第162回日商簿記1級本試験・レビュー

講評

本試験を受験された方、お疲れさまでした。

今回は、問題の難易度が両極端な回でした。解き始める前に解答戦略をきちんと立てて捨て問対策をされた方は行けたのではないでしょうか。一方で解答戦略を立てずにズルズルと問題に振り回された方は実力を発揮しきれなかったのではないかと思います。

商簿が鍵でした。素点ベースで15点取れれば御の字。最悪、足切りしなければOKくらいの気持ちで解くと良かったと思います。(多分、配点調整が入ります。素点ベースで15点でも実際は18点くらいになったりします)

商簿は、解き始める前に解答戦略立てましたか?極論すれば商品売買を捨てる決意が出来たかどうかで決まったと思います。「商品売買は原則捨てよう。その代わり他は全部取ろう。商品売買は部分点取れればいいや」といった思いを持って臨めたかどうかです。最初からそういった気持で行けば実力を発揮できたと思います。一方、最初に商品売買から入ってしまって振り回されると、焦ってしまって実力が発揮されなかったのではないかと思います。

私は次のように解答戦略を立てました。

資料1の受取手形。債務保証が絡む論点は普段あまり見ないので、一瞬後回しにしようかなと思ったけど指示が丁寧そうなので言われたとおりやればいけそうな気もする。とりあえず手を出してみようかという感じ。

資料2の商品売買と収益認識基準。ざっとみて量が多そう。特に返品権付きは面倒くさそう。これは最後だな。そして、手を出してみて簡単そうならやるし、原価率がどうたらこうたら言われたら、どうせ誰も出来なくて埋没するから捨ててもいいやという感じ。

資料3の為替予約。見た瞬間、あ、教科書通りの問題でこれは楽勝そう。

資料4の貸倒引当金。確か資料1で手形がどうたら言ってたから、これとペアだな、セットで解こう。

資料5。有形固定資産の買い替えか。おお、手形18枚で利息相当分を級数法か。古い論点だな。利息相当分って自分で計算するのか?あ、前TBにあるのか。じゃあ、いけそうかな。でもちょっと時間かかりそうだな。

資料6、減価償却。ひねりないな。瞬殺だ。

資料7、減損会計。これもひねりなし。資料6で先に減価償却をやらせるという親切設計。

資料8、自己株式の消却。その他資本剰余金取り崩して、それでも足りないから繰越利益剰余金も取り崩す。ただ、後TBじゃなくてBSなのでどうせ繰越利益剰余金は捨てになりそう。

資料9と資料10は、見越繰延と法人税等で、まあ、瞬殺。

ということで、ざっと見た感じ、最悪、商品売買を捨てても残りを全部とれば最低でも15点〜17点くらいは固そう。商品売買で部分点を拾えば20点は行きそう。(配点調整入るだろうから実際はもっと行きそう)

会計学はざっとみて、簡単そうなので20点以上は取れそう。それで大丈夫そうだな判断しました。

ここまでの解答戦略を立てるのに5分くらい使っています。

で、先に会計学から手をつけました。25分くらいで終わりました。商簿に1時間くらい使えるので精神的にちょっと余裕があります。そして、予定通り、商品売買は最後にまわしてほかを先に解きました。ラスト30分弱くらいで商品売買に手を付けました。

工原は、ケアレスミスさえしなければ8割は固いでしょう。原形の理論でちょっと答えにくい箇所がありましたが、それ以外はいけたと思います。

ただ、工原、これだけ簡単だと結局ケアレスミスだけの勝負となるわけで、工原に時間を掛けて勉強する意味ってあるのかという疑問を覚えてしまいます。多くの方は時間が余ったのではないでしょうか。

科目毎のレビュー

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原価計算はこちら

第162回日商簿記1級本試験・レビュー” に対して26件のコメントがあります。

  1. 『原価計算楽しい』 より:

    『原価計算楽しい』です!
    1級試験全体の講評どうもありがとうございました。(→とても参考になります!)
    これからも宜しくお願いします!

