第152回日商簿記1級・講師の受験感想記

152回の本試験を受験された方、お疲れ様でした。いかがでしたか?以下、ざっくりとした感想です。各科目の詳しい解説は別途執筆します。とりあえず、受けてきた感想です。

ざっくりした感想

商業簿記

  • 難易度:やや易しめ
  • 目標得点:18点〜22点

複雑な計算や難易度高めの論点もなく、全体的に易しい設問でした。その点では20点以上は取りたいところです。

なお三分法ではなく売上原価対立法であったり、役務原価や受注損失引当金が登場したりと、少し馴染みの薄い論点が出たことで戸惑った方もいたかもしれません。ただ、それで落としたのなら勉強方法を変える必要があります。(従来の勉強のみで十分得点できる論点だからです。目先が変わっただけです。)

あえて言えば、ソフトウェアの誤謬の訂正論点などは若干難しかったかもしれません。あと、社債の抽選償還など一瞬、ん?と思いますが、どうせPLしか聞かれていないし、利息法なので瞬殺できるはずです。(配点は社債利息しかないし、これは期首簿価に実効税率掛けるだけです。)

それらを加味すると、若干ミスをしたとしても18点くらいが目標得点といったところだと思います。

会計学

  • 難易度:普通(第1問 易しめ、第2問 普通、第3問 普通)
  • 目標得点:17点〜19点
第1問目:理論

5問中4問は取りたいところです。(5)の「経済的単一体説」は理論対策をしていないとちょっときついかもしれません。しかし、普通に理論対策をされていたなら、定番ですので出来たかと思います。(5)以外は、テキストに普通に載っている用語ですので、出来ないといけません。

第2問目:リース会計

解答箇所が多く、どこに配点が来るかよく分かりませんが、7割は取りたいところです。全体的にひねりがなく、ノーマルな問題でした。しかし計算量が多かったです。特にDは時間かかりました。

あと、Dが「所有権移転条項なし」とあるものの、説明文に「特別仕様で借手によってのみ使用」というあることから所有権移転リースとして扱うことに気付けたかどうかです。わざわざ書いてあるので気付けそうですが。

また、Cは、現在価値基準でも、78%<90%で満たしていませんし、経済的耐用年数基準でも、リース期間3年÷経済的耐用年数5年=0.6<0.75で満たしていませんので、オペレーティング・リースです。まず、ここまでファイナンス・リースとオペレーティング・リース、そして所有権移転と移転外の区別をつけられたかどうかです。

ここからは、いかに計算ミスなく丁寧に計算できたかです。ただ、計算量が多いので、ここにハマると時間を食ってしまい他に手が回らなくなる可能性がありました。どのあたりで見切りを付けるかも大切でした。

第3問目:持分法

持分法でした。前々回あたりから、そろそろかなと思っていて、ついに来た感じです。

問題としては、テキストの設例レベルです。単に仕訳を切って集計すればおしまいです。対策してきた方は8割方は出来たと思います。

一方、持分法を久しくやってなくて忘れているとか苦手意識があると手が出ないかもしれません。そういう方は、3,4割でも部分点が取れていればいいのではないでしょうか。

なお、ちょっとひねっているなと思ったのが、B社の負ののれんです。

あと、税効果を忘れると全滅します。これがもっともマズイパターンだと思います。

工業簿記

  • 難易度:全体的には普通(第1問目やや易しめから普通、第2問目やや難しい)
  • 目標得点:17点〜19点
第1問目:総合原価原価

問題自体は、難しくはなかったと思われますが、ただ冒頭の材料費でやらかすと全滅を食らうという検定試験にはあまりふさわしくない問題でした。この試験委員の出題ではよくあることなのですが、なんとかしてほしいものです。

材料費は、消費価格差異に気付きました?大丈夫でしたか?実際発生額は4,565,000円ですけど、貸方差異の消費価格差異55,000円があるので、予定消費価格は、4,565,000円+55,000円=4,620,000円ですよ。(こうしないと総合原価計算で割り切れないので、それで気付いた人もいるかもしれませんね)

