第161回日商簿記1級合格体験記【小谷 侑輝さん】

1. 細かい仕訳よりも考え方が大切
簿記1級の範囲は、公認会計士試験の財務会計論・管理会計論の計算部分に匹敵し、その全部の論点の仕訳をひとつひとつ押さえることはとても困難です。そこで個々の仕訳よりも、それぞれの会計処理は結局のところ何をやっているのかという、ざっくりした考え方をまずは押さえていくことが重要です。考え方自体は複数の論点に関連しているものも多く、仮に細かい仕訳を忘れてしまったとしても、そうした考え方に基づいて「現場対応」で点数を取りに行くことが可能になります。
例えば成果連結の未実現利益の消去に関しては、プロ簿記の説明を参考に私は以下のように考えていました。
① 当期末の未実現利益の分だけBS科目の金額が不当にカサ増しされているのでこれを修正します。BS科目はストックの概念で、前期分、当期分といった区別はしないため、単純に当期末の未実現利益がいくらあるのかを考えます。
② 未実現利益と言うくらいですから、①と同額だけPL科目も修正する必要があります。ただしこちらはフローの概念で、前期以前分と当期分を区別します。そこでまずは当期分を修正するために、前期末と比べてどれだけ未実現利益が増減したかをチェックします。前期末より未実現利益が増えていれば、当期にそれだけ利益をカサ増ししていることになるので、その分当期の利益を減らします。
③ 次にPL科目の前期以前分を修正します。②と同様に考えて、最初の何もない状態から前期末までにどれだけ未実現利益が増えたかというと、それは前期末の未実現利益そのものです。前期以前にそれだけ利益をカサ増ししているため、その分前期以前の利益を減らします。そうすると、②は①と③の差額ですから、実践的には①→③→②と求めることになります。
今回の試験では、例えば会計学の第2問リースの貸手側の処理は、「考え方」を活かせる問題だったと思います。貸手側の仕訳は3パターンあって非常に面倒なため、私は一度学習したことはあったものの、細かい部分は記憶から抜け落ちていました。しかし問2と問4は求めるものが「利息」ということで、借手側の利息の処理と似たことをするのだろうと推測して解答することができました。このように簿記1級の応用論点は、基本的な考え方に基づいた現場対応でなんとかなる場合もありますし、そうでない場合は「傾斜配点」で配点が抑えられて合否にはあまり影響しません。まずは基本論点に注力し、考え方を押さえることが大切です。
2. これから目指すこと
公認会計士試験に挑戦しようと思います。最初に述べたように簿記1級で学んだことは、会計士試験の財務会計・管理会計に直結しています。会計士の短答式試験に受かるために、ゼロから始めて2000時間以上必要だとすると、大体半分の1000時間分の内容を簿記1級がカバーしていると言われています。なにより簿記1級に合格したことで、会計に対する自信を持つことができました。簿記1級合格への道筋をつけてくださったプロ簿記の皆様、本当にありがとうございました。