    1. pro-boki より:

      はい、ありがとうございます。

  2. たっちゃん より:

    今回受けてはないのですが、内容ざっと見て、工原だけ解いてみようと思いました。
    工業簿記は、去年出たのにまた部門別?と思ったのですが、これ実質活動基準の問題なんですね~
    またかよ…今の試験委員は活動基準しか興味ないのかって感じです。極めて高度な小学生レベルの計算でした(笑)
    原価計算の理論は、テキストの表現と言い回しが違っていて、結構戸惑いました。
    第2問の業務はやっぱり苦手です。一橋の言い回しに、もっと慣れる必要がありますね~

    1. pro-boki より:

      工簿はまれにみる不適切問題だと思います。検定試験自体の価値を毀損しています。

      レビュー記事を書こうと思っていたのですが、あまりに問題のクオリティが低すぎてどう書いていいものやら戸惑っているところです。

      極端に偏った出題論点。
      小学生でもできるようなただの按分計算だけの問題。
      相変わらずの指示不足。複数の受け取り方が可能であり、別解が存在するようないい加減な作問。
      そして、そのいい加減な指示をどう読むか、その1点だけで、満点か足切りかというような極端な配点。
      端数の処理のいい加減さ。

      全体をとおしてこれ以上ないほどの薄い内容であり、管理会計の能力など微塵もはかることなどできないでしょう。

      私が採用担当者なら「162回に合格したの?じゃあ、管理会計の力は全く担保されていないね」と思うでしょう。

  3. マフマフ より:

    初めまして、コメント失礼致します。
    今日162回の日商簿記1級を受験した者なのですが、試験後自己採点をしたところ、
    商簿11
    会計22
    工簿25
    原計18
    と言った感じで何とか合格点を超えることが出来、また商簿も何とか足切らずに済みました。(他予備校の解答でも10点は超えていました)

    一方でSNSで他の受験生のコメントを見ると、皆商簿は10点前後だったのですが、会、工、原については他の方も皆高得点で、工簿に致っては満点の人も何人か見かけました。

    このことから私なりに考えたところ、商簿で傾斜配点をかけて多くの人が足切りを免れた場合、その他の3科目で計60点をとることは過去の試験と比べて容易に感じるため合格者が多数出そうな予感がするのですが、あまりにも多くの合格者を出さないために商簿の傾斜を多少厳しくしたり、他科目に逆傾斜がかけられて合格者数が調整されてしまうといった可能性もあったりするのでしょうか…?

    何かご返信頂けましたら幸いです。
    長文大変失礼致しました。

    どうぞよろしくお願い致します。

    1. pro-boki より:

      どうなんですかね。こうも科目ごとに難易度が極端に異なると、どのように配点調整されるのか想定しにくいですよね。

      商簿は、素点ベースで計算すると足切りになる方が続出するために配点調整されると思います。下手すると単に数値を移すだけ(たとえば資本準備金とか未払費用など)にも配点が来るかもしれません。

      一方で、会計学は配点調整はないでしょう。

      問題は、工原ですよね。逆傾斜というか、出来の悪かった問題に大きな配点掛けて平均点を落としにくるかもしれません。かつて素点ベースの平均点で20点近く行ってしまって、出来のもっとも悪かった「価値連鎖」という用語問題1つに3点という高い配点を掛けて無理やり平均点を落としにいった過去がありますので。今回も同様の措置をとる可能性はあると思います。

      ただ一方で、工簿は満点を取られた方もある程度いる一方で、読み取りミス連鎖で足切りの方も結構いるようです。となると、そこで合格率は自動的にそれなりに調整されてしまうので、工原は配点調整されない可能性も高いと思います。

      結局、今回、商簿に注目が集まっていますが、実際に合否を決めるのは工原でケアレスミスをしなかったかどうかだったように思えます。

      あくまでも私見ですが、マフマフさんの場合、配点調整によって商簿はもう少し点数が伸び、工原は配点調整が入らない結果(70点台後半で合格)になるのではと推察します。

  4. なつめ より:

    工業簿記の計算で実質的に円未満切り捨てなのに千円単位で答えさせる問題は見たことがあったのですが、その時の模範解答は有効数字を意識して割り切れるのもであっても小数第3位まで記入されていた(例えば1234千円ならば1,234.000)ので今回もそれに倣って回答したんです。
    そうしたらどこの予備校の解答速報も割り切れるところまでしか記入していなかったのですがどうなんでしょうか…

    1. pro-boki より:

      基本的に 123でも123.000でも、数学的には全く同じことであり表示方法だけの問題です。特に本問の場合小数点以下第4位を四捨五入せよという指示がありますから、問題ないと個人的には思います。表示方法について指示がないわけですから。

      ただし、本問は、端数処理の問題だけでなく、計算処理方法の指示の不備、意味不明な出題意図、極端な配点基準など、あまりにも不適切と思われる点が多すぎて、出題者のお考えが理解できません。そのため出題者がどう採点されるかは分からないというのが正直なところです。