ここを乗り越えれば、問2の第1工程完成品総合原価、問3の完成品単位原価(これ、単位原価じゃなくて完成品総合原価答えた人いそう)は比較的容易に解答できたと思います。

問4の○×問題が難しかったかもしれません。②と③が○で、④が×なのは明確だと思います。

問題は①ですね。「完成品換算総量」という用語の意味を理解できたかどうかだと思います。これ、月末仕掛品の単価を算定するときのインプット側の換算量のことなんです。本問は先入先出法なので原料費は1,050、加工費は1,075です。(もし本問が平均法なら、原料費は1,150、加工費は1,125です。)

問題文にあるとおり、完成品単位原価は終点仕損の分を負担しますので、インプット側の「完成品換算総量」あたりの単価よりも高くなりますから、○です。

問4が意表を突かれました。まさかの非累加法とは。第65回以来の約30年ぶりの出題です。とは言え、もっとも簡単なパターンでした。単純に原料費だけを追っかけた仕掛品勘定と、第1工程加工費だけを追っかけた仕掛品勘定を作ればいいのです。

これ、どうでしたかね。「非累加法は捨てる」と決めていた人、多かったと思います。多分大丈夫です。合否に影響ないと思います。ただ、少なくとも借方は超簡単でしたからそこだけでも書いておけばプラス1点くらいの配点はあったと思います。

貸方も、非累加がどうのというより、原料費なら原料費、第1工程加工費ならそれだけに注目して集計すれば正答が得られました。しかも正しく計算するとちゃんと割り切れるようになっていて、かなり親切設計でした。でも、出来なかった人多いと思います。その点で合否への影響は低いでしょう。

第2問目:個別原価計算(外注加工)

これもまた随分隅っこの方から出してきたなぁという問題でした。まさかの無償支給と有償支給の外注加工賃の処理とは。有償支給は第75回以来26年ぶりの出題です。

無償支給は出来ないといけません。無償支給したタイミングで、仕掛品100万円/材料100万円、そして、納品されたときに(仕損がなければ)、直接経費(仕掛品)20万円/買掛金20万円ですよね。2級の話です。

ただ、本問は一応1級なので少しひねっていて、加工賃は納品された分しか払わないといっています。つまり、@200円×1,000個=20万円ではなく、@200円×998個=199,600円となるわけです。よって、直接経費(仕掛品)199,600円/買掛金199,600円です。そして、相手に無償支給した材料@1,000円×2個=2,000円も無駄になってしまいました。これをもし外注先の責任にするなら、買掛金から控除するべきなのですが、本問は「10%未満の仕損で生じた材料費は許してあげる(=当社の費用とする)」とありますから、これは、間接経費(製造間接費)です。

ここまでできれば(というか2級レベルなので出来てほしい)多分合格ラインにのっています。有償支給を全部落としても大丈夫でしょう。ただ、有償支給もさほど難しくはなく、特に問2などは、問1と同様、納品された分のみ加工賃を払えばいいので、@3,000円×397個=1,191,000円です。このあたり仕訳とか分からなくても機転をきかせれば取れそうなので、このあたりで稼げたかどうかで差がつくかもしれません。

原価計算

  • 難易度:易しめ(問1〜問4:易しめ〜普通、問5易しい)
  • 目標得点:18点〜21点

易しいのですが、ちょっと困ったという問題です。私は問3、問4で悩みました。他社スクールから解答速報出ていますが(2019/6/9 16:30に確認したもの)私と解答が違います。というか、最初、私も試験会場で出した答えは他社の解答(問3:1,000,000円、問4:4,498,000円)と同じでした。しかし、よくよく考えて、解答を変えました。最終的には問3:6,500,000円、問4:4,370,000円と解答しました。

