い替えとともに同じタイミングで翌期首に洗い替えします。
>ちなみに前期の投資有価証券評価損 200 で、今期は評価損 100のときの決算整理後は、どうなるのでしょうか?
前期末
投資有価証券評価損200/投資有価証券200
繰延税金資産80/法人税等調整額80
当期首
投資有価証券200/投資有価証券評価損200
当期末
法人税等調整額80/繰延税金資産80
投資有価証券評価損100/投資有価証券100
繰延税金資産40/法人税等調整額40
ありがとうございました。
期末に繰延税金資産が借方に40残るのですね。
いつも拝見させていただいております。
税効果の部分で疑問点が生じたので教えていただけますと幸いです。
今回のような単独の問題ではなく、総合問題で他にも(商品評価損・圧縮積立金等)税効果が絡んでいる場合は
都度仕訳を切る or 最後に他のも含めた前期と当期の一時差異をまとめて算定していくしかないのでしょうか?
(当期の変動額が把握できないとダメだと思いまして、、、)
>都度仕訳を切る or 最後に他のも含めた前期と当期の一時差異をまとめて算定していくしかないのでしょうか?
はい、都度仕訳を切る、もしくは、最後にまとめて算定の2パターンしか無いと思います。というか、ほかに方法ってありましたっけ?
もしかして「そんなこと聞いているんじゃないよ」という感じでしたら、追加でご質問ください。できれば具体的な問題や過去問などを例としてあげてもらえるとありがたいです。
返信いただきありがとうございます。
もしかしたら、もっと効率的な方法があるのではないかと思い質問させていただきました。
やはりそのどちらかの方法で把握していくしかないですよね。
現在、会計士試験の勉強をしており、pro-boki様の記事は理解を深めるのにとても役立っております。
今後も他の記事で疑問が生じた際に質問させていただくことがあるかもしれませんが、
その際はご教示いただけますと幸いです。
いつもブログを拝見し勉強させて頂いております。
初歩的な質問で申し訳ないのですが、教えていただけますと幸いです。
設例で当社が、C社株式のみ保有していたとします。
この場合、期首仕訳は、投資有価証券900/投資有価証券評価損益900という仕訳を切って
決算時に、投資有価証券300/その他有価証券評価差額300という仕訳を切ることになるかと思います。
この場合、PLへの表示科目は、投資有価証券評価益となるのでしょうか?
それとも投資有価証券評価損のマイナス表示?
手持ちのテキストでは、期首仕訳の投資有価証券900/投資有価証券評価損益900で終わっており
最終的にPLへの表示がどうなるのか記載がありませんでした。
その他有価証券については売買目的と違い、PLに評価益が表示されることはありえず、
全て評価差額金となると記載しているサイトもあったりしたので混乱しております。
突然で申し訳ありません、どうぞよろしくお願いいたします。
どうなんでしょうね。
ご存知だと思いますが、財務諸表等規則では、そんなに厳密に定義されていません。一応確認してみましたが、案の定、詳しいことは定義されていませんでした。となると、実務的にどうやっているかですよね。
金融庁のEDINETタクソノミをチェックしたところ、「投資有価証券評価益」勘定がありましたから、営業外収益に「投資有価証券評価益」で表示するんだと思います。「投資有価証券評価益」ってこのケース以外に登場しようがないですもんね。
ご返信いただきありがとうございます。
金融庁のEDINETタクソノミの存在は知りませんでした。
今回のケースでどうなるのかズバリで記載のあるものが見つけられなかったので
先生に教えて頂き安心しました。
いつも拝見させていただいております。
1つ質問なのですが、5分チャレンジミニテストの回答で「法人税等調整額」で法人税等を調整してあるのですが、その他有価証券では、税法上その他有価証券の評価替えを認められていないため「法人税等調整額」での法人税等を調整することができない。そのため「その他有価証券評価差額金」で調整すると2級で学んだのですが、「法人税等調整額」を使ってもよろしいのでしょうか?
教えていただけると幸いです。
>「法人税等調整額」を使ってもよろしいのでしょうか?