      もし残念な結果になったとしたら、今回は事故にあったと思うしかないと思います。

      本来、検定試験で事故などあってはいけないのですが。

  5. ぴな より:

    今回の162、計算用紙がA4じゃなくてB5で配られました。
    B5じゃ足りないので結局答案の裏に下書きして消さないで出しました。
    もしかして会場によってサイズ違ったりとかもあるんですかね…

    それなりに出来たと思うので天命を待とうと思います。

    1. pro-boki より:

      B5は初めて聞きました。抗議とまではいかなくても、お問い合わせくらいはしたほうがいいかもしれませんね。

    2. ぴな より:

      一応お問合せしましたが返事なしですね…

      注意事項を読むとしっかりA4って書いてあったので、私が受けた商工会議所の不手際だということがわかりました。

      逆に答案の裏を計算用紙に使ってはいけないとは書いてないので特定答案扱い回避してて下さいって感じです…
      今回受からなきゃ相当厳しいのでなぜそんなことをしたのか…って感じですね(試験官にも使用の許可はもらったのですが日商テキトーなので)

  6. K.K. より:

    初めまして。突然のコメント失礼致します。

    今回商業簿記にて、貸倒引当金・減価償却累計額の頭に、白三角マーク△をつけて解答したのですが、白三角マークをつけたことでバツとなる可能性はございますでしょうか?、、

    2020年4月より勉強を開始し、今回ついに合格出来たかと思ったのですが、各社の模範解答をもとに自己採点をしたところ、
    商8~10会21~23工25原15~19
    と、商業が足切りの瀬戸際という結果でした…。

    ただでさえ1つでも記憶違いの不正解があれば足切り確定の中、白三角マークを記載してしまったことで不安が募り、少しでも所感をお伺いできればと思い、コメントさせて頂きました。

    基本的な論点も多く落としてしまいましたが、商業の数値一致箇所は、
    売掛金、建物、備品、買掛金、未払金、未払費用、未払法人税、契約負債、保証債務、車両購入手形(流動、固定)、利益準備金(※資本剰余金は自己株消却で減額してしまい不正解)
    でございます。

    お忙しいところ恐れ入りますが、何かご返信頂ければ幸いです。
    よろしくお願い致します。

    1. pro-boki より:

      大丈夫です。△付けて問題ありません。

    2. K.K. より:

      お忙しいところご返信をして頂き有難うございました。
      △については特段気にする必要はないとお伺いでき、気持ちが楽になりました。
      配点が味方してくれることを祈りながら、適度に勉強を続けつつ発表までの2ヶ月を過ごそうと思います。

  7. みのおさ より:

    いつも参考にさせていただいております。
    最初から解く習慣がついていて、今回の商簿は商品売買で躓き時間を消費してしまいました。諦めて飛ばしたら今度は級数で割り切れない手形18枚が現れ…結果、パニック気味で足切りかもしれないです。
    この記事で、現場で冷静に問題を見渡してから取り掛かる大切さがわかりました。次に活かそうと思います。

    1. pro-boki より:

      まずは、答案用紙を見てどんな問題かを想像し、次に、資料ではなくて設問を見て問われていることを把握し、最後に、資料を見て解答戦略を練ります。これに5分使いましょう。商会、工原ともにです。普段の答練や模擬試験からこういった習慣をつけましょう。

    2. みのおさ より:

      アドバイスをいただきありがとうございます。
      開始とともにガリガリ手を動かす前に、全体を見る習慣をつけることといたします。

  8. yamaki より:

    こんにちは。いつもブログ・講座共に楽しく学ばせていただいております。
    工簿の問6に関して気になったので質問させていただきます。

    当問はABCによる単位当たり製造原価を求めさせる問題ですが、自分はYの方を8,368.5円と端数を残して解答してしまいました。これは、整数部分だけで割り切ることはできないが、小数部分で割り切ることができるため(0.5円)、計算条件での「単位当たり製造原価は割り切れなかった場合は円未満四捨五入」という操作を行わなくても大丈夫だと判断したためです。この場合、別解とはいかなくても部分点は入るでしょうか。

    よろしくお願いします。

    1. pro-boki より:

      正解になるべきだと思います。詳しくはこちらの記事の最後の方を読んでみてください。

  9. HIDE より:

    いつも解説ありがとうございます。工業簿記の問2についての質問です。問題文の指示では
    『配賦率が割り切れない場合、計算の途中ではなく最終段階(たとえば問 2 では製品Xと製品Yへの製造間接費配賦額を答える段階)で小数点以下第 4 位(円未満)を四捨五入すること。』とあります。
    従って、円未満の小数点以下第4位を四捨五入した上で、千円単位で回答しました。つまり、答案用紙では小数点以下を6ケタ記入する結果となったのですが、これは誤りなのでしょうか?