この差は、(6)の資料に販管費の現金支出が含まれているのかどうかの判断の違いによるものです。当初、(6)は原料以外のすべての支出が書かれている(販管費も含まれている)のだと思いました。しかし、そうすると(5)の販管費に関する情報を一切使わないことになります。それはおかしくないか?と考えたのです。そして、原料費、労務費、経費、機械購入とあります。いわゆる「材労経+機械購入」です。ということは、この「材労経」は製造原価に係る分だけなのではないかと考えたのです。この考えを支持するもう1点の理由は(あまりいいやり方ではありませんが)機械購入という特別な支出があることです。こういう支出がなければ、通常、月初と月末の現金残高はさほど変わらないはずです。しかし機械を買ったのだからその分だけ現金が減少する方が自然だと考えたのです。そんな理由から、販管費の現金支出を算入して、解答しました。(追記:その後、私の回答が間違いであることが判明しました。残念!)

それ以外は易しい問題でした。上記の問3と問4を除けば、できればパーフェクトを取ってもらいたい問題でした。

第152回日商簿記1級・講師の受験感想記” に対して1件のコメントがあります。

  1. 槍男 より:

    行ってきました152回!
    いやーっ、悔しい。
    会計学、工業簿記で足切りの 60点だと思います。

    会計学、リースで取得年月日確認不足でほぼ全滅

    工業簿記、累加法と計算結果が一致する非累加法?

    という感じでした(笑)

    苦手な原価計算がボーナス問題だっただけに悔しい
    です、今後とも勉強させてもらいます。

    よろしくお願いいたします(_ _)

    1. pro-boki より:

      工簿は、配点調整入ると思います。
      第1問目は、材料の計算で消費価格差異に気付かなかったり、棚卸減耗費に惑わされたりすると、問2,問3、問5が壊滅します。そうした受験生も少なくないと思います。そうなるとかなり平均点が落ちますので、配点調整せざるを得ません。で、多分ですが、第1問目の問1に大きく配点来る可能性あると思います。とはいえ2,3点の調整だと思いますが。
      あと、第2問目も結構配点来るような気がします。これは、外注加工について勉強していなくても、その場で考えれば結構点数を獲得できる問題でした。ここはどうでしたか?

      いずれにしても、最近の傾向を見るに、無闇に論点を広げたり深掘りする必要はないと思います。今回の試験も、どれもかなり基礎的な問題ばかりです。ただし、目先が変わっていたり、出題の仕方に変化球が織り交ぜてあるのです。ですから、論点を広げるとか、深掘りするより、基礎を完全に固めて、変化球で出されても現場で対応できるような力をつけることが合格につながるのだと思います。

    2. 槍男 より:

      返信ありがとうございます。

      工簿に関しては、問1は大丈夫でした。しかし、第2問は仕掛品と買掛金しかとれていませんでした。
      以前の記事でお見受けした試験での対応力の無さに今更ながらショックです。

      やはり基本に忠実に3級→2級→1級と順番にやっていくべきだったなと反省しております。

      今後は先生がおっしゃる用に基礎固めに力を入れていきたいと思います。貴重なお時間を割いていただきありがとうございました。

  2. より:

    内訳忘れましたが足切無しの73点でした!
    原価計算たしかによく分からなかったです!

    1. pro-boki より:

      よっしゃー!!!
      おめでとうございます。

  3. 緊張 より:

    予備校の解答速報ベース(4社)だと70から76なんですが、各大問ベース(商会工原)で4社別の最低点を集計すると68になります泣
    どう思われますか?

    1. pro-boki より:

      あくまでも個人の感想ですが、

      スクールの配点は多少辛いかな、と思います。科目によっては配点調整が入るのではないでしょうか。
      それを考慮すると、緊張さんの点数なら、一般的には合格している可能性はかなり高いと思います。
      とはいえ、緊張さんの合否は分かりません。無責任なことも言えません。ごめんなさい。

      受かっていると信じて前を向きましょう。
      実力はあると思いますので、どのみち時間の問題です。受かりますよ。

    2. 緊張 より:

      返信ありがとうございます!
      もちろん結果はわかりませんが、そのように言ってもらえて少し報われた気がします。発表まで気長に待ちます!

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