部分純資産直入法ですから、使ってもよろしいですというか使わないといけません。
はじめまして。
とても役立つ講義参考にさせていただいています。
今回の例はその他有価証券ですが、売買目的の有価証券(洗替法、前期末分の振戻しがされてない)の場合は、ここで教えて頂いた手順の最後のひと手間(前期末に計上したPL項目を引く作業)のところを、簿価が原価より高くても低くてもやればいいのでしょうか。
売買目的有価証券の場合は、上記のようなややこしいことは一切なく、以下のとおりです。
BS価額:当期末時価
PLの有価証券評価損益:当期末時価−前期末時価
洗替法か切放法か、洗替法なら振り戻しをしているかしていないか、などに関係なく上記のとおりです。
ご教示ありがとうございました。取得原価は関係ないのですね(例を作ってやってみたらたしかにそうなりました)。
今後もどうぞよろしくおねがいします。
いつもありがとうございます。
その他有価証券評価差額金について質問させていただきたいと思います。
前提条件は全部純資産直入法で、税効果なしで考えます。
取得原価A1000 B2000 C3000
ABC3本の有価証券を保有していて、前期末にAが評価益300で、Bが評価損200になって、Cが変動しない場合はその他有価証券評価差額金が100になります。
当期首で洗い替えしました。当期末になってAが評価益400で、Bが評価損(減損1100)になって、Cが評価損1600(減損)の場合はその他有価証券評価差額金はいくらになりますか。
Aの評価益の400でしょうか。それともマイナスの2300でしょうか。
もう一つの質問ですが当期の組替え調整額はいくらになるでしょうか。
わたくしの理解ではその他有価証券評価差額金がマイナス2300で組替え調整額が2700ですがいかがでしょうか。有価証券報告書をみてこれの処理をどうしても理解できなくて、その処理はその他有価証券評価差額金の計上額は減損額を除いた400で、組替え調整額は当期の減損額から前期の評価損額の200を除いた額の2500でした。
ややこしくてわかりにくいですが、ご教示をお願い致します。
唐突だな。なんかの問題集?有報見てて疑問に思ったの?背景が分からない。
>Aの評価益の400でしょうか。それともマイナスの2300でしょうか。
書かれたとおりに処理するなら、(相手勘定のその他有価証券は省略)
A:その他有価証券評価差額金400
B:投資有価証券評価損△1,100
C:投資有価証券評価損△1,600
なので400だと思うけど…なぜにその他有価証券評価差額金が△2,300?減損しないってこと?(いや、自分で減損って書いてますよね)
>もう一つの質問ですが当期の組替え調整額はいくらになるでしょうか。
Aなし、B1,100、C1,600 より2,700 だと思います。もし、全部純資産直入法ではなく部分純資産直入法なら、前期にBは△200が実現しちゃっているので当期の組替調整額は2,500になりますね。
ちなみに、簿記1級受験生?
ご返事いただきありがとうございます。
唐突で申し訳ございませんでした。
会社で勤めていて、1級簿記も勉強しています
有価証券報告書の作成に手伝う事になって、その他包括利益の注記にひかかって、
テキストの包括利益関係のその他有価証券の減損処理の部分では
その他有価証券評価差額金の当期発生額に減損額も含まれているのですが、
その他有価証券評価差額金 2300 有価証券 2300
投資有価証券評価損 2700 その他有価証券評価差額金 2700
結果的にその他有価証券評価差額金(Aの評価益のみ残る)400
組替え調整額は当期減損した全額の2700とういう教え方でした。(理解不足かもしれません)
会社の処理はちょっと違っていました。
BS上のその他有価証券評価差額金の金額は一致するのですが
その他包括利益の注記の部分はズレています。(わたくしの理解ですが)
ちなみにテキストの教えでは、前期の評価損実現した金額も今期の組替調整額に含まれているのですが
実現したら除くのが正解でしょうか。
>有価証券報告書の作成に手伝う事になって、その他包括利益の注記にひかかって、
ですよね。仕事で分からないことがあって困ったなあ〜ってことですよね。でしたら、しかるべきところのサービスをご利用ください。会社で付き合いのある会計士か税理士か。
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承知いたしました。
失礼いたしました。
ご返信ありがとうございました。