    1. pro-boki より:

      誤りだと思います。

      答案用紙の単位は千円であり、そのうえで「小数点以下第4位(円未満)を四捨五入」と書かれています。「円未満の小数点以下第4位を四捨五入」とは書かれていません。同義ではありません。

      ただ、確かにこのような本質とは全く関係のないところで誤解を誘うような出題の仕方は、極めて作問レベルが低いとは思います。

  10. より:

    初めまして、会計処理や対策を参考にさせていただいておりました
    今は会計士の勉強していて昔取れなかった一級にリベンジと思って今回受験したのですが、ひどかったですね
    工原に関しては作問者が自分より勉強してないんじゃないかと疑いましたし、難易度差が極端すぎて科目毎の足切りがあるシステムとマッチしていないと思いました
    正直、受験者のスキルを測るつもりなんか無いんじゃないかとすら感じます
    一級まで勉強される方は少なからず何か犠牲にして簿記・会計に向かってると思うので、誠実な問題にしてほしいです

    1. pro-boki より:

      全くもって同意です。私も誠実な対応を期待しております。

  11. もみじ より:

    いつもお世話になっております。
    会計士受験の勉強を始め、その力試しにと思い今回受験したのですが、工業簿記の点数が満点に近い方ばかりで落ち込んでいます。
    T〇C様の解説を見たのですが、X6000個、Y500個が予定生産販売数量であるのに対して、A製造部門・B製造部門の直接作業時間を求める方法が、どちらの部門もX6000個、Y500個×部門それぞれの一個当たりの作業時間をかけていて疑問に思いました。この方法ではA製造部門がX6000個、Y500個を製造し、B製造部門もX6000個、Y500個を製造していることになり、そもそも予定生産販売数量はX12,000個、Y1,000個になってしまうのではないかと感じました。
    本試験でも自分はまずA製造部門とB製造部門はX6000個、Y500個の内それぞれいくつ製造しているのかを求めるのだと勘違いし、結局わからずに時間が経ってしまいました。
    問題文からどう読み取ればよかったのでしょうか?ご助言頂けると幸いです。

    1. pro-boki より:

      具体的な製造イメージを持ってみてください。

      例えば、車を作っていてA部門は組立をする部門、B部門は塗装をする部門だとします。

      A部門にとって、Xという車を1台組み立てるのに0.6時間、Yという車は0.3時間かかります。B部門にとって、Xという車を1台塗装するのに0.3時間、Yという車は0.5時間かかります。

      さて、当期。
      A部門は、Xを6,000台、Yを500台組み立てなければなりません。A部門は何時間組立作業すればいいですか?6,000×0.6+500×0.3ですよね。一方、B部門は、Xを6,000台、Yを500台塗装しなければなりません。B部門は何時間塗装作業すればいいですか?6,000×0.3+500×0.5ですよね。

      こういう意味ですよ?

      >問題文からどう読み取ればよかったのでしょうか?ご助言頂けると幸いです。

      逆質問になって申し訳ないのですが、
      Xが12,000個というのは、具体的にはどのような製造イメージでしょうか。A部門は他の部門とは関係なく独自に製品Xを6,000個作っていて、それとは別にB部門でも独自に全く同じ製品Xを6,000個作っているイメージですか?

    2. もみじ より:

      恥ずかしながら、解説を見てA製造部門とB製造部門がそれぞれX6000個とY500個を独自に製造した(合計X12,000,Y1,000)のかと勘違いしていました。。

      よく考えれば確かにA製造部門とB製造部門でX製品、Y製品を製造していますよね。。
      先生が例に挙げた組立部門、塗装部門というお話で理解できました。

      知識が浅いまま受験してしまったということを痛感しました。

      部門別原価計算は部門によって別々の製品を作るのだと勘違いしていましたが、部門別原価計算は総合別原価計算で言う工程別原価計算と近い(同じ?)という話を思い出せました。
      計算をただ暗記するのではなく何がしたいのか理解するよう心掛けたいと思います

      お忙しい中ありがとうございました!

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